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Research News

世界最高速の連写カメラ

1兆分の1秒以下の超高速で複雑な動的現象の可視化を実現

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工学系研究科・工学部
理学系研究科・理学部
2014/08/18

科学において高速撮影は動的現象を研究する極めて有用な手法です。しかしながら、既存の高速度カメラは機械的・電気的動作の限界から撮影速度がナノ秒に制限されており、ピコ秒やフェムト秒といった超高速な動的現象を捉えることが困難です。一方で、より高速な現象の疑似的動画を得る手法としてポンプ・プローブ法がありますが、この手法は動画をつくるために繰り返し撮影が必要であり、一度きりしか起こらない非反復的な現象を捉えられません。

a © 2014 Keiichi Nakagawa., b Adapted by permission from Macmillan Publishers Ltd: Nature Photonics 10.1038/nphoton.2014.163, copyright 2014
a, 異なる時間スケールでの動的現象。
既存の高速度カメラは機械的・電気的動作の限界から撮影速度がナノ秒に制限されていた。これに対しSTAMPカメラはこれまで捉えることができなかったナノ秒以下の領域を捉えられる。本手法はナノ秒以下の超高速で複雑な動的現象を探索し、新しい分野を切り拓くことが期待される。
b, フォノン・ポラリトンの形成と伝播の様子。
水平方向に超短パルスレーザーを線集光し、フォノンパルスを発生させた。(挿入図上)線集光されたレーザー光が複雑な電子応答と格子振動を誘起し、次第にフォノンパルスが形成される様子。(挿入図下)パルスが画像下方から上方へ光速の約6分の1という速度で伝わっていく様子。上下の撮影結果はともに平均フレームレート4.37 Tfps(4.37兆分の1秒毎に1フレーム)で画像を取得したもの。

今回、東京大学大学院理学系研究科/日本学術振興会の中川桂一特別研究員、同大学院工学系研究科の佐久間一郎教授、慶應義塾大学理工学部の神成文彦教授、東京大学大学院理学系研究科/カリフォルニア大学ロサンゼルス校の合田圭介教授らは、様々な色の光を用いて動的現象の像を空間的にばらけさせ、そのあとで時間的に動画として再構成するという、既存の高速度カメラとは異なる動作原理に基づく超高速撮影法を提案し、実証しました。この手法はSequentially Timed All-optical Mapping Photography (STAMP)と呼ばれ、スタンプが押されるように、撮影対象の像が全光学的プロセスを通じて次々とイメージセンサーに入力され、取得されます。この原理を実証するため6枚の連続画を取得するシステムを立ち上げ、65.4 Gfps(15.3ピコ秒に1フレーム)の撮影速度にてレーザーアブレーションを、1.23 Tfps および4.37 Tfps(それぞれ812フェムト秒、229フェムト秒に1フレーム)という撮影速度にてフォノン・ポラリトンの超高速な動的現象を一度の撮影(シングルショット)で連続的に取得することに世界で初めて成功しました。

本手法は、従来手法では捉えることができなかったナノ秒以下の超高速で複雑な動的現象を、連続画としてシングルショットで可視化することができます。また、本手法は巨視的なものから微視的なものの観察まで幅広く適用することが可能です。具体的には、生体組織・細胞での衝撃波伝播過程の解析、化学反応、プラズマ現象、物質中の電子や熱の移動、スピン波や光の伝播などさまざまな超高速現象を観察できる可能性を持ち、基礎科学研究において今後、多くの未知の現象の発見や解明に貢献することが期待されます。

プレスリリース

論文情報

Keiichi Nakagawa, Atsushi Iwasaki, Yu Oishi, Ryoichi Horisaki, Akira Tsukamoto, Aoi Nakamura, Kenichi Hirosawa, Hongen Liao, Takashi Ushida, Keisuke Goda, Fumihiko Kannari & Ichiro Sakuma,
“Sequentially timed all-optical mapping photography (STAMP)” ,
Nature Photonics Online Edition: 2014/8/11 (Japan time), doi: 10.1038/nphoton.2014.163.
論文へのリンク(掲載誌UTokyo Repository

リンク

大学院理学系研究科

大学院工学系研究科 精密工学専攻 医用精密工学研究室

慶應義塾大学理工学部 電子工学科 神成研究室

大学院理学系研究科 化学専攻 合田研究室

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