○東京大学ハラスメント防止委員会規則
平成25年3月28日
役員会議決
東大規則第113号
(設置)
第1条 東京大学に、東京大学ハラスメント防止委員会(以下「防止委員会」という。)を置く。
(任務)
第2条 防止委員会は、セクシュアルハラスメント、アカデミックハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、パワーハラスメントその他のハラスメント、これらに類する人格権侵害並びにこれらに起因する問題(以下「ハラスメント」という。)の防止及び解決のために、次の各号に掲げる事項を行う。
(1) ハラスメントを防止するための研修及び啓発・広報活動に関する事項
(2) ハラスメントの相談体制に関する事項
(3) 部局(東京大学基本組織規則第3章及び第4章に掲げる組織並びに教育学部附属中等教育学校及び医学部附属病院をいう。以下同じ。)によるハラスメントの防止及び解決の取組みの支援に関する事項
(4) ハラスメントの事案の通知及び調停に関する事項
(5) ハラスメントの事案に対する事実調査による救済措置案及び再発防止措置案の策定並びに総長への勧告に関する事項
(6) ハラスメントの事案に関して懲戒処分が相当であると思料する場合の総長への勧告に関する事項
(7) その他ハラスメントの防止及び解決のために必要な事項
(組織)
第3条 防止委員会は、委員長、副委員長2名及び委員若干名をもって組織する。
(委員長及び副委員長)
第4条 委員長は、総長の指名する理事又は副学長をもって充てる。
2 副委員長は、総長の指名する教育研究評議会の評議員、評議員経験者又はこれらに準ずる者をもって充てる。
3 委員長は、委員会を招集し、会務を総括する。
4 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長の指名する副委員長が、その職務を代理する。
(委員)
第5条 委員は、次の各号に掲げる者に総長が委嘱する。
(1) 理事又は副学長のうち総長が指名する者
(2) 総長が必要と認める教授又は准教授 男女各若干名
(3) 学外の法律学及び心理学・精神医学等の専門家
(4) その他総長が必要と認めた者
(任期)
第6条 前条第2号及び第3号の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
2 委員に欠員を生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 第1項の規定にかかわらず、第11条の規定による調停班及び第12条の規定による事実調査班の班員となった者の任期は、当該事案に関する任務が終了する時まで延長されるものとする。
(幹事会)
第7条 防止委員会は、ハラスメントの事案に関する申立て(以下「申立て」という。)の受理の可否及び事案の取扱いを検討するため、幹事会を設置する。
2 幹事会は、委員長及び副委員長2名をもって組織する。
3 幹事会は、申立てがあった場合には、当該申立てが第8条の要件を満たしているかを確認し、申立ての受理の可否を決定する。
4 幹事会は、受理の決定を行った申立てに係る事案について、当該事案の内容及び性質等に応じて、通知、調停又は事実調査による救済措置のいずれの手続で取り扱うか、並びに部局又は全学で取り扱うかを決定する。
5 幹事会は、前項の決定にあたっては、特段の事情のない限り、申立人の意向を尊重しなければならない。
(ハラスメントの事案に関する申立て)
第8条 次の各号に定めるハラスメントの事案の被害を受けたとする者(以下「被行為者」という。)は、防止委員会に通知、調停又は事実調査による救済措置を申し立てることができる。
(1) 被行為者及び被行為者から加害者とされた者(以下「行為者」という。)が共に本学の構成員であるもの
(2) 行為者が本学の構成員であり、被行為者が本学の構成員であった者又は本学の関係者(本学における教育・研究活動及び職務の遂行に関係して本学の構成員が接する学外者をいう。以下同じ。)であるものであり、かつ、当該ハラスメントが本学における教育・研究活動及び職務の関係において発生したもの
