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気象ビッグデータの時空間統合可視化システムの構築 -気象情報を地図上で可視化し、過去・現在の的確な情報把握が可能に-研究成果

気象ビッグデータの時空間統合可視化システムの構築
―気象情報を地図上で可視化し、過去・現在の的確な情報把握が可能に―

平成26年12月16日

東京大学大学院情報理工学系研究科

 

1.発表者: 江崎 浩(東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻 教授)

 

2.発表のポイント: 
・気象ビッグデータ『ソラテナ(注1)』を題材として、経時的かつ地理空間的な分析が容易に行える、「時間と空間を統合した分析プラットフォーム」を構築しました。
・本プラットフォームにより、ユーザはIT専門家でなくても気象データのリアルタイムデータ及び履歴データを地図上に容易に表現でき、さまざまな分析を行えます。
・気象データだけでなく、施設の電力消費量等のさまざまなセンサ情報も同プラットフォームに追加、管理できる機能も搭載されています。

 

3.発表概要: 
  東京大学大学院情報理工学系研究科の江崎 浩教授と同情報基盤センターの中山 雅哉准教授、OSIsoftジャパン株式会社、ESRIジャパン株式会社は、共同研究活動の成果として、現在、教育研究用途にオンライン提供されている気象のビッグデータ『ソラテナ(注1)』を長期間蓄積すると共に、時間と空間の情報を統合した分析が可能となるシステム(図1)を構築しました。
  本システムを用いると、特定の地域の気温、気圧、日照度等のリアルタイムデータ及び履歴データをグラフ表示、地図上に色別表示をするなど、容易に目的に応じた可視化・分析をすることができるようになります(図2)。今後気象情報に関するさまざまな検証実験などに応用されることが期待されます。
  なお、本システムのデモ、関連動画を、以下のOSIsoftウェブサイトで公開しています。
http://www.osisoft.com/templates/overview-2nt.aspx?id=11907

 

4.発表内容:
  東京大学大学院情報理工学系研究科の江崎 浩教授と同情報基盤センターの中山 雅哉准教授、OSIsoftジャパン株式会社(代表取締役社長:安並 裕、以下 OSIsoft)およびESRIジャパン株式会社(代表取締役社長:正木千陽、以下、ESRIジャパン)は、Live E! プロジェクト(注2)を通じて、研究教育目的で提供されてきた、ソラテナ(注1)および Live E! プロジェクトシステムが生成する気象のビッグデータについて時間と空間の情報を統合的に分析できる可視化システムを構築しました。  
これは長期間蓄積した時系列データ分析システムとリアルタイム GIS(地理情報システム) を連携することで実現したものです。例えば、ブラウザー上で拡大縮小可能な地図上に全国の観測地点から送られてくる気象データをリアルタイムに色分け表示することができ、同時に過去のデータも視覚化できます。 
今後、本システムにより、気象情報に関する経時的かつ地理空間的な分析が容易に可能となり、さまざまな検証実験などに応用されることが期待されます。

2012年度より東京大学、KDDI株式会社(代表取締役社長:田中孝司、以下、KDDI)、株式会社ウェザーニューズ(代表取締役社長:草開千仁、以下、WNI)による気象デジタル情報に関するビッグデータのシステムアーキテクチャとその応用に関する共同研究活動が産学連携研究コンソーシアムLive E!プロジェクトとの協調・連携のもとに進められています。
2013年6月よりLive E!プロジェクトメンバーである株式会社ユビキタス(代表取締役社長:佐野 勝大)の技術支援を得ながら、KDDIとWNIが構築したソラテナが生成する気象ビッグデータと、Live E!プロジェクトが産学連携で構築した気象ビッグデータを統合化し、Live E!プロジェクトを通じて、気象ビッグデータを研究教育目的に広く提供するオンラインサービスがスタートしています。
この流れを受け、Live E!プロジェクトメンバーであるOSIsoftとそのパートナーのESRIジャパンが実証実験に参画し、本システムを構築しました。

 

本システムのデモ、関連動画を、以下のOSIsoftウェブサイトで公開しています。
http://www.osisoft.com/templates/overview-2nt.aspx?id=11907

