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東京大学、「高校におけるアクティブラーニング型授業」を推進するための高大連携プロジェクトを開始記者発表

東京大学、「高校におけるアクティブラーニング型授業」を推進するための
高大連携プロジェクトを開始

日本全国の高校を対象にした基礎調査を実施!
全国のアクティブラーニング先進授業事例を収集し、ポータルサイトで無償公開!

平成27年3月13日

東京大学大学総合教育研究センター

 

【概要】
  東京大学 大学総合教育研究センターでは、高大連携の新たな発展として、「高校におけるアクティブラーニング」を推進する新たな高大連携型・研究プロジェクトを発足させました。アクティブラーニングとは、「学習者の能動的な学習への参加をうながす、双方向型の教授・学習法」を総称するものです。
 この研究プロジェクトでは、以下の3つの取り組みを実施します。
(1) 日本全国の高校を対象にして、アクティブラーニングの実施に関する基礎調査を実施
(2) 日本全国の高校におけるアクティブラーニングの先進授業事例を収集
(3) (1)(2)のプロセスを通じ、教育の革新をめざす、高校の教育関係者・大学関係者の強固なコミュニティづくりを支援
(1)(2)の調査・事例収集で集まった情報については、新たに設けるWebポータルサイトで無償公開することをめざします。これにより、プロジェクトが生み出す諸知見や先進事例は、すべての関係者の方が無償で利用し、役立てることができるようになります。また、本知見は、高校教員の方々の能力開発、専門性発達に資する基盤づくりに役立てられることが期待されます。

 現在の高校生や若年層が生きる将来の社会では、グローバルに激変する環境の中を、主体的に自らのキャリアや能力を切り拓いていくことが求められます。こうした人材の基礎要件のひとつに掲げられるのは、環境の変化に応じて「主体的に学び、探究しつづける姿勢」です。こうした姿勢を育むためには、できるだけ早い時期、例えば高校生のうちからアクティブラーニング等によって主体的に学ぶ経験が必要です。
 本プロジェクトは、現在の高校生の将来的な就業・働き方を考慮しながら実施されます。高校におけるアクティブラーニングの推進を「高校の授業改革」の枠内におさめるのではなく、将来的な進学・就業の問題に引きつける方向で推進します。それは「新たな高大連携」によって「グローバルに活躍できる人材」の早期育成をめざすこととも言えます。
 本事業は、同センター・教育課程・方法開発部門(研究代表:同センター・同部門准教授 中原淳)が、一般財団法人日本教育研究イノベーションセンター(代表理事 河合弘登 略称JCERI)の支援・協力を得て実施する共同研究事業です。

20150313ウェブポータルイメージ図
Webポータルサイト・イメージ図

【詳細】
 平成26年11月20日 文部科学大臣は、文部科学省に設置された中央教育審議会に対し、グループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなどによる課題解決型の能動的学修(アクティブ・ラーニング)を次期学習指導要領に反映することについて諮問しました。この背景にあるのは、グローバル化の進展、技術革新への挑戦など日本の産業・雇用をめぐる諸問題です。これらの問題に対処するためには、「主体的に学び、新たな価値を探究していける人材」が求められます。その育成においては、従来の教育が特化していた高度な知識獲得はもちろんのこと、「主体的・協働的に探究を勧める学習」が必要であるとされています。
 アクティブラーニングは、2000年代に大学教育に導入され、文部科学省の大学教育再生加速プログラムなどの後押しをうけ、教育現場に少しずつ普及しはじめました。その動きは、徐々に初等・中等教育においても注目されるところとなっていますが、とりわけ高校においては、それが十分普及しているとはいえない状況が続いています。そのような状況から、「高校におけるアクティブラーニングを推進するプロジェクト、それを裏打ちする基礎研究」が求められています。
 これまで東京大学 大学総合教育研究センター教育課程・方法開発部門では、アクティブラーニングをはじめとして大学の授業を双方向化し、学習効果を高めるための教授法の開発等をすすめてきました。同部門においては、2014年に東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」をgacco(http://gacco.org/)にて無償公開し、9500名を超える受講者登録を得ました。受講生の中には、200名を超える高校教員の方々がおり、非常に高い修了率を記録しました。双方向の授業をなすことに対する高校教員の方々の高い関心が見て取れました。
 これに加えて、同部門では、教育機関における授業・生活等が、教育機関卒業後の企業への就職やキャリアにどのように影響するかについて実証的な研究を進めてきました。その知見は、すでに専門書「活躍する組織人の探究」(東京大学出版会、中原淳・溝上慎一編)のかたちでまとめられています。
 このたび、同部門では、以上の既存の2つの事業の経験を活かし、「高校におけるアクティブラーニングの推進」を行う新研究プロジェクトを推進していきます。現在の高校生が社会に出る頃の産業・就業環境をみすえて、高校の教育改善に資する諸知見を生み出すことをめざします。本知見は、高校教員の方々の能力開発、専門性発達の基盤作りに役立てられることが期待されます。
 具体的には、1)日本全国の高校を対象としたアクティブラーニングの実施に関する定量的な基礎調査を定期的に開催し、実態の把握につとめます。一方、2)日本全国の高校におけるアクティブラーニングの先進事例を定性的に取材し、授業案・実践者の工夫などをまとめます。これら定量的・定性的な情報を積極的にWebで無償公開しつつ、3)高校の教育関係者、大学の関係者のコミュニティ・ネットワーク構築をすすめ、日本の高校におけるアクティブラーニングを側面支援します。
 

■参考URL
東京大学 大学総合教育研究センター 教育課程・方法開発部門

 http://www.he.u-tokyo.ac.jp/edtech/
 一般財団法人日本教育研究イノベーションセンター
 http://jceri.kawaijuku.jp/


■お問い合わせ先
 東京大学 大学総合教育研究センター
 教育課程・方法開発部門
 准教授 中原 淳 / 特任研究員 山辺恵理子 

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