(3) 被行為者が本学の構成員であり、行為者が本学の構成員であった者又は本学の関係者であるものであり、かつ、当該ハラスメントが本学における教育・研究活動及び職務の関係において発生したもの
2 前項の規定による申立ては、当該ハラスメントが発生してから10年を経過した場合又は申立人が学籍若しくは職籍を喪失してから5年を経過した場合には、原則としてすることができないものとする。ただし、学位取得に関する研究が継続しているなど配慮が必要な場合にはこの限りではない。
3 第1項の規定による申立ては、原則として、ハラスメント相談所を通じて行われることを要する。ただし、ハラスメント相談所を通じて行われない申立てについて、防止委員会が受理することを妨げるものではない。
(予備審査)
第9条 防止委員会は、幹事会において申立てを受理し、全学で取り扱うことを決定した場合、予備審査を行うため、事案ごとに予備審査班を設置する。
2 予備審査班は、委員長が防止委員会委員の中から選出した委員2名をもって構成する。
3 予備審査においては、次の各号に掲げる事項について審査する。
(1) 当該申立てが前条の要件を満たしているか否かの確認
(2) 当該事案について、通知、調停又は事実調査を行うことの相当性
(3) 当該事案について、通知、調停又は事実調査を行うことが相当でないと判断される場合には、それらに代わる措置の必要性及びその内容
(4) その他委員長が当該事案の処理のために必要と認める事項
4 予備審査においては、必要に応じて、申立人、ハラスメント相談所相談員及びその他関係者から事情を聴取する。
5 予備審査班は、予備審査の結果を、原則として設置後2月以内に、防止委員会に報告するよう努めなければならない。
(通知)
第10条 防止委員会は、予備審査の結果、通知を行うことが相当であると判断された場合、申立ての相手方(以下「相手方」という。)に対し、申立てのあったことを通知し、ハラスメントの防止及び解決のために必要な措置を講ずるよう警告する。
2 防止委員会は、申立人が希望し、かつ、防止委員会が通知を行うことを適当と判断するときは、相手方の所属する部局の長に対し、申立てのあったことを通知し、ハラスメントの防止及び解決のために必要な措置を講ずるよう勧告する。
3 防止委員会は、前2項の通知にあたって、申立人が匿名とすることを希望する場合には、申立人が特定されないようできる限り注意を払わなければならない。前項の規定による通知を受けた場合における相手方の所属する部局の長についても、同様とする。
4 第1項の通知を受けた相手方は、当該通知を受けた日から1月以内に限り、防止委員会に通知に対する反論を書面で提出することができる。
5 申立人は、第1項及び第2項の通知が行われた後においても、防止委員会に調停又は事実調査による救済措置を申し立てることができる。
(調停)
第11条 防止委員会は、予備審査の結果、調停を行うことが相当であると判断された場合、事案ごとに調停班を設置する。
2 調停班は、委員長が防止委員会委員の中から選出した委員3名をもって構成する。ただし、幹事会が必要と認めた場合は、防止委員会委員以外の本学の教職員を調停班員として1名追加することができる。
3 調停班の構成において、申立人又は相手方の所属する部局の教職員は、各1名(申立人と相手方が同一部局に所属する場合は1名)までとする。
4 調停班は、必要に応じて、当事者、ハラスメント相談所相談員及びその他関係者から事情を聴取したうえで、当事者間での和解を目指して調停にあたる。
5 調停班は、調停の結果(調停が成立しない場合を含む。)を、原則として設置後6月以内に、防止委員会に報告するよう努めなければならない。
6 申立人は、調停が成立しない場合は、防止委員会に事実調査による救済措置を申し立てることができる。
(事実調査)
第12条 防止委員会は、予備審査の結果、事実調査を行うことが相当であると判断された場合、事案ごとに事実調査班を設置する。
2 事実調査班の構成については、前条第2項及び第3項の規定を準用する。
3 事実調査班は、事案の事実関係を明らかにするために、次の各号に掲げる事項を行う。
(1) 当事者及び関係者から事情を聴取すること。
(2) 当事者及び関係者に対して関連する資料の提出を求め、これを受領すること。
(3) 学生相談所、ハラスメント相談所等に意見照会をすること。
