○東京大学動物実験実施規則
平成19年3月22日
役員会議決
東大規則第129号
(全改)
(目的)
第1条 この規則は、東京大学(以下「本学」という。) において動物実験等を計画し実施する際に、動物の愛護及び管理に関する法律に基づくとともに、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準、動物の殺処分方法に関する指針、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針 (以下「法律等」という。) を踏まえて、科学的観点、動物愛護の観点、安全確保の観点及び環境保全の観点から、適正に動物実験等が実施されることを目的とする。
(定義)
第2条 この規則の解釈に関する用語の定義については、東京大学動物実験実施マニュアル(以下「マニュアル」という。) に定めるところによる。
(対象)
第3条 この規則は、本学における動物実験等を対象とする。
(総長の責務)
第4条 総長は、本学における動物実験等の実施に関して、包括的に責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 第6条に規定する動物実験専門委員会の委員を任命すること。
(2) 本学における動物実験計画の承認を行うこと。ただし、部局の長が当該部局の動物実験計画について与えた承認をもって代えることができる。
(3) 動物実験等の実施状況を把握し、必要に応じて、動物実験方法の改善の勧告、動物実験計画の変更、動物実験等の一時停止命令及び承認の取消しを行うこと。
(4) その他適正な動物実験等の実施に必要な措置を講じること。
(部局の長の責務)
第5条 部局の長は、当該部局における動物実験等の実施に関して、直接責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすとともに、総長に報告するものとする。
(1) 動物実験等の実施に関する部局内の内規等の制定及び改廃を行うこと。
(2) 第6条第2項に規定する部局動物実験委員会(以下この条において「部局委員会」という。)を設置し、委員を任命すること。
(3) 動物実験責任者に動物実験計画を申請させ、その適合性について部局委員会に諮問すること。
(4) 前号の諮問に対する部局委員会の審議結果の報告を踏まえて、申請された計画に承認を与えるか否かの決定を行うこと。
(5) 動物実験責任者に動物実験計画の終了結果を報告させ、その適合性について部局委員会に諮問すること。
(6) 前号の諮問に対する部局委員会の審議結果の報告を踏まえて、必要に応じて、動物実験責任者に改善の勧告を行うこと。
(7) 動物実験等における施設等の適正な管理保全にあたること。
(8) 実験動物の適正な飼養保管にあたること。
(9) 動物実験等にかかわる教育訓練及び健康管理にあたること。
(10) その他適正な動物実験等の実施に必要な事項を行うこと。
2 部局委員会が設置されていない部局において動物実験等を行う場合、当該動物実験等に関連のある他の部局の長に、部局委員会における動物実験計画の審査等を依頼することができる。
(動物実験専門委員会等の設置)
第6条 本学における動物実験等の適切な実施を指導助言するため、東京大学動物実験専門委員会(以下「専門委員会」という。)を置く。
2 動物実験等を実施する部局においては原則として、部局動物実験委員会(以下「部局委員会」という。)を置く。
(専門委員会)
第7条 専門委員会は、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、これらの事項に関して総長に対し報告するとともに、必要に応じて助言又は勧告を行う。
(1) この規則及びマニュアル等の立案及び作成に関する事項
(2) 動物実験計画及び施設等の設置に関して、法律等並びにこの規則及びマニュアル(以下「法律及び規則等」という。)への適合性の判断について要請のあった事項
(3) 部局の長から総長に対して行われた動物実験等の実施状況に関する報告について、法律及び規則等への適合性に関する事項
(4) 動物実験等における施設等に関する基本的事項
(5) 動物実験等における実験動物の飼養保管に関する基本的事項
(6) 動物実験等にかかわる教育訓練及び健康管理に関する基本的事項
(7) 事故発生の際の必要な措置及び改善策に関する基本的事項
(8) その他適正な動物実験等の実施に関する重要事項
2 専門委員会は、委員長及び委員若干名をもって組織する。
3 委員長は、委員の互選による。
4 委員は、総長が次の各号に掲げる者を任命する。
(1) 実験動物の専門家である教授又は准教授若干名
(2) 動物実験に携わる教授又は准教授若干名
(3) 動物実験に関する科学的、生命倫理的、動物福祉的識見を有する学識経験者
(4) 前各号に定める者のほか、総長が必要と認めた者
5 委員長は、専門委員会を招集し、その議長となるとともに会務を総括する。
6 委員長に事故あるときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する。
7 委員の任期は、2年とし、その補欠の委員の任期は、その残任期間とする。ただし、再任は妨げない。
8 前各項に定めるもののほか、専門委員会の運営に関し必要な事項は、専門委員会の定めるところによる。
(部局委員会)
第8条 部局委員会は、部局の長の諮問に応じて、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、これらの事項に関して部局の長に対し助言又は勧告するとともに、動物実験責任者及び施設等責任者に対し、動物実験等の実施に関する報告を求めることができるものとする。
(1) 動物実験等に関する部局内の内規等の立案及び作成に関する事項
(2) 動物実験計画にかかわる、法律及び規則等並びに内規等への適合性の判断について要請のあった事項
(3) 動物実験計画の終了の結果に関する事項
(4) 動物実験等の実施状況の点検及び評価に関する事項
(5) 動物実験等における施設等に関する事項
(6) 動物実験等における実験動物の飼養保管に関する事項
(7) 動物実験等にかかわる教育訓練及び健康管理に関する事項
