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東日本大震災 <東京大学の対応について>

ひょうたん島通信 第2回

 岩手県大槌町の大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターのすぐ目の前に、蓬莱(ほうらい)島という小さな島があります。井上ひさしの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルともされるこの島は、「ひょうたん島」の愛称で大槌町の人々に親しまれてきました。ひょうたん島から毎月、沿岸センターと大槌町の復興の様子をお届けします。

「ひょうたん島通信 第2回」は、東京大学学内広報NO.1422 (2012.2.23)に掲載されたものです。

被災地大槌での共同利用シンポジウム開催

岡 英太郎(大気海洋研究所海洋物理学部門准教授)

 国際沿岸海洋研究センターでは、海洋物理学と気象学の2つの共同利用シンポジウムからなる通称「大槌シンポジウム」が、1981年以来毎年、主に夏休みの時期に開催されてきました。このシンポジウムは日本東方海域および東北地方をメインに広く北太平洋を対象とする海洋物理・気象研究の発表、討論、情報交換の場となってきました。また、伝統的に大学と官庁の研究者間の貴重な交流の場となってきました。

  私はたまたま2010年度と2011年度の海洋パート世話人を務めており、2010年の夏、例年通りシンポジウムを開催した後、「また来年も大槌で会いましょう」と言って他の参加者と別れました。その半年後、東日本大震災が起こり、私は慣れ親しんだ大槌の町が壊滅的な状態となっているのを学術研究船白鳳丸船内のテレビで見て、ただ茫然としていました。


大槌駅にて

  震災後、全国の研究者仲間から大槌の安否を気遣うとともに大槌シンポジウムの存続を願うメールを頂き、シンポジウム開催の検討を始めました。その結果、大槌町からは大変な状態であるにもかかわらず全面的なご協力を頂き、シンポジウム会場(大槌町役場 中央公民館)および宿泊場所(大槌町役場 浪板交流促進センター)をお借りして、2011年11月11~13日に無事開催することができました。テーマは、海洋パートが「黒潮・親潮続流域の循環と水塊過程」、気象パートが「北日本を中心とした降水・降雪特性に関わる海洋大気陸面過程」でした。

  今回も全国各地から両シンポジウム合わせて50名の参加、27件の講演があり、例年通りのリラックスした雰囲気のなか、熱い議論が交わされました。また、夜には浪板交流促進センター近くの食堂「さんずろ家」にて懇親会が催され、さらに浪板交流促進センターでの2次会が夜遅くまで続くなど、研究者間で大いに交流を深めました。


シンポジウムの発表風景

 参加者の多くは、これまでにもこのシンポジウム等で何度も大槌を訪れており、初日は変わり果てた大槌の町の姿を眺めて文字通り言葉を失っていました。しかし、開会のご挨拶を頂いた高橋浩進副町長も述べられた通り、研究内容とは直接関係のない大槌の地に私たち海洋・気象研究者が来て研究集会を行うことは、大槌町の活性化のために少なからぬ意義を持っているはずです。ぜひ来年度以降もこのシンポジウムを大槌の地で続け、これまで以上に盛り上げていきたいと思っています。


宿泊場所の浪板交流促進センターにて

【かわべコラム】

明日に架ける橋 Bridge Over Troubled Water
  ―復興を目指す町のランドマーク―

(かわべコラム)国際沿岸海洋研究センター専門職員・川辺幸一です。沿岸センターで震災にあいましたが、その後も毎月、大槌町に足を運んでいます。復興に向け、日々変化を遂げる大槌町のローカルな話題を紹介します。

 

 今回ご紹介するのは、「シーサイドタウン マスト」 さんです。

  沿岸地区最大のショッピングセンターとして大槌町のランドマーク的な施設でしたが、他の建物と同様、津波により全壊の被害を受けました。しかし、早期再開を望む町民の期待に応え、2011年12月22日に営業を再開。テナントとして、スーパー、ホームセンター、銀行、エステサロン、美容室、書店、飲食店など、45店舗の専門店が出店しています。

 施設内には広いコミュニティースペースもあり、大人だけでなく子供達の姿も多く見かけます。交流の場としての機能もはたしており、大槌町復興のシンボルとなり得るのではないでしょうか。この施設の復活により、大槌町の生活レベルが格段に向上したことは間違いありません(あくまでも被災地レベルでの話ですが)。施設内を歩き回っていると、一瞬、被災地にいることを忘れてしまうような感覚を覚えますが、一歩外へ出て町中を見渡せば、そこには津波の大きな爪痕が残る風景が広がり、そのギャップに愕然とするのです。

  ともかく、一歩一歩ではありますが、確実に復興へと進んでいる大槌町でした。

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「ひょうたん島通信」第2回
制作: 大気海洋研究所広報室
掲載: 東京大学学内広報 NO.1422 (2012.2.23)

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