(4) その他当該事案の事実関係を明らかにするために必要な事項
4 事実調査班は、調査の結果並びに救済措置及び再発防止措置の要否及びその内容を、原則として設置後6月以内に防止委員会に報告するよう努めなければならない。
(拡大幹事会)
第13条 防止委員会は、前条第4項の規定による事実調査班の報告又は第18条の規定による部局の長の報告の内容について、匿名性、前例との整合性及びその他調査報告書の適正性に関する事項を事前に検討するため、拡大幹事会を設置する。
2 拡大幹事会は、幹事会の構成員のほか、委員長の指名する2名の防止委員会委員をもって組織する。
(救済措置等の勧告)
第14条 防止委員会は、拡大幹事会による検討を経た事実調査班の報告の内容について審査し、それに基づく総長への勧告案を決定する。
(救済措置等の執行)
第15条 総長は、防止委員会の救済措置及び再発防止措置の勧告を受けた場合は、相手方及び部局の長に対し勧告に従って必要な措置を講ずるものとする。
(懲戒処分相当の勧告)
第16条 防止委員会は、事実調査班の報告を審査し、懲戒処分が相当であると思料する場合、その旨総長へ勧告することができる。
(再審査)
第17条 第12条の規定による事実調査の結果の通知を受けた申立人又は相手方は、次の各号の要件のいずれかを満たす場合には、当該通知を受けた日から2週間以内に、一回に限り、防止委員会委員長に再審査を請求することができる。
(1) 事実調査に手続上の重大な瑕疵が認められる場合
(2) 事実調査に際して提出できなかった新たな証拠が発見され、当該証拠が事実認定に影響を及ぼすことが明らかである場合
(3) 事実認定に影響を及ぼすことが明らかな証拠が偽造・変造等により虚偽であったことが証明された場合
2 前項の再審査の請求があった場合は、幹事会において再審査の要否を決定する。
3 防止委員会は、幹事会において再審査を行うことを決定した場合、既に行われた事実調査とは全構成員を異にする事実調査班を設置し、再審査を行う。なお、この場合における事実調査班の構成については、第12条第2項の規定を準用する。
4 防止委員会は、再審査の結果、第1項の各号の要件のいずれかが認められ、結論に影響を与えるものと判断する場合には、原調査報告の全部又は一部を取り消し、新たな調査報告に基づいて、総長への勧告その他必要な追加の措置を講ずるものとする。
(部局の報告義務)
第18条 部局の長は、幹事会において部局で取り扱うこととされた事案について、部局における対応の結果を速やかに防止委員会に報告しなければならない。
(専門委員会)
第19条 防止委員会は、特定の事項を検討するために、専門委員会を置くことができる。
2 前項に規定する専門委員会の任務、組織及び運営については、防止委員会が別に定める。
3 専門委員会の委員は、総長が委嘱する。
(守秘義務)
第20条 委員長、副委員長、委員、調停班員及び事実調査班員は、その任期中及び任期満了後(委員でない調停班員及び事実調査班員については、班員である間及びその後)において、本規則に基づく手続により知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
(不当な取扱いの禁止)
第21条 全ての本学の構成員は、申立人及び相手方をはじめ、事実調査への協力者、事案を担当した防止委員会委員及びハラスメント相談所相談員その他ハラスメントの事案に関わった者に対して報復行為、嫌がらせ、差別的対応、名誉又はプライバシーの侵害等の不当な取扱いをしてはならない。
(庶務)
第22条 防止委員会の庶務は、本部労務・勤務環境課において処理する。
(補則)
第23条 この規則に定めるもののほか、防止委員会の運営に関し必要な事項は、防止委員会の定めるところによる。
附 則
1 この規則は、平成25年4月1日から施行する。
2 次に掲げる規則は、廃止する。
(1) 東京大学ハラスメント防止委員会規則(平成12年7月11日制定)
(2) 東京大学アカデミック・ハラスメント防止委員会規則(平成18年4月1日制定)
附 則
この規則は、平成29年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、令和2年4月1日から施行する。