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1000倍以上の超大規模量子もつれを実現 量子コンピューター研究新時代の到来

掲載日:2013年12月13日

量子もつれと呼ばれる量子の持つ特殊な相関を利用した量子コンピューターは、次世代の超高速コンピューターとして期待されています。量子コンピューター実現への鍵は超大規模量子もつれの生成技術でしたが、現実には最大でも14量子間のもつれしか生成できていませんでした。

© Shota Yokoyama, (上)実験系の写真。(下)生成した超大規模量子もつれのイメージ図。丸とそれらを結ぶ線は、光の波束と量子もつれを表している。

東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授と横山翔竜(しょうた)大学院生らは、光での量子もつれ生成を時間的に多重化する(量子もつれ生成装置を繰り返し使用する)新手法により、従来の1,000倍超となる16,000以上の量子がもつれ合った超大規模量子もつれの生成に成功しました。従来の手法では大規模な量子もつれの生成にはビル一つ分の大きさまでに装置が大きくなってしまう問題がありましたが、この新手法では、装置の規模を拡大することなく超大規模量子もつれを生成できます。時間領域多重という新技術の具現化により、超大規模量子もつれ生成という最重要課題をついに克服できました。この成果をきっかけに、量子コンピューター開発は、超大規模量子もつれを活用する新たな時代を迎えると期待されます。本研究成果は、2013年11月17日18時(英国時間)に「Nature Photonics」誌のオンライン速報版で公開されました。

本研究の成果はオーストラリアのシドニー大学のニコラス・メニクーチ准教授との共同研究によるもので、文部科学省・先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プログラムなどの支援のもとに行われました。

プレスリリース

論文情報

Shota Yokoyama, Ryuji Ukai, Seiji C. Armstrong, Chanond Sornphiphatphong, Toshiyuki Kaji, Shigenari Suzuki, Jun-ichi Yoshikawa, Hidehiro Yonezawa, Nicolas C. Menicucci & Akira Furusawa,
“Ultra-large-scale continuous-variable cluster states multiplexed in the time domain”,
Nature Photonics Online Edition: 2013/11/18 (Japan time), doi: 10.1038/nphoton.2013.287.
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