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東京大学が史料映像追体験システムを開発 鉄道博物館、SKIPシティ映像ミュージアムとの協同展示にて公開記者発表

東京大学が史料映像追体験システムを開発
鉄道博物館、SKIPシティ映像ミュージアムとの協同展示にて公開

平成26年10月9日
東京大学大学院情報理工学系研究科

 

発表者: 
  国立大学法人 東京大学 (※)

※本学担当者:鳴海拓志(東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 助教)

 

発表のポイント: 
  ◆タブレット端末を展示車両に向けてかざすと関連する史料映像が重ねて表示され、タブレット端末を展示車両に向けて体を動かすと、展示車両が走行する様子を鑑賞できる展示システムを開発しました。
  ◆アーカイブされた史料映像を有効活用し、受動的に展示物を眺めるだけの既存の展示手法では伝えられなかった展示物の動きや空間的状況を容易に把握できる展示を実現しました。
  ◆展示システム「鉄道思い出のぞき窓」を、鉄道博物館および映像ミュージアムにおいて一般に展示公開します。

 

発表の概要
機能や動き等が重要な意味を持つ展示物を静的に展示する場合、博物館では解説のために史料映像が使われます。しかしビデオ映像では、展示物と映像中の解説との対応付けが難しく、展示物に対する理解が深まりにくいといった課題がありました。
今回、東京大学大学院情報理工学系研究科 廣瀬通孝 教授・谷川智洋 講師の研究室では、鉄道博物館(埼玉県さいたま市)および埼玉県のデジタル映像制作拠点SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム(埼玉県川口市、以下「映像ミュージアム」)にアーカイブされた史料映像を活用し、タブレット端末を展示車両に向けて体を動かすと、展示車両が走り出したかのように現役当時の車両の姿を鑑賞することができる史料映像追体験システム「鉄道思い出のぞき窓(注1)」を開発しました(図1、2)。この史料映像追体験システムでは、拡張現実感(AR、注2)を用いて史料映像を展示物に重ねて表示する際に、体験者がカメラマンのような動きを再現するように誘導します。それによって、体験者はより強烈な印象を経験することができ、史料映像への没入感と空間把握、史料映像の撮影意図や展示物の動きへの理解が向上する効果があったことを確認しています。
今回、この「鉄道思い出のぞき窓」を、鉄道博物館および映像ミュージアムの協力のもと、両館において公開します。これまで博物館等では大量の史料映像が蓄積されてきましたが、必ずしも有効に活用されてはいません。今回の成果を実際に博物館展示に導入することにより、蓄積されてきた大量の史料映像を活用し、展示物の価値や関連する知識を効果的に次世代に伝達可能な展示を展開していきます。

 

<鉄道博物館 イベント展示>
1. 展示内容
鉄道思い出のぞき窓 (鉄道博物館ver.)
館内の展示車両にタブレット端末をかざして体を動かすと、展示車両が走
り出したかのように、活動していた当時の車両の姿を見ることができます。
また、展示車両が使われている様子を、車内を歩き回る感覚で追体験でき
ます。(タブレット端末は現地で貸出します。)

 

2. 会場
埼玉県さいたま市大宮区大成町3丁目47番
鉄道博物館 ヒストリーゾーン1F

 

3. 会場へのアクセス
JR大宮駅よりニューシャトル「鉄道博物館駅」下車、徒歩1分
鉄道博物館へのアクセスの詳細は、以下にてご確認ください。
http://www.railway-museum.jp/access/index.html

 

4. 展示日時
2014年 10月11日(土)~14日(火)、18日(土)、19日(日)
    11月 1日(土)~ 3日(月・祝)、8日(土)、9日(日)
12月 13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日)、23日(火・祝)

開館時間 10:00~18:00  (入館は17:30まで)
10/11~14は19:00まで開館(入館は18:30まで)

 

5. 料金
鉄道博物館の入館料のみ。
鉄道博物館の入館については、以下にてご確認ください。
http://www.railway-museum.jp/information/index.html

 

<映像ミュージアム企画展「鉄道×映像」>
1.展示内容
鉄道思い出のぞき窓 (SKIPシティver.)
鉄道博物館の展示車両を撮影した大判写真パネルにタブレット端末をかざし
て体を動かすと、車両が走り出したかのように現役当時の車両の姿を見るこ
とができます。彩の国デジタルアーカイブ(埼玉県とNHKが所蔵する映画、
テレビ番組、文化財写真、記録写真などの史料を、デジタル化して保存して
いる国内最大級の映像の図書館)に所蔵の映像を使用したコンテンツを体験
できます。(タブレット端末は現地で貸出します。)

 

Sharelog(SKIPシティver.)
来場者が自分のICカード型乗車カード(Suica、PASMO等)を展示台に置
くと、そのカードの利用記録がビジュアルとなって地図上に現れます。来場
者はこの展示を通して自分にとっての地図を再確認することができます。
本企画展のために従来のSharelog(注3)に、埼玉県の地図情報を追加しました。

 

2. 会場
埼玉県川口市上青木3-12-63
SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム

 

3. 会場へのアクセス
JR川口駅東口、国際興業バス「7,8,9番のりば」から乗車。
バス停「総合高校」下車徒歩5分。
映像ミュージアムへのアクセスの詳細は、以下にてご確認ください。
http://www.skipcity.jp/access/

 

4. 開催日時
2014年9月6日(土)~12月28日(日)
詳細は、以下にてご確認ください。
http://www.skipcity.jp/railways/

 

5. 料金
大人510円、小中学生250円(常設展含む) ※未就学児無料

 

用語解説: 
(注1)鉄道思い出のぞき窓:博物館におけるデジタル技術の役割は、実物による「モノ」の展示に「コト」の側面をくわえ、鑑賞・体験・学習の融合した新しい展示を創出することです。東京大学大学院情報理工学研究科の廣瀬・谷川研究室では、「モノ」と「コト」の融合した展示、鑑賞中だけでなく事前事後を含めた鑑賞体験の総合的なサポート、博物館のためになるデジタル技術の3つのコンセプトを柱として、バーチャルリアリティ・複合現実感技術を駆使したデジタル博物館の実現を目指した研究を行っています。「鉄道思い出のぞき窓」は、博物館やミュージアムにおいて、展示物とその背景情報となる映像資料を共存させて展示する複合現実感展示システムです。
(参考)http://www.cyber.t.u-tokyo.ac.jp/ja/projects/#2_diorama

 

(注2)拡張現実感(AR:Augmented Reality):実際の景色、地形、感覚など、現実の知覚情報に、コンピュータで作り出された情報を重ね合わせることによって、現実世界とバーチャル世界の融合を実現し、現実世界の情報を強化する技術。

 

(注3)Sharelog :廣瀬・谷川研究室が開発した、体験者ひとりひとりの日常を俯瞰的に見つめなおすことができる、ユーザ参加型のパブリックなメディアアート作品です。SuicaやPASMOなどの交通系ICカードをかざすと、ICカードに記録された20件の鉄道利用記録を星座に見立てて、実写データを基に作られた都市の映像にマッピングしてスクリーンに投影します。ICカードの情報は匿名情報でありながら個人に密着したライフログとしての性質を持っています。廣瀬・谷川研究室では、これをユーザ参加型展示のインターフェースとして用いることで、鑑賞者それぞれのログを個性として簡単に作品に反映する手法を提案しています。

添付資料: 


図1 「鉄道思い出のぞき窓」を体験している様子(車両:C57)

 


図2 「鉄道思い出のぞき窓」を体験している様子(車両:クモハ101)

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