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テトラ中性子核を発見 中性子物質研究の本道を開拓

掲載日:2016年1月4日

© 2016 Keiichi Kisamori.テトラ中性子核内の4個の中性子の分布の想像図と実験に用いられたSHARAQ磁気分析装置。

テトラ中性子核のイメージ図と用いられた実験装置の模式図
テトラ中性子核内の4個の中性子の分布の想像図と実験に用いられたSHARAQ磁気分析装置。
© 2016 Keiichi Kisamori.

東京大学大学院理学系研究科の下浦享教授と理化学研究所らの研究グループは、中性子4個だけで構成されるテトラ中性子核を発見し、中性子物質研究の本道を拓きました。

自然界の物質質量の大半を担う原子核は、通常、陽子と中性子の組合せから成ります。そして、天然に存在する安定な原子核の陽子の数と中性子の数はほぼバランスがとれています。どれだけバランスが崩れた原子核が存在できるのかは、陽子や中性子を結びつけている核力の性質と深く関連しています。さまざまな組合せのうち、最も極端な中性子だけで構成される原子核が存在するか否かは、原子核研究における1つの重要な課題であり、実験的にも、理論的にも注目されてきました。現に、中性子が2つの原子核は長い時間存在できないことがわかっていますが、中性子4つの原子の存在は、これを実験的に効率よく生成する手法が確立されていなかったため、わかっていませんでした。

今回、研究グループは、陽子を含まず中性子4個だけからなるテトラ中性子共鳴を初めて発見しました。生成した中性子4個からなる原子核は、実験室中でほぼ静止した状態で生成することに成功しました。これは、不安定な原子核であるヘリウム8核(8He)のビームを利用した新しい実験手法を開拓したことによるものです。 「中性子原子核の測定には、理化学研究所RIビームファクトリー施設内に建設されたSHARAQ(シャラク)磁気分析装置を利用しています」と下浦教授は話します。「今回の成果は、宇宙に存在する主として中性子から成る中性子星の構造の解明への道を拓くものと考えています」。

プレスリリース

論文情報

K. Kisamori, S. Shimoura, T. Uesaka, et al., "Candidate Resonant Tetraneutron State Populated by the 4He(8He,8Be) Reaction", Physical Review Letters
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