東京大学は2027年に創立150周年を迎えます
響存──東京大学150周年記念事業にむけて
2027年に東京大学は創立150年を迎えます。ここで祝おうとするのは、ひとつの大学の成長ではありません。近代日本が世界に開かれ、人びとの生活や環境が大きな変化を遂げた150年の足跡そのものであり、その経験をかえりみて、この地球を守りよりよい社会をつくるために、東京大学の果たすべき役割を考える機会にしたいと思います。
知識が価値と力とを有し幸福と共存とをささえる未来のために、東京大学は、学知の最前線において既存のさまざまな分断を越え、社会との新たなつながりを築かなければなりません。次なる150年の理想を夢みて、この事業を進めます。UTokyo Compassの「知をきわめる」「人をはぐくむ」「場をつくる」の基本指針にくわえて、私たちは次の3つの旗を、この記念事業にかかげます。
東京大学をかえりみる
東京大学が生まれたのは、日本が開国と維新をへて近代国家をつくろうとした時代でした。帝国大学という名の総合大学として、法・行政・科学・医学・産業・経済・文化・教育などさまざまな専門領域で活躍する人材を輩出するとともに、世界のアカデミアに伍する研究・教育に力を注いできました。埋もれた達成を知ろうとするだけでなく、忘れられた失敗や過ちから学ぶことも必要でしょう。世界が各国内外の分断や格差にわずらい、市場も社会や環境への負担を考慮せずには発展しえず、科学の実践が研究倫理や正義と不可分になった時代だからこそ、大学の存在意義がグローバルにも問われています。東京大学はなにをどのように変え、なにを守っていくべきか。あるべき未来をともに考え、歩んでゆきたい。
東京大学が生みだす
人類はいま、気候変動や異常気象、感染症パンデミック、情報技術や人工知能の急激なる発達、地政学的な不安定さの増大、自然資本やコモンズの持続可能性など、地球規模で生命史の深さを有する多くの課題に直面しています。これらの課題解決には、既存の学問分野をこえた総合知の醸成、未知や不思議にねばり強くいどむ精神の養成、共存をめざすダイバーシティとインクルージョンの実現が不可欠です。2004年の国立大学法人化に際し、自らを律する「東京大学憲章」を制定し、国内にとどまらず「世界の公共に奉仕する」ことを強調したのは、その原点のひとつでもあります。自由で自律的な探究が生みだす多様な成果を、積極的に発信してゆきたい。
東京大学でつながる
東京大学の成員は、いま所属している教職員と学生だけではありません。活躍する卒業生はもちろん、さまざまな職業・所属組織・立場・領域・年代・地域から関わる人びとも、東京大学の諸活動に不可欠のパートナーです。UTokyo Compassでもかかげたように、私たちは東京大学を閉じた孤高の組織としてではなく、社会と世界の多様な知と人とが出会い「対話」する場にしたいと願っています。社会と、世界と、人間と、自然と、過去と、未来とつながるなかで、課題解決の新たな力を生みだす。そうした活動を継続的に支える自律的な基金(UTokyo NEXT150)の充実も、場をつくる重要な基盤となります。みなさんとの絆をさまざまに結びなおす機会として、記念事業に取り組んでゆきたい。
東京大学の沿革とルーツ
東京大学は、明治10年(1877年)4月12日、当時文部省の管下にあった二つの専門教育機関、すなわち東京開成学校と東京医学校とを合併して創立されました。後者の東京医学校は、安政5年(1858年)に神田お玉ケ池に開設された種痘所を起源としています。また前者の東京開成学校は、江戸幕府が文久3年(1863年)に開設した開成所の後身で、この開成所は、安政4年(1857年)に設立された蕃書調所(ばんしょしらべしょ)を改組拡充したものです。
この蕃書調所という組織は、貞享元年(1684年)に設置された幕府の天文方からのつながりをもっています。天文方は暦の編纂を担当する組織ですが、当初から天文学や暦学を中心に西洋の学問知識の学習・研究を行っていました。やがて洋学の重要性の増大に応じて、天文方の中に蛮書和解御用(ばんしょわげごよう)という部門が設けられましたが、幕末になり洋書の翻訳・研究の需要が急激に増大したことから、この部門を発展させ、洋学の教育・研究機関として蕃書調所が設立されました。
この蕃書調所において当初任命された2人の教授職、箕作阮甫(みつくり げんぽ)と杉田成卿(すぎた せいけい)は、いずれも天文方の職員です。また蕃書調所には、天文方および江戸城・紅葉山文庫に所蔵されていた洋書が移管されました。つまり、東京大学の前身である東京開成学校の系譜は、その学問のつながりはもちろん、人のつながりなどによっても、天文方に連なる歴史をたどることができます。なお、東京大学の初代総理である加藤弘之も、蕃書調所において教授方を務めていました。
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2027年東京大学は創立150周年を迎えます
東京大学は2027年に創立 150 周年を迎えます。
今後、創立150周年の記念事業についてお伝えしていきます。 どうぞご期待ください。
【150周年ロゴマーク】
【150周年ロゴマークのコンセプト】