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流れを当てたら毛が生えた!!

流体せん断力による微絨毛形成の発見とその分子メカニズムの解明

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生産技術研究所
2016/01/28

© 2015 Shigenori Miura本デバイスを用いると、流体せん断力に対する上皮バリア構造の微絨毛形成や物質輸送機能を評価できます。BeWo細胞が培養されたガラス化コラーゲン薄膜が、母体および胎児の血流を模した2つの流路(チャネル)を隔てている。

ヒト胎盤バリア構造を再構成した「Organ-on-chip」デバイスのイメージ図
本デバイスを用いると、流体せん断力に対する上皮バリア構造の微絨毛形成や物質輸送機能を評価できます。BeWo細胞が培養されたガラス化コラーゲン薄膜が、母体および胎児の血流を模した2つの流路(チャネル)を隔てている。
© 2015 Shigenori Miura

東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授と三浦重徳特任研究員(研究当時)らの研究グループは、ヒトの母体と胎児の血流、および両者間の物質輸送を担うヒト胎盤バリア構造をマイクロ流路内に再構成した「Organ-on-chip」デバイスを作製しました。研究グループは、この「Organ-on-chip」デバイスを用いて、母体の血流によって生じるはさみ切るような力(流体せん断力)が胎盤バリア細胞の微絨毛形成を誘導することを見いだしました。

私たちの体を構成する細胞は、流体の流れや伸展、圧縮、ねじれといったさまざまな刺激にさらされています。このような刺激に対して、細胞は独自の応答をすることによって、環境に適応し、細胞や組織機能を維持していると考えられています。母体血中にある酸素や栄養物を胎児の血液に輸送する胎盤バリアも、さまざまな刺激を受けて適応している組織の一例です。胎盤バリア細胞は、母体から胎盤へと旺盛に流れ込む母体血から常に流体せん断力を受けています。しかし、この細胞の細胞形態や機能が流れによってどのような影響を受けているのか、これまでほとんど研究されてきませんでした。

今回、研究グループは胎盤バリア細胞に流体せん断力をかけると、生体バリア組織に特徴的な微絨毛の形成が新規に観察されたのに加え、微絨毛に局在するタンパク質GLUT1によるグルコース輸送量が増加することを発見しました。流れなどの力がかからない従来の静置培養法と比較すると、細胞が流体せん断力に応答して微絨毛を形成し、細胞機能を制御していることが明らかになりました。また、微絨毛形成は流体せん断力によるカルシウムイオンチャネルTRPV6の活性化により誘導されることがわかりました。

「今回、流体せん断力が微絨毛形成に重要であることを発見しましたが、これはマイクロ流体デバイス技術を用いることで初めて明らかになった成果と考えています」と竹内教授は話します。上皮細胞の新たな力学応答特性を解明したものであり、 今後のメカノバイオロジー研究の進展に貢献する成果です。

なお、本成果は、学術誌「Nature Communications」にて公開されました。

本研究は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業「竹内バイオ融合プロジェクト」の一環として行われました。

プレスリリース [PDF]

論文情報

Shigenori Miura, Koji Sato, Midori Kato-Negishi, Tetsuhiko Teshima and Shoji Takeuchi, "Fluid shear triggers microvilli formation via mechanosensitive activation of TRPV6", Nature Communications: 2015/11/13 (Japan time), doi:10.1038/ncomms9871.
論文へのリンク(掲載誌

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