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福島土壌中の放射性微粒子の特定と微粒子中の放射能分布の解明 土壌中でセシウムを固定している物質の正体

掲載日:2014年12月12日

福島第一原発事故による土地や土壌の放射能汚染は大きな社会問題である。しかし、放射能の主体である放射性セシウムが土壌中にどのように存在するかは未だ明確ではなく、このため有効な対策を考えるための研究・開発もなかなか進んでいない。

放射性微粒子の電子顕微鏡像(上)とそこから放出されるX線が示す微粒子の化学組成(下)。これにより、放射性微粒子を構成する物質を明らかにし、左から順に風化黒雲母の鉱物粒子、有機物が主体で小さな鉱物粒子を含む粒子、細かい鉱物粒子の集合体(土壌団粒)と分類した。

© 2014 Kogure Laboratory.
放射性微粒子の電子顕微鏡像(上)とそこから放出されるX線が示す微粒子の化学組成(下)。これにより、放射性微粒子を構成する物質を明らかにし、左から順に風化黒雲母の鉱物粒子、有機物が主体で小さな鉱物粒子を含む粒子、細かい鉱物粒子の集合体(土壌団粒)と分類した。

東京大学大学院理学系研究科の小暮敏博准教授の研究グループは、(独)日本原子力開発機構、(独)物質・材料研究機構、(独)国際農林水産業研究センターとの共同研究によって、さまざまな電子顕微鏡技術などを駆使して福島県飯舘村から採取した土壌中で放射性セシウムを固定している多くの微粒子を特定・解析し、さらにその中で放射性セシウムがどのように分布しているかを今回初めて明らかにした。

これらの成果は、福島地方の今後の長期的な放射性物質の拡散・移動等の動態予測、化学的な処理による土壌中の放射性セシウムの除去方法の開発、除染作業によって膨大に発生しつつある汚染物質の有効な減容化や貯蔵方法の提案などに大きく貢献することが期待される。

プレスリリース

論文情報

Hiroki Mukai, Tamao Hatta, Hideaki Kitazawa, Hirohisa Yamada, Tsuyoshi Yaita and Toshihiro Kogure,
“Speciation of radioactive soil particles in the Fukushima contaminated area by IP autoradiography and microanalyses”,
Environmental Science & Technology Online Edition: 2014/11/10 (Japan time), doi: 10.1021/es502849e.
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