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食事摂取時の複雑な舌運動を定量化
―フランスで開催される国際学会MEMS2012および
神戸で開催される日本静脈経腸栄養学会にて発表―

平成24年1月31日

国立大学法人 東京大学(総長:濱田 純一、以下、東京大学)IRT研究機構(機構長:下山 勲、以下、IRT)の下山 勲 教授および竹井 裕介 特任助教、国立大学法人 大阪大学大学院歯学研究科 舘村 卓 准教授、社団法人TOUCH 河合 利彦 氏、株式会社 明治 外山 義雄 氏らは、フランスで開催される国際学会MEMS2012(The 25th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems、2012年1月29日~2月2日)、および第27回日本静脈経腸栄養学会(JSPEN、2012年2月23日~2月24日)で、「食事摂取時の複雑な舌運動を定量化」した結果を発表致します。

人は、飲料や食品を飲み込む際に、舌を口蓋に押し当てて、飲料や食品を咽頭および食道へ送り込みます。そのため、嚥下動作のメカニズム解明には、舌の動きを計測する方法がとられてきました。従来の舌の動きを計測する手法としては、人体への影響が大きい刺入電極による筋電位計測法や、像がぼやけてしまうX線観察法、口蓋に貼り付けた圧力センサシートを用いて舌が口蓋に接触する圧力を計測し接触位置を求めて舌の運動を推定する方法などがありました。
今回発表する研究では、演者らが開発・製作した、せん断力を計測することが可能なセンサを口蓋に貼付し、口蓋に対して舌を前後左右にすり動かすときに生じるせん断力を直接的かつ非侵襲に計測しました。その結果、従来の圧力センサシートなどでは分からなかった、嚥下時の舌の3次元的な運動の活動量が分かるようになりました。

センサ表面は、体内に入れても安全なシリコーンゴムで構成されており、内部にシリコンピエゾ抵抗カンチレバーが埋め込まれ、シリコーンゴムの変形を3次元的に計測します。センサは、大きさ7 mm×6 mm、厚さ0.8 mmと小型で薄いため、人間の咀嚼嚥下動作を阻害することなく、舌の動きを計測することができます。

飲料水を嚥下した際に舌が口蓋に及ぼす、前後方向のせん断力および左右方向のせん断力を計測し、それらのセンサ出力値を積分した値を、舌の活動量とし、官能評価と比較しました。その結果、飲み込みやすいと評価された食品は、そうでない食品と比べて前後方向、左右方向ともに、舌活動量が有意に小さいことが分かりました。また、舌の左右方向の活動量に着目すると、通常の飲料水の場合、水が口腔内で拡散するために、舌が左右に細かく動いて水を舌の上にまとめるために舌活動量が大きくなるのに対して、増粘飲料水の場合は、舌の上で水がまとまって広がらず、左右の活動量が少なくなることが分かりました。

このような飲み込みの際の3次元的な舌の動きが定量的に把握できると、従来の圧力センサシートなどの計測では分からなかった、口腔内での食物の流れや食事摂取時の複雑な舌の運動を3次元的にとらえることができ、嚥下障害を有する高齢者や小児に向けた食品開発に役立ちます。

参考:
MEMS2012 website: http://www.mems2012.org/
Y. Takei1, K. Noda, T. Kawai, T. Tachimura, Y. Toyama, T. Ohmori, K. Matsumoto, and I. Shimoyama
“TRIAXIAL FORCE SENSOR FOR LINGUAL MOTION SENSING”

JSPEN website : http://jspen2012.jp/
“咀嚼嚥下時の舌運動様相の3次元・時系列的解析が可能な超小型口蓋センサの開発”
河合利彦、竹井裕介、野田堅太郎、松本潔、下山勲、外山義雄、大森敏弘、舘村卓

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図1:口蓋に3軸力センサを貼り付け、嚥下時の立体的な舌の動きを計測する。

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図2:製作した口蓋貼付用3軸力センサ

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図3:センサを口蓋に貼り付けた様子

<本件に関するお問い合わせ先>
東京大学IRT研究機構
東京大学大学院情報理工学系研究科 教授 下山 勲
URL: http://www.leopard.t.u-tokyo.ac.jp/

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