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スーパーコンピュータでの創薬支援の国際的な加速化作業を開始 本年内に医薬品開発に世界最高の環境を提供することを目指す記者発表

スーパーコンピュータでの創薬支援の国際的な加速化作業を開始
本年内に医薬品開発に世界最高の環境を提供することを目指す

平成24年2月16日

東京大学先端科学技術研究センター


1.会見日時: 2012年2月16日(木) 11:00~12:00  

2.会見場所:東京大学先端科学技術研究センター4号館 3階セミナー室

3.出席者:
東京大学先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラトリー(LSBM)
       ディレクター・教授 児玉龍彦
東京大学先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラトリー(LSBM)
       特任教授 藤谷秀章
 
4.発表概要:
東京大学先端科学技術研究センター システム生物医学ラボラトリー(LSBM)は、富士通株式会社と連携して、21世紀のイノベーションの中心課題であるスーパーコンピュータを駆使した医薬品設計技術の開発をすすめています。この研究をさらに加速させるため、このたび、先端研LSBMは、国際的な創薬支援プログラムの最適化を富士通およびスウェーデンのストックホルム大学の研究者とともに開始することになりましたので、発表いたします。

5.発表内容:
【背景】
先端研LSBMと富士通株式会社は、2011年6月から、抗がん剤などの候補となる低分子化合物を効率良く創出できる新しいIT創薬技術の共同研究を続けてきました。最先端研究支援で先端研に設置された富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX922」で、結合自由エネルギー(注1)の予測の計算手法の有効性が証明されつつあります。先端研では、現在、国内の製薬企業3社との連携研究がスタート、ほか3社と連携に向けて協議中です。さらに、世界最速のスーパーコンピュータ「京」で予測計算の最適化をすすめています。
【発表内容】
先端研LSBMは、本研究をさらに加速させるため、富士通および世界的な分子動力学(注2)計算パッケージである「GROMACS」の開発者 スウェーデン・ストックホルム大学のErik Lindahl教授らと、国際的な共同開発を開始することになりました。富士通のスーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX10」や「京」でGROMACSの最適化を進め、世界最高レベルの医薬品設計環境を製薬企業ならびに創薬研究者に提供することで、医薬品開発の時間が一気に短縮することが期待されます。また、本年秋に本格的に稼働する「京」に、世界標準の超並列アプリケーション(注3)を提供することにより、「京」の機能をフルにいかしてがんの治療薬設計をすすめ、本年内に最初の医薬品設計をなしとげ、国民の期待に応える着実な基盤を力強く形成します。

6.問い合わせ先:
東京大学先端科学技術研究センターLSBM 特任教授 藤谷 秀章 

7.用語解説:
(注1)タンパク質と化合物間の結合に伴うエネルギー変化のこと。
(注2)分子を構成する原子同士の間に働く力を、時間を追って計算することで、物質の形状変化や、エネルギー量などを計算する技術。原子数に応じて計算量が指数的に増えるので、タンパク質などの分子量の大きい物質を生体の環境を考慮して厳密に扱うには、大規模なスーパーコンピュータが必要となる。
(注3)規模の大きな並列計算機で効率的に動作するアプリケーション・ソフトウェア。

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