日印交流プラットフォーム構築プログラム
Japan India Exchange Platform Program

第1回JIEPP日印交流セミナー
ONLINE

「日印交流とデジタル社会の将来」
IT先進国として知られるインドにおいて、IT高度人材はどのような場で活躍しているのか、日本へ迎えるために重要なこととは何か。
インドの理工学系高等教育機関の最高峰のインド工科大学で教鞭をとる片岡准教授より、IT技術の専門家の立場から、インドのIT社会・人材の現状についてお話しいただきます。
日程
2021年1月29日(金)
時間
JST 17:00-18:30 / IST 13:30-15:00
開催方式
ZOOMによるウェビナー形式
言語
日本語(通訳なし)
参加費
無料
事前登録
必要
主催
文部科学省補助金「大学の世界展開力強化事業」インド(B)
「日印交流プラットフォーム構築プログラム」(JIEPP)
お問い合わせ
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講演者
片岡 広太郎
片岡 広太郎
インド工科大学 ハイデラバード校 准教授
2010年に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程を修了後、同大学院特任助教として災害時の通信システム構築をテーマにインド工科大学ハイデラバード校やマドラス校などとの共同研究に従事。2012年よりインド工科大学ハイデラバード校計算機科学・工学科訪問助教および日印連携推進のためのJICA専門家としてインドに赴任し、2019年より同校准教授。主な研究分野はインターネット、ブロックチェーンなど。
コメンテーター
定兼 邦彦
定兼 邦彦
東京大学情報理工学系研究科 教授
2000年に東京大学大学院理学系研究科より博士取得。
東北大学助手、九州大学助教授、国立情報学研究所准教授を経て、2014年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授。
2020年より同研究科情報理工学国際センター長も務める。
研究内容は情報検索、データ構造、データ圧縮。アルゴリズムと計算に関するアジアの協会 (AAAC) の委員も務める。

レポート

2021年1月29日17:00に第1回JIEPP日印交流セミナーがzoomウェビナーを用いて開催されました。当日は大学関係者や企業関係者56名の参加がありました。
本学人文社会系研究科の加藤隆宏准教授の司会を務め、本学工学系研究科の渡邉聡教授による趣旨説明に続き、インド工科大学ハイデラバード校(IITH)の片岡広太郎准教授による講演が行われました。
講演では、「インド人材像と獲得へのプロセス」と題して、インドと日本での職場での「YES」が意味するところの違いといった文化的考察、IITおよびIITHに関する詳細な説明、IITでの人材採用のあり方に関する解説など多岐にわたり、最後にIIT学生の進路選択動向を踏まえて、日本企業がIIT学生ならびにインドの優秀な学生を採用するための方策について提案が行われました。片岡准教授は、インドの優秀な人材をリクルートするためには、まず日本の企業・大学の側から自分たちの良さを知ってもらう働きかけが必要であるという提言を行って講演を締めくくりました。
続いて、コメンテーターを務める本学情報理工学系研究科の定兼邦彦教授からコメントと質問がありました。定兼教授は自らがインドに訪れた際のインドの風景写真を示しつつ、インド人学生の礼儀正しさや能力の高さが印象に残っていることに触れつつ、問題発見能力の向上はどうか、インドの学生からみて日本の企業や大学は魅力ある存在なのか、講演はIITの優秀な学生だけでなく、インド人全般について言えることなのか、という点について質問がありました。また、最後の質問については、司会の加藤准教授からも、社会階層的な観点から質問がありました。
これらの質問に対し、片岡准教授は、問題発見能力については、インド人学生においても課題であること、インドで日本に関する知識は実際のところ十分とは言いがたいが、熱烈な日本文化ファンは存在すること、学生の財力が学力に影響することは否定できないが、裕福でない学生への支援もあるという回答がありました。さらに、片岡准教授から、インドの学生が留学先を選ぶ際の主要な手がかりが大学の世界ランキングであるが、そうした学生に対して、様々な大学に高い研究力を持った教員がいると説明することで、学生の留学先選びの指標が変わった、というエピソードが紹介されました。
視聴者からも、文化的背景やIT人材獲得、大学のグローバル化状況に関する質問が上がり、これらの質問に対して、登壇者3名がそれぞれの知見から回答する場面も見られました。
セミナー後にオンラインで開催された懇親会では、約15名の参加者が集い、登壇者や関係者同士で自由な歓談の時間を持ちました。
参加者アンケートでは、「片岡先生のお話が現地の方ならではで興味深かった。加藤先生が文系かつ現地事情をよくご存じなので、IT人材の話だけではなく、広がりがあってよかった。定兼先生の写真共有は、IIT=ITの先進大学=都会というイメージを裏切るビジュアルで意外性があって驚いた」「日本の学生とハイデラバードの学生の国際交流を企画する上で、彼らの特徴が掴めてよかった」「インド人学生の就職活動がよくわかった」等の感想が寄せられました。