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東大と日立が共同で 超高速データベースエンジンを研究開発 ―従来型のデータベースエンジン比で約800倍の処理性能をめざす―研究成果

「東大と日立が共同で 超高速データベースエンジンを研究開発
―従来型のデータベースエンジン比で約800倍の処理性能をめざす―」

平成23年6月2日

東京大学生産技術研究所
株式会社日立製作所


国立大学法人東京大学(総長:濱田 純一/以下、東大)と株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、年々飛躍的に増大し巨大化するデータに対して飛躍的な処理高速性を有するデータベースエンジンの研究開発を共同で行っており、このたび、開発中のデータベースエンジンプロトタイプを用いた実験において、数種類のデータ解析要求について従来型のデータベースエンジン比で約100倍(*1)の処理性能を達成しました。本研究開発は、最先端研究開発支援プログラム(*2)「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川優 東京大学生産技術研究所教授、期間:2010年3月~2014年3月)において実施しているもので、最終的には2013年度中に従来型のデータベースエンジン比で800倍程度にデータ解析系処理(*3)を高速化することにより、従来のシステムでは困難であった超巨大データに対する高速な解析処理の実現をめざします。

また、本研究開発は、超高速データベースエンジン技術の確立を通じ、大量データを活用した新たな社会サービスや高付加価値産業の創出に寄与するなど、研究開発成果の社会への還元を狙いとしています。日立は今後、実証実験を経て、研究開発成果を反映した新しいデータベースソフトウェアの開発をすすめ、2012年度中に事業化する計画です。

■最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」の概要
近年、高速なインターネット回線の普及や各種センサー技術の進展などを背景として、実世界で生み出されるデータ量が爆発的に増加し、従来に比べて飛躍的に大規模なペタバイト(*4)を超える巨大なデータベースシステムも出現しつつあります。一方、このような超巨大データに対し、現行の商用データベースシステムの技術では処理に長大な時間を要するため、データベースエンジンの飛躍的な高速化を図ることが課題となっています。

こうした背景から、東大と日立は、2010年3月から開始している最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」において、東大が発案した従来にない新しいデータベース実行原理である「非順序型実行原理」に基づく超高速データベースエンジンを共同で研究開発しています。      
なお、日立は、今後の事業化にむけて大量データ処理分野の各種サービスでこれまで培ってきたノウハウを活用し、現在開発を進めているデータベースエンジンプロトタイプを用いた実証実験などを通じて超高速データベースエンジンの有効性の検証を東大と共に進めていきます。

■「非順序型実行原理」に基づく超高速データベースエンジンについて  
現在開発中の超高速データベースエンジンは、大量の非同期入出力(*5)を発行するとともに、入出力の要求順序とは無関係な順序でデータ処理を行う「非順序型実行原理」により、大幅な性能向上の達成を目指しています。当該原理により、ストレージシステムならびにマルチコアプロセッサ(*6)の利用効率を大きく向上することが可能となり、特に、超巨大データベースにおいて根幹となる技術の確立を目指します。

■関連ホームページ
最先端研究開発支援プログラム「巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする 戦略的社会サービスの実証・評価」ホームページ
http://www.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/FIRST/

■商標に関する注記
記載の法人名、製品名はそれぞれの法人の商標または登録商標です。

(注)
*1:解析系データベースに関する標準的なベンチマークを元に作成した、各種のデータ解析要求の実行性能を計測しました。データ解析要求の種類によって高速化率に差は見られるものの、データベースにおいて特定の条件を満たす一定量のデータを絞り込んで解析を行うデータ解析要求においては約100倍の高速化を確認しています。
*2:世界のトップを目指した先端的研究を推進することにより、産業、安全保障等の分野における我が国の中長期的な国際的競争力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果の国民及び社会への確かな還元を図ることを目的として創設された国の研究開発プログラム。全国から565件の応募があり、30件が採択されました。そのうち、本プロジェクトは情報技術分野で唯一の採択課題です。
*3:特に超巨大データベースにおいて特定の条件を満たす一定量のデータを絞り込んで解析を行う処理をターゲットとしています。
*4: 1ペタバイトは1ギガバイトの100万倍、1テラバイトの1,000倍。
*5: コンピュータプログラムがその完了を待たずに実行を進めることができる入出力。
*6: 多数のプロセッサコアを集積したプロセッサ。

■本件についてのお問い合わせ先
  一般の方お問い合わせ先:
   国立大学法人東京大学 生産技術研究所 最先端支援室 [担当:櫻井]
   株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ソフトウェア事業部 計画部 [担当:菅]

 報道機関お問い合わせ先:
   国立大学法人東京大学 生産技術研究所 最先端支援室 [担当:櫻井]
   株式会社日立製作所 情報・通信システム社 広報部 [担当:菊池]

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