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統計学的手法を用いた、本震直後の大きな余震のリアルタイム確率予測

平成25年7月17日

 東京大学生産技術研究所

1.発表者:
近江 崇宏 Takahiro Omi (東京大学 生産技術研究所/日本学術振興会 特別研究員PD )
尾形 良彦 Yosihiko Ogata (東京大学 生産技術研究所 客員教授/統計数理研究所 名誉教授)
平田 祥人 Yoshito Hirata (東京大学 生産技術研究所 特任准教授)
合原 一幸 Kazuyuki Aihara (東京大学 生産技術研究所 教授)

2.発表ポイント:
・これまで困難であった、大きな地震の直後に起こる余震をリアルタイムで精度よく確率的に予測する手法を開発した。
・本手法により本震後数時間から、その後の余震活動の精度の高い予測が可能となった。
・本手法を用いることにより防災上の意思決定を行う上で有用な情報を提供できると期待される。

3.発表概要:
大きな地震が起こった後、特に一日目には多くの強い余震が起こる確率が高い。しかしながら、観測技術的な問題からこの時期の地震発生データは極めて多くの観測上の欠損を伴うため、本震の直後に余震が発生する確率について、精度の高い予測をたてることがこれまで難しかった。
東京大学生産技術研究所の近江崇宏研究員(現在:日本学術振興会特別研究員PD)、尾形良彦客員教授、平田祥人特任准教授、合原一幸教授らの研究チームは、本震直後から高精度な余震の予測を可能にする統計手法を開発し、その有効性を実際の余震発生データを用いて示した。観測漏れのある地震発生データから、実際にはどの程度の数の地震が起こっていたかを推定する統計学的方法を開発し、この方法を既存の予測モデルと組み合わせることにより、本震直後から余震の発生する確率について精度の高い予測が可能になった。
日本では、大きな地震が発生すると気象庁により余震の確率予測が行われている。通常は本震発生後、一日以上たってから余震の予測が行われている。本研究の成果により、精度の高い予測を行うために必要な時間が大幅に短縮される。今回研究チームが新たに開発した手法は、防災上の意思決定を行う上で有用な情報を提供できると期待される。
この成果は、2013年7月17日にネイチャー・パブリッシング・グループの総合科学雑誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ誌)」(オンライン版)に掲載される予定である。掲載論文は下記URLからどなたでも無料で閲覧することができる。
http://www.nature.com/srep/index.html

4.発表内容:
■背 景
  大きな地震の直後にはおびただしい数の余震が起こり、強い余震は被災地に追加的な被害をもたらす可能性がある。特に、本震後数ヶ月の間に起こる強い余震の約半数が本震後一日目に起こる。そのため本震後できるだけ早く、強い余震が発生する確率を予測できることが非常に重要である。しかしながら本震の直後には、地震観測網の地震検出能力を超える極めて多くの余震が発生し、多くの余震が観測から漏れてしまうため、即座に精度の高い予測を行うことが難しかった。例えば、気象庁では本震の発生後、通常は1日以上たってから余震の予測を行っている。

■内 容
  本研究チームは、欠損を伴う地震発生データから、実際にはどの程度の数の地震が起きていたかをリアルタイムに推定する統計学的方法をベイズ統計理論に基づき開発した。この方法を既存の余震の予測モデル(大森-宇津則、グーテンベルク-リヒター則)と組み合わせることにより、本震後数時間の限られたデータから、精度の高い余震の確率予測が行えるようになった。

■効 果
  本研究チームは、2011年の東北地方太平洋沖地震の余震データを用いて、本予測手法の有効性を示した。さらに地震発生後、即座に観測システムによって検出されたデータ(2013年2月に日光で起こったマグニチュード6.3の地震の余震データ)を用いた場合でも、本予測手法が有効であることを示し、現実的な状況において今回研究チームが開発した余震予測方式が有用であることを実証した。本震直後からの精度の高い余震の確率予測は、防災上の意思決定においても有用である可能性が高い。

5.発表雑誌:
Takahiro Omi, Yosihiko Ogata, Yoshito Hirata and Kazuyuki Aihara, “Forecasting large aftershocks within one day after the main shock”. Scientific Reports. (2013).

なお、本成果は本論文の投稿に先立ち、東京大学から特許申請されている(発明の名称:余震予測装置、余震予測方法、および、プログラム 出願番号:特願2013-99426)。
本研究の一部は、総合科学技術会議により制度設計された最先端研究開発支援プログラム(FIRST合原最先端数理モデルプロジェクト)により、日本学術振興会を通して助成されたものである。

6.問い合わせ先:
・近江 崇宏(おおみ たかひろ)
東京大学 生産技術研究所/日本学術振興会 特別研究員PD 

・尾形 良彦(おがた よしひこ)
東京大学 生産技術研究所 客員教授 

・合原 一幸(あいはら かずゆき)
東京大学 生産技術研究所 教授

7.添付資料
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