平成27年度文化勲章受章

平成27年度文化勲章受章

塩野宏名誉教授、梶田隆章教授が、平成27年度文化勲章を受章いたしました。

 

塩野宏 法学政治学研究科・法学部 名誉教授

塩野宏名誉教授

塩野宏先生が文化勲章を受章されました。まことに喜ばしいことです。

塩野先生は、本学法学部を1956年に卒業され、法学部助手、助教授を経て、1973年に教授となられ、1992年に本学を退職されました。この間、法学部長・法学政治学研究科長、総長特別補佐を務められ、大学に対して大きな貢献をされました。その後、成蹊大学教授、東亜大学教授のほか、日本公法学会理事長もお務めになり、1999年から学士院会員を務めておられます。

塩野先生は、『オットー・マイヤー行政法学の構造』において、行政法学の出発点について鋭利な内在的分析を加えられた後、現代の行政が行政法の限界を試すかのように示す活動・組織を法学の見地から把握し統制する研究を行われると共に、その成果も踏まえて伝統的な行政法理論に省察と変革をもたらされました。前者のご研究は、例えば資金交付行政(補助金行政)、行政指導、行政計画、特殊法人などの政府関係法人に関するご論攷に、後者のご研究は、例えば公法私法二元論や行政作用法の位置づけに関するご論攷に見て取ることができます。これらのご研究は、行政過程論・行政救済論・行政手段論を中心とする行政法の体系化へと結実し、集大成とも言うべきご著書『行政法I、II、III』は、台湾、韓国、中国でもそれぞれ翻訳出版されたほか、現在もそれぞれに版を重ねています(『行政法I』は第6版(2015年)、『行政法II』は第5版補訂版(2013年)、『行政法III』は第4版(2012年))。上記の体系書のほか、先生は現在も積極的にご論文を発表され、学界をリードしておられます。加えて、放送法の研究にも取り組まれ、日本放送協会放送文化賞を受賞されています。

塩野先生は、行政通則法の制定にも尽力され、行政手続法、情報公開法の制定、及び行政事件訴訟法の改正として結実しました。これらの通則法による日本の行政の近代化・現代化は先生のご努力なしには果たされなかったものです。

今回の文化勲章を機に、塩野先生は、日本社会全体にさらに大きな指導的影響を与えていかれることと存じます。ますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げる次第です。

 
(大学院法学政治学研究科・法学部 太田匡彦)

梶田隆章 宇宙線研究所 教授

梶田隆章教授

このたび、本学宇宙線研究所教授の梶田隆章先生が、本年の文化勲章を受章され、また、文化功労者として顕彰されました。

先生は、1986年本学大学院理学系研究科にて理学博士の学位を取得された後、本学理学部附属素粒子物理国際センター助手、本学宇宙線研究所助手、および、同助教授を経て、1999年には本学宇宙線研究所教授、ならびに、附属宇宙ニュートリノ観測情報融合センター長、2008年からは本学宇宙線研究所長を務められています。

先生は、カミオカンデ実験での大気ニュートリノ研究において、高精度でニュートリノの種類を識別する手法を開発され、大気ニュートリノ中の電子ニュートリノおよびミューニュートリノの事象数比が、理論計算と比較して大きく異なることを見出されました。さらに、検出装置性能を向上させたスーパーカミオカンデ実験において、ミューニュートリノ事象数が天頂角方向に依って著しく異なる測定結果を得て、この現象がニュートリノ振動に起因することを示されました。これは世界で初めてニュートリノに質量が存在する明白な証拠となり、素粒子・宇宙物理学に多大な影響を与えました。

この業績に対して先生は、1999年仁科記念賞、2002年パノフスキー賞、2010年戸塚洋二賞、2012年日本学士院賞、2013年ユリウス・ヴェス賞など数多くの賞を受賞され、本年はノーベル物理学賞の受賞が決定しています。

また先生は、本学附属宇宙ニュートリノ観測情報融合センター長として、国内におけるニュートリノ研究の振興や後進の育成に貢献され、さらに宇宙線研究所長になられてからは、重力波大型プロジェクトの推進など、日本における宇宙線研究の発展に尽力されています。

このたびのご受章、ならびに、ご顕彰を心よりお慶び申し上げるとともに、今後の益々のご健勝をお祈り申し上げます。

 
(宇宙線研究所・附属宇宙ニュートリノ観測情報融合センター 奥村公宏)
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