○国立大学法人東京大学における競争的研究費等の不正使用防止に関する規則
平成19年9月27日
役員会議決
東大規則第30号
(目的)
第1条 この規則は、国立大学法人東京大学(以下「東京大学」という。)における競争的研究費等の不正使用に係る対策の基本方針を定め、競争的研究費等の適切な管理・運営体制を構築及び整備することにより、研究費不正使用の防止を図り、もって研究機関としての東京大学の責務を果たすことを目的とする。
(適用範囲)
第2条 この規則は、競争的研究費等の管理・運営に係る事項に適用する。
(定義)
第3条 この規則における用語の定義は、次のとおりとする。
(1) 「競争的研究費等」とは、資金配分主体が、広く研究開発課題を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による、科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究経費の他、寄付金並びに民間等との共同研究、受託研究、受託事業及び共同事業に係る経費を指す。
(2) 「競争的研究費等の不正使用」とは、競争的研究費等の使用にあたり、実体のない謝金・給与の請求、物品の架空請求に係る業者への預け金等の不正、実体を伴わない旅費の請求をはじめとして、法令、研究費の配分機関又は学内で定められた規則等に違反する行為をいう。
(3) 「部局」とは、東京大学基本組織規則(平成16年4月1日東大規則第1号)(以下「基本組織規則」という。)第3章及び第4章に掲げる組織のうち研究を実施する組織並びに附属病院をいう。
(基本方針)
第4条 東京大学の競争的研究費等の不正使用防止に係る基本方針は、次のとおりとする。
(1) 管理・運営に関わる者の責任と権限の体系を明確化し、東京大学内外に公表する。
(2) 不正を誘発する要因を把握し、具体的な不正防止計画を策定することにより、実効的な抑止機能を備えた管理・運用体制の構築を図る。
(3) 不正防止計画を踏まえ、適正な予算執行を行う体制を整備する。
(4) ルールに関する理解を東京大学内の構成員に浸透させ、東京大学内外からの情報が適切に伝達される体制を構築する。
(5) 不正発生の可能性を最小限にすることを目指し、全学の観点から実効性のあるモニタリング体制を整備する。
(管理責任体系)
第5条 東京大学の競争的研究費等の管理・運営を適正に行うために、以下のとおり責任と権限の体系を組むこととする。
(1) 最高管理責任者は、総長をもって充て、東京大学全体を統括し、競争的研究費等の管理・運営について最終責任を負う。
(2) 統括管理責任者は、最高管理責任者が指名する理事又は副学長をもって充て、競争的研究費等の管理・運営(不正使用に係る調査を除く。)について最高管理責任者から実務上の責任と権限を委任されるものとする。
(3) 統括調査責任者は、最高管理責任者が指名する理事又は副学長をもって充て、競争的研究費等の不正使用に係る調査に関し、最高管理責任者から実務上の責任と権限を委任されるものとする。
(4) 部局責任者は、部局の長をもって充て、部局等における競争的研究費等の管理・運営について、部局全体を統括する責任と権限をもつものとする。
(5) 部局責任者は、前号の業務を補佐させるため、部局責任者補佐を置き、部局の事務部門の長をもって充てる。
(6) 前号のほか、部局責任者は、必要に応じて複数の部局責任者補佐を置くことができる。
(不正防止計画の推進)
第6条 統括管理責任者は、全学の観点から不正防止計画を推進するため、次の任務を統括する。
(1) 東京大学全体に起因する不正使用の発生要因の把握並びにその防止計画の策定及び進捗管理
(2) 教職員行動規範の策定、周知及び教育活動
(3) 関連する学内規則の整備並びに学内規則を含めた関連規則等の周知及び教育活動
(4) その他不正防止計画の推進において必要な事項
2 統括管理責任者は、前項の任務に関する取組の状況について、東京大学コンプライアンス基本規則第7条に定めるコンプライアンス総括会議に報告する。
3 統括管理責任者は、部局責任者に対し、全学の不正防止計画を踏まえ、部局が行う第8条第2項から第5項までに定める管理体制の整備等、競争的研究費等の不正使用防止についての具体的な実施計画の策定を指示し、その実施状況のモニタリングを行う。
(相談窓口の設置)
第7条 統括管理責任者は、東京大学における競争的研究費等の使用や事務処理に関するルール等について、東京大学内外からの相談に対応する窓口を置き、効率的かつ適切な運営の支援を行う。相談窓口は、本部研究資金戦略課に置く。
