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低分子化合物(TD-198946)で処理した軟骨再生シート 変形性関節症の治療を目的として

掲載日:2013年6月11日

変形性膝関節症は膝関節軟骨が摩耗する病気で、一度軟骨が磨り減ると元の状態に戻すことができないとされており、これまでの治療法は対処療法がほとんどです。軟骨組織再生についてはすでに多くの研究開発が進んでおりますが、今回、東京大学大学院工学系研究科(医学系研究科兼担)の鄭雄一教授らは、細胞シートを培養する温度応答性細胞培養器材(株式会社セルシード製)を用いて、軟骨分化誘導能をもつ分子化合物(TD-198946)で処理した軟骨細胞シートを作製し、膝関節軟骨欠損動物モデルに移植し、より効率よく硝子様軟骨組織を再生させました。

© Fumiko Yano. 軟骨細胞シート移植 マウス膝関節軟骨欠損部に軟骨細胞シートを移植し、8週間後に組織観察したところ、TD-198946で処理した軟骨細胞シートでは軟骨様組織の再生がみられる(赤染色)

本研究では、温度応答性細胞培養器材を用いることによって、軟骨細胞の基質を保存したまま、シート状に回収できる軟骨細胞シートと低分子化合物の組み合わせで、少量の軟骨細胞から軟骨組織を再生できることが示唆されました。今後は用いる細胞、化合物の安全性などを評価することによって、軟骨組織再生の選択肢が広がる可能性があります。

プレスリリース

論文情報

Fumiko Yano, Hironori Hojo, Shinsuke Ohba, Taku Saito, Muneki Honnami, Manabu Mochizuki, Tsuyoshi Takato, Hiroshi Kawaguchi, Ung-il Chung,
“Cell-sheet technology combined with a thienoindazole derivative small compound TD-198946 for cartilage regeneration”,
Biomaterials Online Edition: 2013/4/24, doi: 10.1016/j.biomaterials.2013.04.008.
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