○東京大学リーガルマネジメント規則
令和5年3月23日
役員会議決
東大規則第68号
(目的)
第1条 この規則は、国立大学法人東京大学(以下「本学」という。)の機能拡張に伴い増加する法的リスクを未然に防ぐとともに、新たに生じ、又は生じるおそれがある法的課題に適切かつ戦略的に対応するため、全学的なリーガルマネジメント体制を構築することによって、自律的で創造的な大学活動のための経営力の確立に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 法的課題 本学の経営や本学における業務執行等、本学の活動全般に伴う課題であって、法令及び規則その他の規範との関連を特に考慮して対応すべきものをいう。
(2) 法的課題への対応 法的課題を事前に整理し、適切な相談を行いながら法的リスクを未然に防ぐとともに、新たに生じ、又は生じるおそれがある法的課題に適切かつ戦略的に対応すること(東京大学コンプライアンス基本規則(平成23年3月24日東大規則第64号)第2条第9号に規定するコンプライアンス事案への対応を主とするものを除く。以下同じ。)をいう。
(3) リーガルマネジメント 法的課題への対応をすること及びそれらの情報を全学的に集約及び共有することによって、本学の経営及び教育研究活動に係る判断の質の向上に寄与する活動をいう。
(4) 部局 東京大学基本組織規則(平成16年4月1日東大規則第1号)第3章及び第4章に掲げる組織並びに教育学部附属中等教育学校、医学部附属病院及び医科学研究所附属病院をいう。
(5) 法務本部 本学におけるリーガルマネジメント体制の構築に資する業務を行う組織であって、東京大学基本組織規則第13条第2項の規定に基づく室として総長室に設置されるものをいう。
(最高責任者)
第3条 本学のリーガルマネジメントにおける最高責任者は、総長とする。
(総括責任者)
第4条 本学に、リーガルマネジメントに関する業務を総括させるため、リーガルマネジメント総括責任者(以下「総括責任者」という。)を置く。
2 総括責任者は、法務本部と連携し、法的課題への対応に関して理事又は副学長(以下「理事等」という。)を統括する。
3 総括責任者は、総長が指名する理事をもって充てる。
(理事等)
第5条 理事等は、所掌する事項に関する法的課題への対応について、次条に規定する部局責任者の職務遂行を監督する。
(部局責任者)
第6条 部局に、当該部局に係る法的課題への対応に関し指揮させるため、部局リーガルマネジメント責任者(以下「部局責任者」という。)を置き、部局の長をもって充てる。
2 部局に、部局責任者を補佐するため、当該部局に所属する教職員のうち部局責任者が指名する部局法務担当者を置くことができる。
(リーガルマネジメント総括会議)
第7条 本学に、リーガルマネジメント総括会議(以下「総括会議」という。)を置く。
2 総括会議は、本学における法的課題への対応について、総括的な審議を行うとともに、必要に応じて適切な措置について総長に意見を述べるものとする。
3 総括会議は、総括責任者、理事及び総括責任者が指名する者をもって組織する。
4 総括会議に議長を置き、総括責任者をもって充てる。
5 総括会議の運営に関する企画調整は、法務本部が行う。
6 前各項に定めるもののほか、総括会議の運営に関し必要な事項は、別に定める。
(教育及び研修)
第8条 総括責任者は、法務本部と連携し、本学の教職員が法的課題に関する認識を高め、法的課題への対応に関する理解を増進させるために必要な教育及び研修に関する全学的な体制を確立するよう努めなければならない。
2 総括責任者は、前項の職責を遂行するため、法的課題への対応に係る教育及び研修の状況を把握し、理事等及び部局責任者に対し必要な指示その他の措置をとるものとする。
(法務人材育成方針)
第9条 総括責任者は、法務人材(法的課題への対応に必要な資質を有し、リーガルマネジメントにおいて主導的な役割を果たすことができる人材をいう。)の育成に関する法務人材育成方針を定めるものとする。
2 法務人材育成方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 法務人材に求められる資質及び能力
(2) 職員の採用の在り方
(3) 研修及び自己研鑽支援
(4) 法務人材のキャリアパス
(5) その他法務人材の育成に関し必要な事項
3 総括責任者は、法務人材育成方針を定めようとするときは、法務本部と連携し、関係理事等に協議しなければならない。
(法的課題への対応)
第10条 教職員は、本学の事業活動に従事するにあたり、法的課題を事前に整理し、及び上司又は部局責任者(第6条第2項の規定により部局法務担当者を置く場合にあっては、当該者を含め、以下これらを「部局責任者等」と総称する。)に相談しつつ、法的課題への対応に努めるものとする。
2 前項の相談を受けた教職員は、法的課題への対応について、速やかに部局責任者等に報告しなければならない。
3 前項の報告を受けた部局責任者等は、本部(東京大学基本組織規則第18条第1項に規定する本部事務組織をいう。本条及び第14条において同じ。)の顧問弁護士、部局(本部を除く。本条及び第14条において同じ。)の顧問弁護士その他の法律の専門家に相談しつつ、適切に法的課題への対応を行うものとし、当該法的課題のうち重要なものについて、速やかに当該業務を所掌する理事等に報告しなければならない。
4 理事等は、前項の報告を受けた場合又は自ら法的課題を把握したときは、当該法的課題のうち重要なものについて、速やかに総括責任者に報告しなければならない。
第11条 部局責任者等は、法的課題への対応にあたり、必要に応じて、別表に掲げる部署と連携を図るものとする。
2 別表に掲げる部署は、法的課題への対応を要するもののうち、重要なものについて速やかに理事等に報告しなければならない。
(訴訟対応)
第12条 部局責任者等は、本学を当事者とする訴訟その他裁判手続に関し、当該手続の代理人の選任その他重要な事項については、総括責任者の指揮のもとに進めなければならない。
(秘密保持義務)
第13条 教職員は、法的課題への対応にあたって、知り得た秘密を正当な理由無く漏らしてはならない。教職員でなくなった後も、同様とする。
(顧問弁護士)
第14条 本部において、弁護士と顧問契約を締結する場合又は変更する場合は、事前に本部法務課へ相談を行うものとする。
2 部局において、弁護士と顧問契約を締結した場合又は変更した場合は、遅滞なく本部法務課へ報告を行うものとする。
(雑則)
第15条 この規則に定めるもののほか、この規則の実施に関し必要な事項は、総括責任者が定める。
附 則
この規則は、令和5年4月1日から施行する。

別表(第11条関係)              
法的課題への対応事項
担当部署
 法律相談
 本部法務課
 訴訟・訴訟リスク
 契約・協定審査
 他の部署の所掌に属さない事項
 いずれの部署の所掌に属するかの判断が困難な事項   
 知的財産管理
 本部産学連携法務課
 研究契約審査
 安全保障輸出管理
 個人情報保護
 本部総務課
 労務管理
 本部労務・勤務環境課
 学生生活に係る事項
 本部学生支援課