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Research News

過ぎたるは猶及ばざるが如し

過剰なビタミンAが引き起こすマスト細胞の組織特異性のかく乱

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医科学研究所
2014/05/07

アレルギーや炎症を引き起こす免疫細胞の一種にマスト細胞と呼ばれる細胞が存在する。マスト細胞は、皮膚などの結合組織と肺や腸管などの粘膜組織とでは異なる性質を持つことが古くから知られていた。しかし、その特性が組織ごとに異なることの意味やそれぞれの特性がどのようなメカニズムによって調節されているかは不明であった。

© Yosuke Kurashima.
過剰なビタミンAが引き起こすマスト細胞の組織特異性のかく乱。正常時では、Cyp26b1の作用によりビタミンA(レチノイン酸)が代謝されている。ビタミンA過剰時においては、マスト細胞が活性化し皮膚炎が引き起こされる。

東京大学 医科学研究所の倉島 洋介 助教、清野 宏 教授と独立行政法人医薬基盤研究所の國澤 純プロジェクトリーダーらの研究グループは、マウスにおいてマスト細胞が皮膚や肺、腸管などの組織でそれぞれ異なる特性をもつことを確認し、これらの特性は線維芽細胞と呼ばれる結合組織を構成している細胞によって調整されていることを明らかにした。皮膚では、皮膚の線維芽細胞によってビタミンA の濃度が調節されており、過剰なビタミンAや線維芽細胞によるビタミンAを代謝する仕組みが機能しなくなった場合にマスト細胞が異常に活性化し、皮膚炎が誘導されることがわかった。また、皮膚のマスト細胞ではマスト細胞を活性化させる受容体の発現が他の組織より少ないことも見出した。

過剰なビタミンAの摂取が皮膚炎を起こす事例として、高濃度のビタミンAが蓄積されたホッキョクグマの肝臓などを食べる習慣のあるイヌイットでは皮膚障害が引き起こされることが知られており、本研究の成果はこの皮膚障害の発症メカニズムを説明できるものである。本成果は、組織ごとに異なる特性をもつマスト細胞の活性のかく乱が、体のさまざまな部位で起こる慢性的な炎症やアレルギーの発症につながっている可能性を新たに示したものであり、慢性的な炎症やアレルギーに対する予防や治療法の開発につながると期待される。

プレスリリースク

論文情報

Kurashima Y, Amiya T, Fujisawa K, Shibata N, Suzuki Y, Kogure Y, Hashimoto E, Otsuka A, Kabashima K, Sato S, Sato T, Kubo M, Akira S, Miyake K, Kunisawa J, Kiyono H,
“The enzyme Cyp26b1 mediates inhibition of mast cell activation by fibroblasts to maintain skin-barrier homeostasis”,
Immunity, 2014 Apr 17, Vol.40, No.4, p.530-41, doi: 10.1016/j.immuni.2014.01.014.
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