東京大学教職員・学生の手記「東日本大震災に際しての総合図書館の対応について」

東日本大震災 - 東京大学教職員・学生の手記

平成23年3月11日に発生した東日本大震災発生時の様子やその後の行動、対応、感想等を本学関係者に手記として執筆してもらいました。

東日本大震災に際しての総合図書館の対応について

附属図書館情報サービス課専門員 大澤正男

 平成23年3月11日(金)14時46分に東日本大震災が発生した際、総合図書館内には多くの利用者が在館していた。総合図書館では、利用者の避難誘導を、館内放送及び職員による直接誘導で行い、比較的短時間ですべての利用者を館外に退避させた。とは言え、今まで経験したことがない大地震であったのと、事前に地震が起きた場合の対処手順を決めていなかったため、場当たり的な対応であったことは、否めない。それでも、多くの利用者が落ち着いて行動し、利用者及び職員ともけが人がなかったのは不幸中の幸いである。一方、利用者の安全を優先して迅速に避難させた結果、館内に利用者の所持品が大量に残される事態となり、利用者を所持品回収のために再入館させることとなった。その場での試行錯誤の結果、同一フロア・室の利用者をまとめて3名の組をつくり、一組に職員一名が同伴して所持品を回収したが、整然と行われたもののかなり時間を有した。今後の避難誘導は、揺れが収まるまでは閲覧机等で身の安全を確保させ、揺れが収まり次第手荷物をもって館外へ退避させるのが適切と思われる。

 また、大学内の他の建物と比べて図書館の最大の特徴は、大量の資料が書架に配架されていることであろう。総合図書館は120万冊の蔵書を所蔵しているが、大震災では、その内約2万冊の資料が落下した。特に3階と4階に配架されている資料の落下が酷く、図書が書架間に落下し、床上に堆く積みあがってしまった(写真参照)。最初見た時には、どのようにして書架の所定位置に戻せばいいのか途方に暮れる状況であった。その上、地震の揺れで水道管が破損したため、その周辺の図書を水濡から防ぐために安全な場所に移動させたりもした。但し、総合図書館の図書の大部分が配架されている地上6階地下1階からなる書庫内は、あまり図書の落下はなかった。積層書架であることと地震の揺れの向きもあるのかもしれないが、関東大震災後に再建された総合図書館で最初から書架が設置されている書庫の揺れに対する堅固さは、特筆に値すると思われる。2万冊の落下図書は、3月14日及び15日の2日間、館員総出で書架に戻したが、落下時に破損した図書も数多くあった。とはいえ、一番気をつけなければならないのは、落下図書により、利用者がけがをすることである。大震災後は、そのような事態を避けるため、地震時にはすぐに書架から離れるように館内放送することにした。

 大震災を通じて学んだことは、事前の準備の大切さと落ち着いた対処である。将来不幸にも同様な事態が発生した際に、被害を最小限に抑えるために、地震対応マニュアルの整備及び避難誘導訓練等を自覚的に行っていく必要があると思う。

書架から落ちた図書


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