(不正使用防止に関する管理体制)
第8条 統括管理責任者は、不正防止計画を踏まえた競争的研究費等の適正な執行管理を行うため、次項に掲げる管理体制を整備するものとする。
2 部局責任者は、物品等の発注から納品までの状況を検証・確認するため、次の各号に示す管理体制を、部局の事情に応じ、整備するものとする。ただし、研究活動の円滑な遂行を妨げないよう、柔軟な体制と運用に留意する。
(1) 教員発注のルール策定と発注権限と責任の明確化
(2) 発注者と業者の間における癒着防止体制の確立と検収システムの構築
(3) 物品の機種選定、業者選定、価格設定、納品日等を実効的に検証できる体制の構築
3 部局責任者は、旅費及び謝金の適正な管理・運用のため、部局の状況を踏まえた事実確認を行う仕組みを構築するものとする。
4 部局責任者は、部局内の競争的研究費等の管理・運営に関わる全ての構成員に対し、不正使用防止を図るための教育を実施し、受講状況を管理監督するものとする。
5 部局責任者は部局において、構成員が適切に競争的研究費等の管理・運営を行っているか等をモニタリングし、必要に応じて改善を指導するものとする。
(不正に関する情報伝達の体制)
第9条 統括調査責任者は、東京大学における競争的研究費等の不正使用に関する通報に対応するため、以下のとおり体制を整備するものとする。
2 通報窓口を東京大学内外に設置するものとする。通報窓口及び通報後の対応について必要な事項は、別に定める。
3 不正使用に関する通報者が不利益な取扱いを受けることがないよう、通報者を保護する仕組みを整備するものとする。通報者保護に関し必要な事項は、別に定める。
(不正使用の疑いのある案件の調査等)
第10条 監査又は通報により、不正使用が疑われる案件が発覚した場合は、統括調査責任者は、すみやかに調査を行い、事実関係を調査しなければならない。競争的研究費等の不正使用の調査に関し必要な事項は、別に定める。
(不正に関与した者への対応)
第11条 前条に基づく調査の結果、競争的研究費等の不正使用の事実が認められた場合には、国立大学法人東京大学における競争的研究費等の不正使用に係る通報及び調査手続き等に関する規則第23条第1項に定める適正な措置をとるものとする。
2 競争的研究費等の不正使用に取引業者が関与していた場合は、取引停止等の措置をとるものとする。
(監査・モニタリングの体制)
第12条 内部監査室は、競争的研究費等の適正な管理のため、全学の視点から、次の各号に沿って監査及びモニタリングを実施するものとする。
(1) 会計書類上の監査の他、経理処理等の体制不備の検証や必要に応じて関係者へのヒアリング等も行うものとする。
(2) 本部研究倫理推進課、監事及び会計監査法人等と連携し、不正の発生要因に応じた検証を行うものとする。
(3) 監査の実施に当たって、監査内容を随時見直し、効率化・適正化を図るものとする。
(4) 監査結果についてとりまとめ、適時、学内に公表し、その有効利用を推進するものとする。
(補則)
第13条 この規則に定めるもののほか、競争的研究費等の不正使用に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この規則は、平成19年9月27日から施行する。
附 則
この規則は、平成22年4月8日から施行し、改正後の国立大学法人東京大学における競争的資金等の不正使用防止に関する規則の規定は、平成22年4月1日から適用する。
附 則
この規則は、平成23年1月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成26年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成28年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成30年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成31年2月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成31年4月1日から施行する。
附 則
1 この規則は、令和2年4月1日から施行する。
2 この規則の施行の前にされた通報に対する手続については、なお従前の例による。
附 則
この規則は、令和4年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、令和5年4月1日から施行する。