(8) 事故発生の際の必要な措置及び改善策に関する事項
(9) その他適正な動物実験等の実施に関する重要事項
2 前項各号の事項に関し、部局委員会において審議等を行った結果、判断することができない事項については、部局の長から専門委員会に当該事項の審議等を要請することができるものとする。
3 部局委員会の組織及び運営に関する規則は、部局の長が別に定めるものとする。
(動物実験責任者及びその責務)
第9条 動物実験実施者のうち、動物実験計画に係わる業務を統括する者を動物実験責任者とし、次の各号に掲げる任務を果たさなければならない。
(1) 動物実験計画を法律及び規則等並びに部局の内規等に従って立案すること。
(2) 動物実験等を行う場合、動物実験計画に関する必要書類を部局の長に提出し、承認を受けた後に開始すること。動物実験計画を変更する場合も同様とする。
(3) 動物実験等の終了の後は、すみやかに部局の長に報告すること。
(4) 動物実験等の実施状況について、必要に応じて、部局の長に報告し、勧告等に従うこと。
(5) 動物実験実施者及び飼養者に対して適切な管理・監督及び教育訓練を行うこと。
(6) その他法律及び規則等並びに部局の内規等を十分に遵守して動物実験等を行うこと。
(施設等責任者及びその責務)
第10条 動物実験等を実施する動物処置室又は動物実験・飼育室の管理を担当する責任者を施設等責任者とし、次の各号に掲げる任務を果たさなければならない。
(1) 施設等について適正な管理保全を行うこと。
(2) 施設等の利用状況について、必要に応じて、部局の長に報告し、勧告等に従うこと。
(3) 利用者に対して適切な管理・監督及び教育訓練を行うこと。
(4) その他法律及び規則等並びに部局の内規等を十分に遵守して施設等を管理すること。
(安全管理上注意を要する動物実験等)
第11条 部局の長は、安全管理上注意を要する動物実験等については、当該動物実験を行う前に、動物実験責任者及び施設等責任者に対して、次の各号に掲げる事項を確認しなければならない。
(1) 法律及び規則等並びに部局の内規等を遵守し、必要な手続きが行われていること。
(2) 人の安全及び健康が確保されていること。
(3) 実験動物の健康保持が配慮されていること。
(4) 周辺環境を汚染するおそれがないこと。
(5) 前各項の事項を確保できる施設・設備が整備されていること。
(教育訓練)
第12条 部局の長は、動物実験責任者、動物実験実施者、施設等責任者、実験動物管理者及び飼養者(以下「従事者等」という。)に対して、実験動物の飼養及び保管又は動物実験等に従事する場合は、動物実験講習会を開催し、次の各号に掲げる事項について教育訓練を行わなければならない。
(1) 法律及び規則等の遵守に関する事項
(2) 動物実験等の実施及び実験動物の取扱いに関する事項
(3) 実験動物の飼養保管に関する事項
(4) 安全確保及び環境保全に関する事項
(5) 施設等の利用に関する事項
(6) その他動物実験等に関連する事項
(健康管理)
第13条 部局の長は、従事者等の健康管理について、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。また、従事者等は、自己の健康管理に努めるものとする。
(1) 従事者等に対し、動物実験等の実施期間内に定期的に健康診断を行うこと。
(2) 従事者等が病原微生物を取り扱う場合には、東京大学研究用微生物安全管理マニュアルに従い、所定の措置を行うこと。
(3) 動物実験等の実施による健康被害が疑われる場合には、直ちに医師の診断を受けさせること。
(緊急時の措置)
第14条 部局の長は、施設等において、事故若しくは地震、火災その他の災害のため生物災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、直ちに適切な措置を講じなければならない。
(異常事態発生時の措置)
第15条 異常事態を発見した者は、直ちに動物実験責任者及び施設等責任者に通報しなければならない。
2 動物実験責任者及び施設等責任者は、必要に応じて緊急措置をとるとともに直ちに部局の長及び部局委員会委員長に通報し指示をあおがねばならない。
3 部局の長は、緊急措置を講じた場合には、すみやかに異常事態発生の状況及び応急措置の概要等を総長に報告しなければならない。
(施設・設備)
第16条 部局の長は、動物実験等が法律及び規則等に沿って行えるよう施設及び設備の整備に努める。
(自己点検・評価及び検証)
第17条 総長は、本学における動物実験等の実施に関する透明性を確保するため、部局の長に対し実施状況の報告資料の提出を求め、専門委員会による本学の実施状況の点検及び評価を定期的に要請するものとする。
2 前項の評価に関し、総長は、本学以外の者による検証を行うことに努めるものとする。
(情報公開)
第18条 総長は、本学における動物実験等に関する情報を定期的に公表する。
(他の規則との関連)
第19条 動物実験等が他の規則(東京大学遺伝子組換え生物等の使用等実施規則、東京大学研究倫理審査実施規則、東京大学研究用微生物安全管理規則等)の適用を受ける場合には、動物実験責任者はそれぞれの実施要項等を遵守しなければならない。
(庶務)
第20条 専門委員会の庶務は、本部研究倫理推進課において処理する。
(規則の改廃)
第21条 この規則の改廃は、総長がこれを行う。
附 則
この規則は、平成19年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成19年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成21年10月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成22年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成26年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成28年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成30年4月1日から施行する。