概要ABOUT


第126回(平成29年秋季)東京大学公開講座
「新たな秩序」

■開講にあたって

 東京大学公開講座へのご来聴を心より歓迎します。東京大学公開講座は東京大学における学術研究の成果を、教員が直接皆さんへご紹介することを目的としています。毎回総括テーマを決めて、教員がそのテーマに関連する研究を最新の研究成果を含めてわかりやすく解説し、学術の極みと感動をお届けいたします。今回のテーマは「新たな秩序」です。
 自然界にも人間界にも「秩序」が存在します。秩序ある風景は心和ませる力を持っていますが、一方で混沌には人を惹きつける力があります。社会は法や規律によって秩序が保たれますが、規律を打ち破ることで社会変革に繋がることもあります。一見混沌にみえるなかに秩序が生まれることもあります。秩序は決して静的なものではなく、ダイナミックに変動しています。
 秩序の崩壊と形成の輪廻は古くはインド哲学の世界観に見られていますが、そこには、地球環境や国際経済の新たな秩序の形成に向けた重要な示唆が含まれています。どのように混沌のなかから秩序は生まれるのかという問題は、生命の根源に関わる原理から宇宙の成り立ちを探る観測実験まで広くかつ深く関わっています。たとえば物質が物質としての秩序を保つには、ひとつひとつの原子では説明できない、集団としての電子の複雑な性質が関わっています。昨年ノーベル生理学医学賞に輝いたオートファジーは、細胞の中での破壊と構築の繰り返しによって生体構造と機能の秩序形成を行うという新たな視座を提示しました。こうした混沌と秩序の関係は複雑系における自己組織化の問題として数理的な理解も進んでいます。
 社会の秩序も重要なテーマです。様々な人や物資が集まる都市という秩序はどうして形成されるのか、都市経済学はその疑問に答えようとしています。エボラ出血熱という未曾有の健康破壊は、国際保健の旧来の秩序の見直しを迫り、新たなグローバルヘルス体制を構築するきっかけを作りつつあります。さらに近年のICTの高度発達やサイバー空間の拡大に伴い、社会構造そのものが新たな秩序を求められるようになっています。
 今回の公開講座では人文・社会科学、経済学、物理学、数理科学、生命科学、医学などの分野で「新たな秩序」を研究する9名の研究者に登場してもらいます。秩序の探求、秩序の形成、そして秩序の再生について、皆さんと一緒に様々な角度から考えて見たいと思います。
平成29年9月
第126回東京大学公開講座企画委員会
委員長 宮園 浩平
(東京大学大学院医学系研究科長)

開催日時・プログラム


SCHEDULE/PROGRAM
DAY1 | 秩序の探究
11月11日(土)
時間講義題目講師所属・職名
12:50-13:00「開講の挨拶」宮園 浩平企画委員長/医学系研究科長
13:00-13:50「インド古来のサステナビリティ(ダルマ)―秩序と規範の一体性」丸井 浩人文社会系研究科 教授
14:10-15:00「宇宙線で見る宇宙の新たな秩序」瀧田 正人宇宙線研究所 教授
15:20-16:10「パーソナルデータの循環とスマートソサエティ」橋田 浩一情報理工学系研究科 教授
16:20-17:10総括討議菅野 純夫新領域創成科学研究科 教授
DAY2 | 秩序の形成
11月18日(土)
時間講義題目講師所属・職名
13:00-13:50「物質の中の電子:秩序と乱れ」鹿野田 一司工学系研究科 教授
14:10-15:00「都市と人口分布の秩序」佐藤 泰裕経済学研究科 准教授
15:20-16:10「仏教が説く秩序の形成と崩壊」馬場 紀寿東洋文化研究所 准教授
16:20-17:10総括討議長谷川 達生工学系研究科 教授
DAY3 | 秩序の再生
11月25日(土)
時間講義題目講師所属・職名
13:00-13:50「細胞内のリサイクルによる秩序:オートファジー」水島 昇医学系研究科 教授
14:10-15:00「グローバルリスク・ガバナンスとその限界 ―グローバルヘルス、サイバーセキュリティの場合」城山 英明公共政策学連携研究部 教授
15:20-16:10「決定論的カオスと新たな秩序:複雑系数理モデル学の観点から」合原 一幸生産技術研究所 教授
16:20-17:10総括討議橋本 英樹医学系研究科 教授
17:10-17:20「閉講の挨拶」松木 則夫理事・副学長

※やむを得ない事情により、プログラムを変更する場合があります。あらかじめご了承ください。

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