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記者会見
脳画像から運転能力を評価できる可能性
~白質病変は高齢者の運転能力を有意に低下させる~

平成26年10月10日

東京大学生産技術研究所

 

1.会見日時: 2014年10月10日(金) 14:00~16:00 
 
2.会見場所: 東京大学生産技術研究所総合研究実験棟An棟大会議室(An301/302)別紙参照
         〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1
         http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/access/access.html

 

3.出席者: 
中野 公彦(東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センター/大学院情報学環 准教授)
朴 啓彰(高知工科大学 客員教授/高知検診クリニック 脳ドックセンター長)
鄭 仁成(東京大学生産技術研究所附属次世代モビリティ研究センター 特任助教)

 

4.発表のポイント
  ◆大脳白質病変(以下「白質病変」、注1)と診断される高齢者群が同世代の白質病変と診断されない高齢者群と比較して運転能力が低下していることを実車両の運転試験によって示した。
  ◆医学的には症状がなく、生活上の能力が低下していないと考えられていた軽度の白質病変においても、運転能力に差があることを示した。
  ◆白質病変はMRI画像によって診断されるため、MRI画像を用いた運転能力の評価ができる可能性と、MRI画像を高齢者の運転教育、運転支援法を考える時の基礎データとして活用できる可能性が期待される。

 

5.発表概要:
  東京大学生産技術研究所中野公彦准教授らのグループ、高知工科大学の朴啓彰客員教授(高知検診クリニック脳ドックセンター長 医師)を中心とする高知工科大学のグループ、および高知県警運転免許センターのグループは、白質病変と診断される高齢者群(60歳以上)が同世代の白質病変と診断されない高齢者群と比較して運転能力が低下していることを実車両の運転試験の結果によって示した。
白質病変とは、大脳内にできる細胞の隙間であり、脳のMRI画像を撮った際に、断面画像の中で白色に見えることから、このような名前がついている。この隙間が多い重度の白質病変では、脳機能が低下し認知症との関連性が指摘されているが、軽度の白質病変では脳機能の低下を明白に示すデータはなく、運転能力に及ぼす影響は全く調べられていなかった。
共同研究グループは運転への注意が妨げられている時とそうではない時の運転を観測することによって、白質病変の有無によって高齢者の運転能力に差があることを示した。白質病変はMRI画像によって診断されるため、MRI画像によって運転能力を評価することができる可能性を示した。また、注意力が散漫になった時の運転を観測することが高齢者の運転能力を評価する有効な方法であることも示唆した。本研究の成果は、高齢者の運転教育、運転支援法を考える時の基礎データとして活用できると期待される。

 

6.発表雑誌: 
雑誌名:PLOS ONE
論文タイトル:Leukoaraiosis Significantly Worsens Driving Performance of Ordinary Older Drivers
     日本語訳:白質病変は高齢者の運転能力を有意に悪化させる

著者:
Kimihiko Nakano 中野公彦(東京大学)
Kaechang Park 朴啓彰(高知検診クリニック・高知工科大学)
Rencheng Zheng 鄭仁成(東京大学)
Fang Fang 方芳(東京大学)
Masanori Ohori 大堀真敬(東京大学)
Hiroki Nakamura 中村弘毅(神奈川大学)
Yasuhiho Kumagai 熊谷靖彦(高知工科大学)
Hiroshi Okada 岡田浩(高知県警)
Kazuhiko Teramura 寺村一彦(高知県警)
Satoshi Nakayama 中山哲(高知県警)
Akinori Irimajiri 入交昭典(高知県警)
Hiroshi Taoka 田岡浩(高知県警)
Satoshi Okada 岡田訓(高知県警)

論文掲載URL:http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0108333

 

7.問い合わせ先:
東京大学生産技術研究所 准教授 中野公彦(なかの きみひこ)
高知検診クリニック 脳ドックセンター センター長 朴啓彰(パク ケチヤン)
東京大学生産技術研究所 特任助教 鄭仁成(テイ ジンセイ)

 

8.用語解説:
(注1)大脳白質病変(白質病変)
大脳白質病変は、MRI画像(連続した水平断面画像)のうち白い高信号域を示す領域を指す。加齢や高血圧等の動脈硬化性疾患により生じた大脳白質内に存在する細胞間隙であり、広範囲の広がりを示す重度の白質病変は、脳卒中や認知症と有意な関連性があると言われている。一方、これまで軽度の白質病変は、特に脳機能や生活能力の低下はないと考えられてきた。

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