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骨になるか軟骨になるかを運命づけるメカニズム ヘッジホッグとBMP経路の相互作用により軟骨膜細胞の骨・軟骨への分化が決められる

掲載日:2013年4月24日

© Hironori Hojo. 中足骨器官培養系を用いた軟骨膜における HhとBMPの相互作用の解析。ヘッジホッグ経路とBMP経路を同時に活性化させると、骨形成が顕著に増大したのに対し、ヘッジホッグ不活化状態では、BMP経路を活性化させても全く骨は形成されず、代わりに軟骨膜において軟骨組織が認められた。

© Hironori Hojo. 中足骨器官培養系を用いた軟骨膜における HhとBMPの相互作用の解析。ヘッジホッグ経路とBMP経路を同時に活性化させると、骨形成が顕著に増大したのに対し、ヘッジホッグ不活化状態では、BMP経路を活性化させても全く骨は形成されず、代わりに軟骨膜において軟骨組織が認められた。

体の中には複数の細胞に分化することができる前駆細胞が存在します。軟骨組織を覆う軟骨膜には、胎児の骨格が形成される過程において、骨と軟骨の両方に分化できる前駆細胞が存在し、将来の骨形成に寄与すると考えられています。発生学的には、軟骨膜細胞は骨組織の細胞源となるだけでなく、特定の遺伝子が働かなくなると軟骨組織を形成することが知られています。これら軟骨膜細胞の分化決定にはヘッジホッグやBMP(Bone Morphogenetic Protein、骨形成性タンパク質)など、様々な因子により制御されていることはわかっていますが、その制御機構は完全には解明されていません。

東京大学大学院医学系研究科の北條宏徳特別研究員(現 南カリフォルニア大学Broad-CIRMセンター所属)、東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の大庭伸介特任准教授、鄭雄一教授らは、日立製作所の神原秀記フェローやミシガン大学の三品裕司准教授らのグループと共同で、ヘッジホッグとBMPの相互作用が軟骨膜における骨・軟骨前駆細胞の分化運命決定の制御機構に関わることを解明しました。本研究が、ヘッジホッグやBMP等を利用した骨や軟骨の再生療法を開発する際の足がかりとなることが期待されます。

プレスリリース

論文情報

Hironori Hojo, Shinsuke Ohba, Kiyomi Taniguchi, Masataka Shirai, Fumiko Yano, Taku Saito, Toshiyuki Ikeda, Keiji Nakajima, Yuske Komiyama, Naomi Nakagata, Kentaro Suzuki, Yuji Mishina, Masahisa Yamada, Tomohiro Konno, Tsuyoshi Takato, Hiroshi Kawaguchi, Hideki Kambara, and Ung-il Chung,
“Hedgehog-Gli activators direct osteo-chondrogenic function of bone morphogenetic protein toward osteogenesis in the perichondrium”,
Chemistry, Vol: 288, Year: 2013, page: 9924-9932 , April 5, 2013 doi: 10.1074/jbc.M112.409342.
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大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻

骨軟骨発生・再生研究グループ

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