 

5.問い合わせ先: 
(1) 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授 江崎 浩 (えさき ひろし)  
(2) Live E! 協議会事務局   (担当) 吉田 薫 (よしだ かおる)


6.用語解説: 
(注1)ソラテナ (http://weathernews.jp/door/soratena/
「ソラテナ」は、au基地局の一部(全国約3,000箇所)に設置した気象観測装置から収集した、日照や紫外線など6種類の精度の高い気象データを元に、擬人化したアンテナ「ソラテナ」が、周辺の天気情報を自分の体感情報として、コミュニケーション形式でユーザと共有するサービス。

(注2)Live E!プロジェクト(代表:江崎浩、http://www.live-e.org/
WIDEプロジェクト(代表:東京大学大学院情報理工学系研究科 教授 江崎浩)およびIPv6普及高度化推進協議会(会長:慶應義塾大学環境情報学部 教授村井純)が、2005年に江崎教授を代表として発足した産官学連携の研究開発協議会。個人や組織により設置運営される「デジタル百葉箱」等が自律的に生成・取得する、気象情報や都市活動に関する情報など、広義の地球(Earth)に関する 生きた(Live)環境(Environment)情報が自由に流通し共有できる電子(Electronics)情報基盤を形成発展させ、自律的で自由な 環境情報の利用法、安心安全で効率性の高い活動空間(=環境)の創造を目指している。 地球温暖化対応のような環境保護対策での利用はもちろんのこと、教育、公共サービス、ビジネスアプリケーションなどの分野での自由で自律的な利用法について、積極的な働きかけを行うことを活動の趣旨にしている。
(*) 参加企業・団体: http://www.live-e.org/conference/conference01-3.html

 


別紙「ソラテナデータの時空間統合可視化システムの構築について」

 

システム構築の目的
• 「Live E!データの収集/加工/利用を実現するEnd-to-End」の実証システムを構築し、「Live E!情報が自由に流通し共有される電子情報基盤の形成発展」に資する
• 下記のようなLive E!データを統合管理するデータインフラと、GIS連携により「時間と空間を統合」した分析システムの構築
– ソラテナデータ
– デジタル百葉箱データ (予定)
– 風力・ソーラー発電サイトのデータなど(予定)
– 施設の電力使用量など (予定)
• 検証実験などの効率性を向上
• データの特性を失うことなくビッグデータを効率的に蓄積
• GISと連携したリアルタイムで対話形式の分析機能
• 蓄積された気象ビッグデータを場所・期間・時間間隔を任意に指定して分析するインフラを構築

 

前回システムからの新規性
• 時系列DBをコアとし、PosgreSQL(RDB)では実現困難な特徴を備えたビッグデータ対応プラットフォーム
• パフォーマンス (圧倒的なデータI/O性能、1秒あたり~1千万イベント処理)
• スケーラビリティ(容易なポイント追加、1サーバで2千万ポイント以上管理可能)
• 容易な運用性 (拡張性、柔軟なアプリケーション実装、データ層とアプリ層の分離、高い保守性)
• リアルタイムデータ・過去データを設定ベースでGISへ連携
(ITプロフェッショナル不要、一般ユーザで設定可能)
• 時間と空間を統合した分析プラットフォームの実現
• 地図上にリアルタイムデータを色別表示
• ユーザ自身による容易な画面開発 
• 過去データの自由なグラフ表示 (PI Systemとの連携により)
• 豊富な地理空間分析機能 (範囲選択によるデータ処理など)
• 地図上で時々刻々の変化を動的に表現 (等圧線の推移など)

本システムのデモ、関連動画は以下のウェブサイトでご覧いただけます。
http://www.osisoft.com/templates/overview-2nt.aspx?id=11907

 


図1:赤枠線内が今回構築箇所。約2,000点の気象ビッグデータをOSIsoft社PI Systemに収集・格納し、Esri社Arc GISと連携、各種ツールにより可視化している。

 

図2:実証実験を行ったリアルタイムGIS気象情報の画面表示例。データをグラフ表示、地図上に色別表示する等、目的に応じた可視化や分析が可能。

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