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Research News

職業性胆管がんと関連する、発がん性の候補物質を発見

発がん性の候補物質は胆汁に排泄されていた

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医学部附属病院
2016/06/21

© 2016 Yu Toyoda.体内に取り込まれた1,2-ジクロロプロパンは、代謝された後、肝臓から胆汁中へと排泄されます。この代謝物には発がん性候補物質が含まれており、それが胆管がんにつながる可能性が示唆されました。

ジクロロプロパンの代謝によって生じる発がん性の候補物質が肝臓から胆汁中に排泄される仕組み
体内に取り込まれた1,2-ジクロロプロパンは、代謝された後、肝臓から胆汁中へと排泄されます。この代謝物には発がん性候補物質が含まれており、それが胆管がんにつながる可能性が示唆されました。
© 2016 Yu Toyoda.

東京大学医学部附属病院薬剤部の豊田優 特任助教、高田龍平 講師、鈴木洋史 教授らの研究チームは、印刷工場の洗浄液などに使われる化学物質「ジクロロプロパン」から生じる発がん性の候補物質が、肝臓から胆汁中に排泄されることを見出しました。本研究成果は、塩素系有機溶剤への大量ばく露と胆管がん発症とを結びつける重要な知見です。

2014(平成24)年、塩素系の有機洗浄剤を大量に使用してきた印刷工場の従業員がきわめて高い頻度で胆管がんを発症していることが報告され、大きな社会問題となりました。労働環境の調査結果などから、塩素系の有機洗浄剤の主成分であったジクロロプロパンという工業用化学物質が胆管がんの原因物質として強く疑われています。しかしながら、ジクロロプロパンへの大量ばく露と胆管がん発症とをつなぐ分子機序は未解明でした。

研究チームは、質量分析装置を駆使した胆汁の網羅的な成分分析や肝臓の大部分がヒトの肝細胞に置き換えられたマウスを用いた実験などから、ジクロロプロパンから生じた発がん性の候補物質が肝臓から胆汁に排泄されることを見出しました。

今回の成果によって、胆管がんの発がん機序が解明されたわけではありませんが、肝臓で生じた反応性代謝物が胆汁中に排泄される結果、胆管での発がんリスクが高まる可能性を新たに提唱するという点で、将来のがん研究の発展に貢献する重要な成果であると言えます。他の有害物質でも同じような仕組みが働くことで胆管がんの要因となっている可能性があるため、豊田特任助教は「有効な治療法が少ないとされている胆管がんの発症や悪化に関わるメカニズムの解明につながるかもしれない」と期待を寄せています。

プレスリリース

論文情報

Yu Toyoda, Tappei Takada & Hiroshi Suzuki, "Halogenated hydrocarbon solvent-related cholangiocarcinoma risk: biliary excretion of glutathione conjugates of 1,2-dichloropropane evidenced by untargeted metabolomics analysis", Scientific Reports Online Edition: 2016/04/18 (Japan time), doi:10.1038/srep24586.
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