物価予想の形成メカニズムに関する研究

  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標8:働きがいも 経済成長も
  • 目標12:つくる責任つかう責任
渡辺 努
経済学研究科
教授
我が国では1990年代後半から物価が下落するデフレーションが進行しており,経済成長と技術革新の阻害要因となっている。デフレ脱却を目指して政府・日銀は2013年春から異次元金融緩和を行っている。デフレ脱却のカギは人々のデフレマインドを払拭し,健全なインフレ予想を取り戻すことである。本プロジェクトの目的は人々のインフレ予想がどのように形成されるか,その形成プロセスで中央銀行がどのように関与できるかを解明することである。具体的には,日本の約15,000の消費者に対して物価予想や経済政策に関するアンケート調査を実施すると同時に(2014-2017年の各年),アンケート対象となった消費者の購買履歴データを整備し,個人の様々な属性(購買チャネル,購買品目,所得,年齢,世代など)が物価予想に与える影響を調べる。主たる研究成果は,40歳以上の年齢層ではインフレ予想が高まっているのに対して若年層では依然として低いという事実である。これをコーホート効果と年齢効果に分離した結果,コーホート効果が大きいことが判明した。つまり,若年層は人生の大部分をデフレとともに過ごしており,その経験がインフレ予想に大きく影響している。この結果は,若年層が今後社会の中核となるに伴い,デフレマインドがより深く社会にビルトインされる可能性を示唆するものであり,中央銀行などポリシーメーカーや実務家からも注目されている。プロジェクトの成果は全米経済学会主催のコンファランスや韓国中央銀行などで報告(”The Formation of Consumer Inflation Expectations: New Evidence from Japan’s Deflation Experience”)。
物価上昇を予想する人の割合
年代別物価予想

プロジェクトに関するURL

共同実施者

・渡辺 広太(大学院経済学研究科特任研究員)
・ジェス・ダイヤモンド(法政大学経済学部准教授)

主な関連論文

http://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/pdf/workingpaper/fseries/F388.pdf

問い合わせ先

  • 担当: 大学院経済学研究科渡辺努研究室
  • 電話: 03-5841-5595
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