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記者会見「鉄道の駅に設置する乗降位置可変型ホーム柵『どこでも柵?』」研究成果

記者会見「鉄道の駅に設置する乗降位置可変型ホーム柵『どこでも柵®』」

平成24年11月8日

東京大学生産技術研究所

1.発表日時:
平成24年11月8日(木)13:00~14:00(受付開始 12:30)

2.発表場所:
東京大学生産技術研究所千葉実験所 事務棟1F会議室

3.発表者:
東京大学生産技術研究所千葉実験所    須田 義大(所長、教授)
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻  古賀 誉章(助教)
株式会社神戸製鋼所都市システム部営業室 飯塚 義和(室長)

4.発表ポイント:
①成果
東京大学と株式会社神戸製鋼所は平成21年度より開始した共同研究により、どこでも柵®の受容性、安全性の研究成果を基に要素技術試作機を製作、80万回の耐久試験を行った。
②新規性
戸袋体を動かして車両ドアに扉位置を合わせること。それによっ
て車両ドア枚数やドア位置の異なる複数種の車両が運行されている路線に導入が可能となる。
③意義/将来展望
近年多発する鉄道人身事故(転落、触車、立ち入り)の削減が期待できる。
ホームドアを導入するための多額な車両更新費用、定位置停止装置の導入が不要になる。

5.発表概要:
日本におけるホームドアや可動式ホーム柵などは、乗客の安全確保・バリアフリーの切り札として、設置が切望されているものである。ただ、実際には期待通りに普及が進まない現実がある。その最大の理由は、扉の数や位置などが異なる複数の車両が運行されていることにある。その背景には様々なサービスに対応するために様々なタイプの車両がある、という状況があり、車両側の統一は容易なことではない。この課題を解決するべく、東京大学と株式会社神戸製鋼所は共同で、扉だけでなく戸袋も移動することであらゆる車両のドア位置に対応できる“どこでも柵®”の開発を行っている。これによって、既存車両を置き換えることなく基本的にはすべての駅でホームドア等の利用が可能になる。さらに、どんな車両にも対応できるということは、どこに止まっても対応できるということであり、定位置停止装置を導入しなくてもホームドア等を設置できることも、大きな利点となる。
本開発では乗客や鉄道事業者の受容性、安全性の研究成果を基に、要素技術試作機を製作し、80万回の耐久試験を実施した。そしてこのたび、東京大学生産研究所千葉実験所の一般公開に合わせて、本機を当地に移設した。
なお、本開発には国土交通省の鉄道技術開発費補助金を活用している。

6.発表内容:
どこでも柵®の開発は2009年度から始まり、3年目の2011年度には国土交通省鉄道局より鉄道技術開発費補助金の交付を受け、各要素技術の開発と、第一次試作機の製作・試験を行った。
第一次試作機は2ユニット分が製作されている。戸袋体の両側に扉体が出入りするタイプで、戸袋体の幅1,400mm、扉体の出幅は1,100mmに設定した。高さは1,300mmである。動作が見えるように外板は透過性を確保し、直線と曲線(160R)の走路を走行させた。動作試験の結果、駆動系・センサー系など各種の動作について大きな問題がないことが確認できた。80万回の長期耐久試験を実施し無事完了したので、このたび、東京大学生産研究所千葉実験所の一般公開に合わせて公開するべく千葉実験所に移設したものである。
4年目の2012年度も引き続き国の補助を受け、実際のホームに設置する第二次試作機の設計・製作・設置工事を目指している。その際にホームへの設置工事の課題、運用での課題を洗い出し解決していくとともに、同時に全体の軽量化とコストスタディも進めていく。また、各種センサーの開発、想定されるあらゆるドア配置に対応した構成手法と制御アルゴリズムの開発、安全性への評価なども行う予定である。最終的には、2013年度の商品化が目標である。
“どこでも柵®”を用いることが、ホーム上で今まで以上の安全・安心を提供するのと同時に、現在当たり前に実現している多様な車両による目的に応じた運行形態を継続し、さらに将来の新しい車両・運行形態への自由度を確保しておくことのできるような、より利便性・快適性の高い鉄道システムの発展に寄与するものであると確信している。

7.問い合わせ先:
東京大学生産技術研究所千葉実験所 
所長(教授) 須田 義大(すだ よしひろ) 

株式会社神戸製鋼所秘書広報部広報グループ 橋本

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