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心理学
(1) 特色
本専修課程は、1903年に我が国で初めて心理学実験室が設立されて以来の長い歴史を持っており、心理学の基礎的領域における教育と研究を行っている。現在、教授4名、助教1名、PD・大学院生・学部生ら約80名が心理学研究室に所属している。知覚・注意・記憶・思考などの心理現象を精神物理学的手法・神経科学的手法・認知科学的手法によって実験的に研究している。また、文化認識や科学方法論などについても研究を行っている。毎年、教養学部文科3類や理科1・2類から約25名の学生が本専修課程に進学する。演習や特殊講義によって心理学に関する幅広い知識を身につけるのみならず、心理学実験演習においてヒトや実験動物を被験体として実験を行い、コンピュータの操作法・データの収集と解析法・実験レポートの作成法などを学んでいる。卒業論文では、教員の指導の下に実験的研究を行い、その成果を取りまとめている。
大学院教育に関しては、本専修課程の教員のみならず、大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系の認知行動科学に所属する心理学系教官の参加を得て、指導体制の充実を図っている。
本専修課程の教員は、それぞれが関係諸学会(日本心理学会・日本基礎心理学会・日本動物心理学会・日本視覚学会・日本生理学会・日本神経科学学会・日本認知心理学会・日本認知科学会など)に所属して活動している。研究成果は、各専門分野の国際的学術雑誌に掲載され、公開されている。国内外で開催される学会等に積極的に参加するのみならず、シンポジウム等で特別講演を依頼されることも多い。本学の他研究科や他大学・研究所とも交流があり、共同研究等も活発に行われている。
本専修課程では、実験心理学の教育と研究を行っている。すなわち、実験を中心とする自然科学的な方法によって得られた経験的事実に基づいて、精神現象を正確に理解することを目指している。従来の心理学的な実験方法に加え、神経科学的な方法や認知科学的な方法も取り入れ、脳の働きとして、あるいは、情報処理の過程として、精神機能を理解したいと考えている。
知覚・認知・記憶・生理・脳科学などの領域に関連する授業が開講される。また、実験演習を通じて、具体的な心理学の方法・データの解析法・論理的な考えかたを教育する。一般講義では、コンピュータの使い方とプログラミングも勉強することができる。臨床心理学や社会心理学の分野に関しては、他の専修課程や他学部の授業を聴講することによって補って欲しい。
(2) 各教員の専門領域
立花政夫教授:視覚系における情報処理過程について、神経科学的な手法を動物に適用して実験的に研究している。特に、視覚系の初期情報処理をになっている網膜において、情報がアナログ的に処理される仕方を神経細胞や神経回路網のレベルで解析している。また、網膜や視覚中枢における神経活動と視覚誘発性行動との対応を調べることによって視覚情報のコーディングとデコーディングを研究している。
佐藤隆夫教授:視覚系のうち、比較的初期の情報処理のメカニズム、アルゴリズムに関して、実験心理学的(心理物理学的)な手法を用いて研究を行っている。特に、運動視、両眼立体視、奥行き知覚などを研究している。これまでは主としてランダムドットなどの実験用の特殊なパターンを用いた研究が多かったが、最近は、人間の顔やオモチャ等の現実的な物体の立体知覚にも関心を持ち、写真を撮りまくっている。さらに、大型バーチャルリアリティー装置を用いた立体知覚や空間知覚などの研究も行っている。さらに聴覚、主として音源の定位、音源の運動に関する実験にも取り組んでいる。
高野陽太郎教授:専門は認知心理学(人間が行なっている情報処理の研究 ― いわば科学的な認識論)。思考・記憶・言語・形態認識・文化認識など、人間の認識に関わるさまざまな問題を研究の対象としている。研究の成果は、以下のような一般向けの書物の中でも紹介している。 認知科学選書 第11巻 「傾いた図形の謎」(東京大学出版会)、岩波講座 認知科学第8巻 「思考」(岩波書店)、認知心理学 第3巻 「言語」(東京大学出版会)、岩波科学ライブラリー 55 「鏡の中のミステリー」(岩波書店)、「日本語教育のための心理学」(新曜社)、「心理学研究法」(有斐閣)、「『集団主義』という錯覚 ― 日本人論の思い違いとその由来」(新曜社)。
横澤一彦教授:高次視覚のメカニズムについて、認知心理学的研究を行っている。高次視覚とは、初期視覚特徴の抽出過程にとどまるのではなく、視覚系において抽出された特徴がどのように記憶や言語や概念と関わりあって、認知に至るのかを解明しようとする広範囲の研究を指している。特に、視覚的注意やオブジェクト認知の問題を中心に研究している。さらに、高次視覚の脳内プロセスの解明を目指し、脳機能計測の共同研究にも取り組んでいる。
(3) 卒業論文
卒業論文は、実証的な研究に基づいて作成する。原則として、文献研究は認めていない。教員の指導の下で、実験計画を練り、各自が実験を遂行する。実験データを分析した結果に基づいて、科学論文のスタイルに則って卒業論文を執筆する。提出後、卒業論文発表会において、学会形式で内容を発表する。
(4) 卒業後の進路
約7割の学生は、卒業して民間企業や官庁に就職する。民間企業の場合は、マスコミ・広告代理店・調査会社などで心理学の技法が応用できる仕事に就くこともあれば、製造業・金融業などで、心理学とはそれ程関係のない仕事に就くこともある。最近は、コンピュータ・情報・通信関係の職業に就く学生がかなり増えている。官庁の場合は、心理職に就くこともあれば、一般職に就くこともある。近年、多くの企業で、理科系と文科系の両方のセンスを備えた人材が求められるようになってきており、本専修課程卒業生は、その点で歓迎されることが多いようである。約3割の学生は大学院に進学している。
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