UTokyo Research

  • Japanese
  • English
検索閉じる
言語閉じる
  • 日本語
  • 英語
Research News

極薄の有機材料でe-skinディスプレーの性能が向上

ばんそうこうのような貼るだけディスプレー

タグ

工学系研究科・工学部
2016/05/13

© 2016 東京大学 染谷研究室血中の酸素濃度をモニターするシステムの概要。(右上)指に赤と緑の高分子発光ダイオード(PLED)からの発せされた光を当てます。指の内側で反射した光は超柔軟な有機光検出器が捉えます。この反射光を用いて血中の酸素濃度と脈拍数を測定します。(下)センサーが測定した結果は、PLEDディスプレーに表示することができます。

血中の酸素濃度を測定する超柔軟な光センサーと酸素濃度を表示する7区分ディスプレー
血中の酸素濃度をモニターするシステムの概要。(右上)指に赤と緑の高分子発光ダイオード(PLED)からの発せされた光を当てます。指の内側で反射した光は超柔軟な有機光検出器が捉えます。この反射光を用いて血中の酸素濃度と脈拍数を測定します。(下)センサーが測定した結果は、PLEDディスプレーに表示することができます。
© 2016 東京大学 染谷研究室

東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授と横田和之講師らの研究グループは極薄で超柔軟な保護膜を開発し、大気中でも安定して動作する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーを実現しました。今回の成果は、血中の酸素濃度を皮膚上に表示するe-skin(電子皮膚)ディスプレーや心拍数を測定できるセンサーなど様々な応用が期待されます。

生体に電子機器を融合させて、生物医学的(生理学的)な応用のために人体の機能を強化または回復させることを目指して、世界で研究開発が進められています。特に、ウェアラブル・エレクトロニクス(体に装着する電子機器)は、装着感や違和感を最小限にするために薄く柔軟性がなくてはなりません。しかし、現在開発されているデバイスのほとんどは、厚さが数ミリメーターのガラスまたはプラスチックの基材を用いたもので柔軟性がそれほど高くありません。一方、有機デバイスは数マイクロメーターの薄さで柔軟性はあるものの、大気中で安定して動作しないという問題がありました。

研究グループは、2マイクロメーターに満たない薄くて高品質な保護膜を開発し、極薄で超柔軟かつ高性能な装着型の電子ディスプレーなどのデバイスが実現可能であることを示しました。研究グループが開発した保護膜は、無機材料(シリコン酸窒化膜、SiON)と有機材料(パリレン)の層を交互に重ねて作ります。この保護膜は、空気中の酸素と水蒸気の透過を防ぐため、これまでの研究では数時間と報告されていたデバイスの寿命が数日に延びました。さらに、研究グループは、極薄の基材を損傷することなく透明の酸化インジウムスズ(ITO)の電極を基材に取り付ける(成膜する)ことに成功した点も装着型の電子ディスプレーを実現する鍵となりました。

 

研究グループは、この新しい保護膜と酸化インジウムスズ電極を用いて、高分子発光ダイオード(PLED)および有機光検出器(OPD)を製作しました。これら2つのデバイスは肌に貼ることができるほど極薄で、体の動きに合わせて折り曲げられたり、くしゃくしゃになったりしても特性が損なわれないほど柔軟性があります。今回開発した高分子発光ダイオードは、わずか3マイクロメーターという薄さで、従来の極薄型高分子発光ダイオードの6倍以上の効率が認められました。また、熱の発生が抑えられ、電力消費量も低減されているため、この高分子発光ダイオードは直接体に貼りつけて血中の酸素濃度や脈拍数を表示するディスプレーとして医療現場で応用することにも適しています。さらに研究グループは、赤と緑の高分子発光ダイオードと光検出器を組み合わせて、血中の酸素濃度を検出するセンサーも製作しました。

「携帯電話が現れたことで、私たちのコミュニケーションの仕方も変わりました。携帯電話はどんどん小型化していますが、それはまだ別個の機器であり(体に貼りつけられないので)持ち運ぶ必要があります。身体に貼り付けることのできるディスプレーができて、そのディスプレーには自分の感情、ストレスや不安の度合いも表示できるとしたら、どんな世界が開けると思いますか?携帯電話のように別個の機器をいつも持ち運ぶ必要がなくなるだけでなく、人とのコミュニケーションを豊かにする可能性、またはまったく新しいコミュニケーションの仕方を生み出す可能性があります」と染谷教授は語ります。

プレスリリース

論文情報

Tomoyuki Yokota, Peter Zalar, Martin Kaltenbrunner, Hiroaki Jinno, Naoji Matsuhisa, Hiroki Kitanosako, Yutaro Tachibana, Wakako Yukita, Mari Koizumi, Takao Someya, "Ultraflexible organic photonic skin", Science Advances Online Edition: 2016/04/16 (Japan time), doi:10.1126/sciadv.1501856.
論文へのリンク(掲載誌

関連リンク

大学院工学系研究科

大学院工学系研究科 電気系工学専攻

大学院工学系研究科 電気系工学専攻 染谷研究室 有機トランジスタ・ラボ

前の投稿へ 次の投稿へ
Page Top