MESSAGE ご挨拶

「知の協創の世界拠点」にむけて
東京大学卓越研究員制度の創設

Makoto Gonokami

五神 真

東京大学総長

 今、人類社会は大きな転換点を迎え、社会制度、経済活動、国際政治、科学技術など、あらゆる面でかつてない大きな変化が起きています。この変化は今後ますます急激なものとなるでしょう。それを加速しているのは、デジタル革命とも呼ばれる科学技術の新たな展開です。情報のあり方が変わることで、人と人との繋がり方や人間と社会の関わり方が質的に変わり、その急激な変化が、数世紀をかけて構築してきた資本主義や民主主義といった人類社会を支える基本的な仕組みまでも揺るがしているのです。
次々に生みだされる新しい技術をしっかりと制御し、人類社会をより良い方向に導くために、なにが求められているのでしょうか。その制御と改善の実践の原動力となる、新たな「知」を生みだしていかねばなりません。さまざまな学問の知恵とそれを活用し発展させる人が集積する場である大学が、まさに活躍すべき場面として期待されています。
東京大学は2003 年に東京大学憲章を制定し、世界の公共性に奉仕する大学を目指すことを宣言しました。この憲章の精神を引き継ぎ、2015 年10 月に東京大学の行動指針として
「東京大学ビジョン2020」を公表しました。多様な知の接触によって新たな卓越した知を生みだす仕組みを創り、知を活用して人類社会をより良い方向に導く「知の協創の世界拠点」になることを目標に掲げています。
東京大学では、時を超越した広い視野を有する研究が幅広い分野で活発に行われています。それを一層深化させ、社会のさまざまな
人々と協力しながら、より良い未来像を描き、迫りくる問題の解決に貢献するためには、卓越した研究を推進できる環境が不可欠です。とりわけ重要なのは、将来の学術を担う若くて優秀な研究者が、野心的な研究に果敢に取り組めるような安定した研究環境を整備することです。私はこれを「東京大学ビジョン2020」の最重要課題のひとつとして設定しました。その一環として、創設したのが、「東京大学卓越研究員」制度です。
この制度は、東京大学に着任して3年以内の卓越した若手研究者を「東京大学卓越研究員」として選定し、自らの研究テーマを追究し自立して研究に取り組む環境を整えるためのスタートアップの支援を行うものです。この3 年間で合計約60名の東京大学卓越研究員が生まれました。いずれも、多様な分野の数多くの候補者の中から選ばれた俊英で、研究を通じて実現すべき素晴らしい夢を掲げています。
このたび、この東京大学の若い英知の萌芽としての活動を幅広い皆様に知っていただきたいと思い、パンフレットを作成することにいたしました。ここに紹介した研究者たちは、既にそれぞれの専門分野の垣根を越えて横断的なコミュニティを作り始めています。互いに切磋琢磨をする中で、未来を支えるための新しい知が次々と生みだされると確信しています。
東京大学卓越研究員制度は、まだ第一歩を踏み出したばかりです。さらに支援の規模を拡げるよう努めるとともに、こうした若手研究者に続く優れた学生の支援も合わせて続けていかねばなりません。皆様には、卓越研究員の今後の活躍に期待をしていただくとともに、温かいご支援をお願いしたいと思います。
お問合せ
〒113-8654 東京都文京区本郷7丁目3番1号
東京大学 人事部(卓越研究員担当)
Email : UTokyo-Takuetsu.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp