○東京大学研究倫理審査実施規則
平成11年11月16日
評議会可決
(目的)
第1条 この規則は、東京大学(以下「本学」という。)におけるヒトを対象とする研究が、科学的妥当性及び倫理的適合性並びに安全確保の観点から、倫理審査を経て適切に実施されるために必要な事項を定めることを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 「研究」とは、ヒトを対象とする研究であって、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年12月6日法律第146号)、特定胚の取扱いに関する指針(平成31年文部科学省告示第31号)、ヒトES細胞の樹立に関する指針(平成31年文部科学省・厚生労働省告示第4号)、ヒトES細胞の使用に関する指針(平成31年文部科学省告示第68号)、ヒトES細胞の分配機関に関する指針(平成31年文部科学省告示第69号)、ヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針(平成22年文部科学省告示第88号)及び人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示第1号)(以下これらを「法律等」という。)の対象となるもの並びにその他倫理審査を必要とするものをいう。
(2) 「部局」とは、東京大学基本組織規則(平成16年4月1日東大規則第1号)に定める学内共同教育研究施設、国際高等研究所に置かれる東京カレッジ及び研究機構、連携研究機構、学際融合研究施設、全国共同利用施設、教育研究部局、附属病院並びに基本組織規則第13条及び第18条の規定に基づく室等のうち研究を実施する組織をいう。
(対象)
第3条 この規則は、本学において行われる研究を対象とする。
(総長の責務)
第4条 総長は、研究について包括的に責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 第6条に規定する委員会の委員を任命すること。
(2) 研究方法の改善の勧告、研究計画の変更、研究の一時停止命令及び許可の取消しを行うこと。
(3) 研究計画について、倫理審査を経て許可を与えるか否かの決定又は適切な助言を行うこと。
(4) 研究を適正に実施するため法律等に定める体制の整備を行うこと。
(5) その他研究の科学的妥当性及び倫理的適合性並びに安全確保に関する基本的事項を定めること。
2 総長は、前項第2号から第4号に掲げる任務を、部局の長に委任する。このうち、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の取扱いについては、別表のとおりとする。
(部局の長の責務)
第5条 部局の長は、当該部局における研究について直接責任を負うとともに、前条第2項の規定により、研究の許可の決定、一時停止命令、許可の取消し等を行ったときは、その結果を総長に報告するものとする。
2 部局の長は、前条第1項第5号に掲げる基本的事項が定められた場合は、これを実施し、総長に報告するものとする。
(倫理審査専門委員会の設置)
第6条 本学における研究の倫理審査及び適切な実施に必要な指導助言を行うため、倫理審査専門委員会(以下「専門委員会」という。)を置く。
(専門委員会)
第7条 専門委員会は、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、これらの事項に関して総長に対し報告するとともに、必要に応じて助言又は勧告を行う。また、これらの事項に関して、専門委員会は、必要に応じ、関係者に対し、研究の科学的妥当性及び倫理的適合性並びに安全確保に関する意見及び説明を求めることができるものとする。
(1) 要項等の立案
(2) 研究計画の倫理審査
(3) 研究の実施にかかる教育訓練に関する基本的事項
(4) 事故発生の際の必要な措置及び改善策に関する基本的事項
(5) その他研究の科学的妥当性及び倫理的適合性並びに安全確保に関する重要事項
2 専門委員会は、委員長及び委員をもって組織する。
3 委員長は、委員の互選による。
4 委員は、次の各号に掲げる者に総長が委嘱する。
(1) 生物学・医学の専門家等の自然科学の有識者 若干名
(2) 倫理学・法律学の専門家等の人文・社会科学の有識者 若干名
(3) 一般の立場から意見を述べられる者 若干名
(4) その他総長が必要と認める者 若干名
5 委員は、本学に属しない委員を2名以上、かつ、男性及び女性の委員をそれぞれ2名以上含めなければならない。
6 委員は、5名以上でなければならない。
7 委員長は、専門委員会を招集し、その議長となるとともに会務を総括する。
8 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する。
9 委員の任期は、2年とし、その補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
10 前各項に定めるもののほか、専門委員会の運営に関し必要な事項は、専門委員会の定めるところによる。
(倫理審査)
第8条 専門委員会は、次の各号に掲げる委員の出席がなければ、倫理審査を行うことができない。
(1) 本学に属しない委員 2名以上
(2) 前条第4項第1号、第2号及び第3号に定める委員 各1名以上
(3) 男性及び女性の委員 各1名以上
(4) 5名以上の委員
2 研究計画の研究従事者は、当該研究計画の倫理審査及びその判定に参加することができない。ただし、専門委員会が必要と認めたときは、その求めに応じて、専門委員会に出席し、意見を述べることができる。
3 倫理審査の判定は、出席委員全員の合意を原則とし、次の各号に掲げる表示による。
(1) 承認する。
(2) 条件付で承認する。
(3) 変更を勧告する。
(4) 承認しない。
(5) 該当しない。
4 専門委員会は、次の各号に掲げるいずれかに該当する審査について、委員長又は委員長が指名する委員による審査を行い、委員長が判定を行うことができる。この場合において、委員長は、事後において、遅滞なく、各委員に当該判定の結果を通知しなければならない。
(1) 他の研究機関と共同して実施される研究であって、既に当該研究の全体について共同研究機関において倫理審査を受け、その実施について適当である旨の判断を得ている場合の審査
(2) 研究計画書の軽微な変更に関する審査
(3) 侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査
(4) 軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査
5 委員長は、研究計画が次の各号のいずれかに該当するときは、その倫理審査を行うにあたり、当該研究計画の内容に関連の深い部局に対し、協力を求めることができるものとする。
(1) 重篤な侵襲を伴う研究
(2) ゲノム又は遺伝子解析の研究で高度な個人情報管理を必要とするもの
(3) その他倫理審査において高度な専門的識見を必要とする研究
6 特定胚の取扱いに関する指針、ヒトES細胞の樹立に関する指針、ヒトES細胞の使用に関する指針、ヒトES細胞の分配機関に関する指針及びヒトiPS細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針の対象となる研究の倫理審査について必要な事項は、別に定める。
(記録等の公開及び保存)
第9条 専門委員会の議事録、委員名簿等は、公開を原則とする。ただし、研究の協力者の人権及び個人情報、研究の独創性又は知的財産権等の保護のため、専門委員会が必要と認めたときは、これを非公開とすることができる。
2 議事に係る記録の保存期間は、5年とする。
(秘密の保持)
第10条 委員及び委員であった者は、正当な理由がある場合でなければ、その任務に関して知り得た秘密を、他に漏らしてはならない。
(部局倫理審査委員会)
第11条 部局の長は、部局倫理審査委員会を設置することができる。この場合において、法律等に該当する研究の倫理審査にあたっては、第7条から第10条までの規定に準じて行わなければならない。
(研究責任者)
第12条 研究従事者のうち、個々の研究計画の遂行について責任を負う者を研究責任者とする。
2 研究責任者は、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 研究計画の立案及び実施に際しては、研究全体の適切な管理、監督にあたる。
(2) 研究従事者に対して、研究の倫理的適合性及び安全確保に関する教育訓練を行う。
(3) 研究を実施しようとする際は、第6条若しくは第11条に規定する委員会又は共同研究等の事由がある場合にあっては、他の機関に設置された倫理審査委員会の審査を経た上で、所定の書類を作成し、部局の長に対して許可を求めなければならない。また、研究計画を変更しようとする場合も同様とする。
(4) 研究の実施中又は終了後において、当該研究に関わる事故又は法律等に違反するおそれのある事態が発生した場合には、速やかに部局の長に報告をするものとする。
(5) 当該研究の経過について、別に定める期間ごとに部局の長に報告するものとする。
(6) 当該研究を終了又は中止したときは速やかに部局の長に報告するものとする。
(7) 研究計画及び研究の記録について記録し、その記録を10年間保存するものとする。
(他の規則との関連)
第13条 研究が他の規則等(東京大学遺伝子組換え生物等の使用等実施規則、東京大学研究用微生物安全管理規則、東京大学動物実験実施規則等)の適用を受ける場合には、研究責任者はそれぞれの規則等を遵守しなければならない。
(庶務)
第14条 専門委員会の庶務は、本部研究倫理推進課において処理する。
(その他)
第15条 この規則に定めるもののほか、この規則の実施に関し必要な事項は、法令等を遵守のうえ、専門委員会において別に定める。
附 則
この規則は、平成12年1月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成16年9月30日から施行し、改正後の東京大学ヒト生殖・クローン関連実験実施規則の規定は、平成16年4月1日から適用する。
附 則
この規則は、平成16年12月17日から施行する。
附 則
この規則は、平成19年9月27日から施行し、改正後の東京大学ヒト生殖・クローン関連実験実施規則の規定は、平成19年6月1日から適用する。
附 則
この規則は、平成20年9月26日から施行し、改正後の東京大学ヒト生殖・クローン関連実験実施規則の規定は、平成20年9月1日から適用する。
附 則
この規則は、平成21年10月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成22年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成23年6月23日から施行する。
附 則
この規則は、平成26年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附 則 (平成28年3月23日東大規則第96号)
この規則は、平成28年4月1日から施行する。
附 則 (平成28年3月23日東大規則第99号)
この規則は、平成28年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成29年12月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成30年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成31年2月1日から施行する。
附 則
1 この規則は、平成31年4月1日から施行する。
2 この規則の施行の日から平成33年3月31日までの間における第2条第2号の規定の適用については、同号中「教育研究部局」とあるのは、「教育研究部局、東京大学基本組織規則の一部を改正する規則(平成30年4月26日東大規則第3号)附則別表に掲げる全学センター」とする。
附 則
この規則は、令和元年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、令和5年7月1日から施行する。

別表(第4条第2項関係)
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針の規定
委任する事項
第3の3(2)
適用範囲に係る事項
第5の1(1)〜(4)、2(1)〜(7)
研究機関の長の責務等に係る事項
第6の2(3)(4)、3(1)〜(3)、4(2)、6(1)(2)
研究計画書に関する手続に係る事項
第7(1)(2)
研究計画書の記載事項に係る事項
第8の1、1(4)、4、5、5@、8(1)、9
インフォームド・コンセントを受ける手続等に係る事項
第9の1(1)
代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合の手続等に係る事項
第11の1(2)(3)、2(2)(3)(5)(7)、3(1)(2)
研究に係る適切な対応と報告に係る事項
第13(3)(4)(5)(6)
研究に係る試料及び情報等の保管に係る事項
第14(1)(2)(4)(6)
モニタリング及び監査に係る事項
第15の2(3)(5)、3
重篤な有害事象への対応に係る事項
第18の1、2、3
個人情報の保護等に係る事項