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記者会見「核内の糖付加による新たな遺伝子発現制御機構の発見」研究成果

記者会見「核内の糖付加による新たな遺伝子発現制御機構の発見」

1.発表日時:平成21年4月16日(木)16:00~17:00
 
2.発表場所:東京大学分子細胞生物学研究所 生命科学総合研究棟3階
302号室会議室(弥生キャンパス内:文京区弥生1-1-1)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_07_09_j.html
東京メトロ南北線東大前下車5分

3.発表者:加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所 教授)

4.発表概要:
東京大学分子細胞生物学研究所(所長:秋山徹)の核内情報研究分野の藤木亮次助教と加藤茂明教授らは、核内の単糖付加が、遺伝情報調節(エピゲノム)シグナルであることを、血球系の分化誘導系を用いて証明した。

5.発表内容:
  近年のポストゲノム研究の中心はエピゲノム研究である。エピゲノムは、DNA上に記された遺伝暗号とともに、遺伝情報発現に必須な遺伝暗号である。エピゲノムの一つの柱は、ヒストンタンパクの修飾である。我々は、このヒストンタンパク修飾を行なう酵素を生化学的に同定する過程で、新たに見出したヒストンメチル化酵素に、今まで生理機能が不明であった核内の単糖の付加修飾が起こることを見出した。更に、この糖付加により、ヒストンメチル化酵素が活性化されることを見出した。具体的には、ヒト白血病由来のHL60細胞が、レチノイド処理によってヒト白血球成分のうち約60%を占める顆粒球様の細胞に分化する現象に着目し、分化誘導に必須なヒストンメチル化酵素(MLL5)複合体を同定した。更に複合体構成因子や修飾を生化学的に解析したところ、O結合型単糖(O-GlcNAc)がMLL5に付加し、複合体形成を誘導し、ヒストンメチル化活性を惹起することを見出した(図1)。
  このことは、細胞核内の重要なタンパク修飾やエピゲノム調節の一つに、糖付加反応機構が存在することを初めて証明するものであった。また、この核内糖付加反応は、細胞外グルコース濃度に依存するため、糖尿病等の代謝性疾患との関連する可能性が考えられた。また、白血病癌細胞の分化誘導治療薬の一つとして、新たに糖鎖付加剤が応用できる可能性を示した。

6.発表雑誌:
英国科学雑誌 Nature 4月19日号(web版)にletterとして掲載される。

7.注意事項:
解禁日時:[テレビ、ラジオ等]平成21年4月20日午前2時
[新聞]平成21年4月20日付け朝刊

8.問い合わせ先:
加藤茂明(かとう しげあき)
東京大学分子細胞生物学研究所 教授

藤木 亮次(ふじき りょうじ)
東京大学分子細胞生物学研究所 助教

9.添付資料:
図1 今回新たに発見したタンパク質糖修飾の役割(モデル図)
図

 

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