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「お酒を飲んでも嫌なことは忘れられない?」

発表概要:
  アルコールは記憶力を低下させることが知られているが、恐怖記憶を思い出した直後にアルコールを投与すると恐怖記憶が強められることが分かった。

発表内容:
記憶が獲得(覚える)、固定(記憶として貯蔵する)、想起(思い出す)の段階に分かれることはよく知られている。覚えたてのあやふやな記憶も次第に固定されて安定した記憶になっていく。また、アルコールが獲得過程を抑制することもよく知られており、深酒の後のできごとを覚えていないという実体験をもっているひとも多い。近年、想起の段階で、安定していた記憶が一旦不安定になり固定し直される(再固定)ことが示唆されている。東京大学大学院薬学系研究科の松木則夫教授のグループは、ネズミを使って恐怖記憶の再固定に対するアルコールの作用を検討した。その結果、驚くことにアルコールは想起の過程で不安定になる記憶を安定化させ、再固定を強く促進させることが明らかになった。また、この作用が、忘れる過程(消去)への作用ではないことを確認した。
  この結果を単純に人間に当てはめると、嫌な出来事を忘れようとして酒を飲み、憂さを晴らし、友に慰められ、その場は楽しい気分になっても、翌日には楽しかったことはよく覚えていなく、逆に忘れようとした嫌な記憶が強く残ることになる。「嫌なことを忘れるためには、早い段階で、酒を飲まずに楽しい記憶で上書きすることが良いのではないか」と松木教授は話している。

発表論文・掲載誌:
Ethanol Enhances Reactivated Fear Memories, Hiroshi Nomura and Norio Matsuki
「Neuropsychopharmacology」(電子版で2月20日に既に掲載済み)。

問い合わせ先:
松木則夫 (東京大学大学院薬学系研究科教授・薬品作用学教室)

 

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