UTokyo Research

  • Japanese
  • English
検索閉じる
言語閉じる
  • 日本語
  • 英語
Research News

脆い材料を丈夫にする秘訣とは?

長期間、強さとしなやかさを保つゲルを世界で初めて開発

タグ

工学系研究科・工学部
2015/10/08

©  2015 Takamasa Sakai.(左)伸長していない水中のゲルの様子。(右)水中で3倍に伸縮させる操作を繰り返したゲルの様子。今回開発したゲルに荷重がかかると、網目構造が壊れる前に凝集体の一部が優先的に壊れることで、網目構造にかかる力をうまく逃してくれます。

引張耐久性試験で見られたゲルの網目構造の変化
(左)伸長していない水中のゲルの様子。(右)水中で3倍に伸縮させる操作を繰り返したゲルの様子。今回開発したゲルに荷重がかかると、網目構造が壊れる前に凝集体の一部が優先的に壊れることで、網目構造にかかる力をうまく逃してくれます。
© 2015 Takamasa Sakai.

東京大学大学院工学系研究科の酒井崇匡准教授らの研究グループは、ゲルに一度変形させると力を取り除いてもそのままの形が残る可塑性部位をあえて組み込むことで、長期間同じ強度と伸縮性を保つことのできる材料を世界で初めて実現しました。人工軟骨や人工椎間板など、体の荷重がかかる部位への応用や、人工筋肉などの繰返し曲げ伸ばしが求められるものへの応用が期待されます。

ゲルとは、高分子の三次元網目構造が溶媒を含んだ柔らかい材料を指します。伸縮性に富み、液体を保持できるといったユニークな特徴を有していることから、食品や化粧品と言った日用品、コンタクトレンズやオムツなどの医療・衛生用品として幅広く使われています。しかしながら、ゲルは繰り返し荷重がかかると突発的に壊れてしまう性質を持つため、材料の耐久性という観点から問題がありました。

研究グループは、水溶液中で分子が寄り集まって集合体を作る性質(凝集)を持つ高分子を、ゲルの網目構造に均一に組み込むことで、ゲルに可塑性を付与し、長期間同じ強度と伸縮性を保つ性能を世界で初めて実現しました。今回開発したゲルでは、水中でゲルの網目中に均質に分散した凝集体が、ゲルの網目構造を補強します。ゲルに荷重がかかると、網目構造が壊れる前に凝集体の一部が優先的に壊れることで、網目構造にかかる力をうまく逃してくれます。このように、凝集体の可塑性が、繰り返しの引張・圧縮に負けない強さとしなやかさをゲルにもたらします。

「従来のゲルは水中で何度も繰り返し引っ張っていると壊れてしまいますが、私たちのゲルは水中で3倍に伸して、戻す操作を100回以上連続して繰り返しても壊れません」と酒井准教授は話します。「作製方法もシンプルで、二種類の溶液を混ぜるだけで誰でも簡単に作製することができます」。

論文情報

Shinji Kondo, Takashi Hiroi, Young-Soo Han, Tae-Hwan Kim, Mitsuhiro Shibayama, Ung-il Chung, and Takamasa Sakai, "Reliable gel with mechanical ‘fuse link’ in an aqueous environment", Advanced Materials Online Edition: 2015/10/07 (Japan time), doi:10.1002/adma.201503130.
論文へのリンク(掲載誌

関連リンク

大学院工学系研究科

大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻

大学院工学系研究科 工学系研究科 酒井・鄭研究室

前の投稿へ 次の投稿へ
Page Top