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記者会見「超高齢社会の課題解決に向けて『高齢社会総合研究機構』を設立」記者発表

記者会見「超高齢社会の課題解決に向けて『高齢社会総合研究機構』を設立」

平成21年3月6日


報道関係各位

                                
                                        国立大学法人 東京大学

記者会見「超高齢社会の課題解決に向けて 『高齢社会総合研究機構』 を設立」

・本邦初の本格的ジェロントロジー(老年学)の研究教育拠点
・専任教授に前厚生労働事務次官の辻哲夫氏を招聘 
・東京大学の全学部をあげて学際的な取り組みを実施

日時:平成21年3月13日(金)16時30分~17時30分
場所:東京大学山上会館2階201・202号室(本郷キャンパス:文京区本郷7-3-1)
出席者:理事・副学長  平尾公彦
      高齢社会総合研究機構 運営委員長  大内尉義 (医学系研究科教授)
            同         機構長、教授 鎌田 実
            同         教授   辻 哲夫
            同         特任教授  秋山弘子        
                       (機構関係者は設立時の肩書き)

 東京大学(総長小宮山宏)は、平成21年4月1日、総長室に「高齢社会総合研究機構」(機構長:鎌田 実教授)を新設いたします。本学は、日本が世界で先行する超高齢社会における諸課題の解決に向けて、平成18年4月に、総長室総括プロジェクト機構の活動の一つとして、日本生命保険相互会社、セコム株式会社、大和ハウス工業株式会社の3社からの寄附金により、「ジェロントロジー寄付研究部門」を設置しました。新たな機構の設立は、この寄付研究部門の3年間の活動を踏まえて、大学の恒常的な組織として発展させるものです。

 現在約21%の日本の高齢化率は、今後20年で33%に達し、75歳以上の後期高齢者が1000万人増加して倍増となり、本格的な超高齢社会を迎えます。この未曾有の高齢化は、いまだ世界のどの国も経験したことがありません。日本はフロントランナーとして、世界から注目されており、世界の模範となることが期待されております。少子高齢化により、医療費・福祉費の増大、要介護高齢者の増加、若年層の負担増といったネガティブな面が強調されますが、超高齢社会は、日本の目覚ましい経済発展の成果でもあります。人生90年をどう生きるか、いかにして老いても心豊かに生き切ることができる成熟した社会を作るのかが問われています。また、高齢者を社会資源と捉え新しい雇用や産業の誕生に対する期待も高まっています。こうした課題を解決するためには個人の長寿化と社会の高齢化に応じた新たな価値観の創造と社会システムの抜本的見直しが必要で、科学の貢献が期待されています。
 超高齢社会の広範で複雑な課題を解決するためには、医学、看護学、生物学、工学、法学、経済学、社会学、心理学、倫理学、教育学などを包括する新しい学問体系を築くことが必要です。そのような総合的学問体系であるジェロントロジーは、高齢社会の諸課題解決に先導的な役割を担う使命をもっています。総長室直轄の本機構は高齢社会の諸課題に有効にかつ柔軟に取り組めるよう学際的なチームでプロジェクトが組めるようになっています。世界最長寿国であるがゆえに他の国々に先駆けて顕在化している高齢社会の重要課題に対して全学的な知を結集して取り組み、いまだ形成期にあるジェロントロジー学を推進すると共に、エビデンス・ベースの政策・施策提言を行っていくことを目指しています。また、学部横断的なジェロントロジーの教育プログラムにより超高齢社会を担う人材の養成を行うと同時に、大学外にも広く門戸を開き、他大学、民間の研究機関、企業、行政、地域団体と連携・協力して活動を展開していきます。

 本機構は、大内尉義医学系研究科教授を運営委員長とする運営委員会の下に、3名の専任教員、学内のほとんどの部局からの約40名の兼任教員、事務スタッフ等で構成されます。2名の専任教授としては、工学系研究科から鎌田実教授が移籍して機構長を務め、前厚生労働事務次官、現田園調布学園大学教授の辻哲夫氏を新たに教授として迎え入れます。また、秋山弘子特任教授が寄付研究部門から継続して任にあたります。
 機構の活動には、従来から引き続き企業からの寄附金の支援をいただきつつ、競争的資金の獲得による活動の拡大を行っていきます。

 同機構の主なミッションとしては、次の4つがあげられます。
・超高齢社会に向けた課題解決型研究の実施:福井県や千葉県などをフィールドとした社会実験型研究を行い、エビデンスに基づいた政策提言を行っていきます。
・学部横断型の教育カリキュラムの充実:寄付研究部門時代に立ち上げた教育のプログラムの拡充を行い、多くの学生にジェロントロジーを学ばせ、次世代研究者の養成と共に、超高齢社会を担う人材を官庁や産業界に送りだします。
・国際連携:欧米やアジア諸国の研究者等との幅広いネットワークを構築し、人口の高齢化というグローバルな課題解決の国際的拠点を形成します。
・産学連携:本学の産学連携本部と連携して、企業との産学連携を推進します。活動の一つとしては、ジェロントロジー・コンソーシアムを形成し、将来に向けたロードマップの作成等を行います。

本件に関するお問い合わせ先:
総長室総括プロジェクト機構ジェロントロジー寄付研究部門
特任教授 秋山弘子

参考資料

 

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