留学経験者インタビュー

先例のないことに挑戦するマインドセット

氏名:R・Kさん
所属学部・研究科(留学開始時):教養学部教養学科総合社会科学分科国際関係論コース3年
留学先大学名:イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
留学プログラム名:全学交換留学
留学期間:2016年8月~2017年5月

留学を決めたきっかけは何ですか。

僕は運動会アメフト部所属なのですが、部がなかなか目標を達成できておらず、その中でも自分自身も実力不足や怪我で全然活躍できず、モヤモヤしていました。また学業面もインテンシヴに取り組めておらず、帰国子女ではないので英語もそれほど上手ではなく、いろいろな面で焦りを感じていました。そんな時、2015年にラグビー日本代表が善戦した当時の監督が、記者会見で、「日本のラグビー選手は、もっと海外に出て、本場のラグビーと英語を学ぶ勇気を持たなくてはならない」と仰っていました。それでインスピレーションを得て、僕もアメリカで本場のアメフトを学んで活躍できるようになり、かつ留学先でちゃんと勉強し、語学力も伸ばすことで、全部のブレイクスルーを一気に達成できるんじゃないかと思いました。それが留学を決めたきっかけでした。

アメフト部から史上初の留学として、部活と留学の両立は大変でしたか。

先ほど話した通りのインスピレーションを得るまでは、やっぱり部活と留学の両立は無理だと思っていました。社会に出てからでも海外に行く機会はあるから、この4年間はアメフトに捧げようと思い、留学は諦めていました。実際に、アメフト部は創部60年弱ですが、休部して長期留学に行くのは、僕が史上初だったので、難しかったです。シーズンまるまる空けるので、監督からの信頼も逃しかけたと思います。でもやっぱり、チームファーストの姿勢を貫き、留学先で身につけたものを生かして帰国後に活躍したい、本場のノウハウを共有したい、と訴えました。実際に、自分の英語力や勉強のためだけに留学するとは考えていませんでした。そうしたら、先輩や同期などは納得してくれましたし、留学中も学んだことを定期的にレポートとして共有するなど、信頼構築に努めました。

アメフト部も日米では違いがあると思いましたか。

部活の運営方法や位置づけが全く異なるものでした。そもそもアメリカではアメフト競技の裾野が広く、大学の試合にも、学校や地域が総出で応援に来ます。だから、毎週6~7万人の観客が試合に来るんですね。とても上手くビジネス化されており、莫大な収入を部だけでなく、大学にも還元するシステムがあり、それでまた部活が盛り上がって、教育も充実し、学生の愛校心が育まれ、彼らが卒業後に巨額の寄付をするといった、好循環を産む装置として部が機能していました。また、部活動については、全米大学体育協会が練習時間などを厳しく管理して、学業と両立できるように部の練習スケジュールが組まれています。全米的に統一されていると抜け駆けできませんし、アカデミックアワードみたいな感じで、GPAの高い選手は、大学や地区、そして全米でも表彰されたり、SNSの記事に載ったりしていました。そのような、部活と勉強を両立するモチベーションも確保する仕組みがありましたね。

留学はキャリア観に何か影響したと思いますか。

留学を通じてキャリアやその選択肢について考え、触れる機会ができたと思います。例えば、留学のための奨学金をくださった経団連のミーティングに呼んでいただき、いろんな企業の方と接することができました。またボストンキャリアフォーラムで内定を頂きました。実はもともとは、アメリカの大企業の本社で働くのに興味がありました。でも、留学中色々経験するうちに、僕の築き上げてきたものや自分の影響力とかを最大化できるのは何かと考え、日本のリーダーを目指したいという気持ちが芽生えました。

今後留学を目指す人へのメッセージをお願いします。

学生の間に留学したことのメリットは、英語力や勉学の向上に加え、本場のアメフトをプレーヤーとして学ぶというユニークな経験が得られたことです。大学生は、部活動に限らず何かと忙しいので留学を躊躇する人も多いですが、僕は、「どっちかを犠牲にして」みたいなのは違うと思っています。止揚、つまり二つの違うことを切り捨てずに組み合わせてもっと高い次元で両方成立させるようなものとして、留学を捉えたらいいと思います。やっぱりリスクはありますし、僕もすごく苦労したのですが、今まで予想もしなかったような成果が望めるのが留学だと思うので、是非挑戦していただきたいです。