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Research News

酸素で見る地球の成り立ちの物語

大気の高い酸素濃度とプレートテクトニクスには密接な関係が

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大気海洋研究所
理学系研究科・理学部
2016/05/18

© 2016 横山祐典およそ25億年前の最初の酸素濃度の上昇は、光合成生物が地球上に現れてから数億年遅れて、現在型のプレートテクトニクスが開始したことで、酸素を捕獲する物質に乏しい大陸が作られ始めたために起きました。2度目は大陸が成長し、炭素が表層にたまる場所が増えしたことで起こりました。

2度の大気の酸素濃度が上昇する仕組みとその背後にあるプレートテクトニクス・大陸成長
およそ25億年前の最初の酸素濃度の上昇は、光合成生物が地球上に現れてから数億年遅れて、現在型のプレートテクトニクスが開始したことで、酸素を捕獲する物質に乏しい大陸が作られ始めたために起きました。2度目は大陸が成長し、炭素が表層にたまる場所が増えしたことで起こりました。
© 2016 横山祐典

東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授と尾崎和海特任研究員らの国際研究グループは、地球の大気が現在のように酸素に富むようになった背景には、これまで2段階の上昇期を経たことが知られていましたが、この上昇期が大陸地殻の成長と密接に関係があることを明らかにしました。

現在の地球は、大気中から深海に至るまで酸素に満ちています。これは地球が太陽系の他の惑星と大きく異なる特徴の一つであり、私たち人間を含めた高等生物が生存するための必要不可欠な条件と考えられています。酸素が存在しない還元的な原始大気からどのようにして現在のような酸素に富む環境が実現したのかについてはこれまでの研究によって大局的な描像が得られつつあります。それによれば、大気中の酸素濃度は約25-20億年前および7-5億年前の2度の上昇期を経て現在と同等の酸素濃度に達したとされています。しかしながら、なぜ特定の2度の時期に酸素濃度が上昇したのか、その原因やメカニズムについては幾つかの説が提唱されているものの、依然として地球惑星科学分野の大きな謎となってきました。

国際研究グループは、ジルコン(ZrSiO4)と呼ばれる鉱物を用いた地球の年代の結果の再解釈や岩石学の考察によって、およそ27-25億年前にかけて大陸地殻の組成がケイ酸に富むようになったことを突き止めました。この変化はプレートの沈み込みに伴い地球内部に大量の水が供給されるようになった結果引き起こされたと示唆されました。地殻の組成が変化したことで、酸素を捕獲する物質に乏しい地質が作られ、酸素濃度が高まったと推察されます。

さらに、数理モデルを用いることによって大陸が成長した後には、炭素が表層にたまる場所が拡大したことで、2度目の酸素濃度の上昇が起きたことが示唆されました。

「今回の成果は、地球の特徴である大気中の高い酸素濃度が、これもまた地球の特徴であるプレートテクトニクスと深い関係があることを明らかにしたものです」と横山教授は説明します。「超長期の大気の変遷は固体地球と密接に関わっています。酸素濃度の上昇は、大陸が成長することで引き起こされた地球表層の炭素循環の変化が重要な役割を引き起こされた現象であることを示したものです」と続けます。

なお、本成果は米国ライス大学やイエール大学と共同で得られたものです。

プレスリリース

論文情報

Cin-Ty A. Lee, Laurence Y. Yeung, N. Ryan McKenzie, Yusuke Yokoyama, Kazumi Ozaki & Adrian Lenardic, "Two-step rise of atmospheric oxygen linked to the growth of continents", Nature Geoscience Online Edition: 2016/05/17 (Japan time), doi:10.1038/ngeo2707.
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