平成28年度学芸員専修コース「映像博物学の展開――映像による知の再構築」
テーマ: 映像博物学の展開――映像による知の再構築
1.平成28年度研修の趣旨及び内容
19世紀から20世紀にかけて、写真、映画、テレビ、インターネットが生まれ、視覚情報の生産と流通は劇的に増大した。社会の出来事や物語がおびただしい映像断片に記録され、世界は映像を介して理解される対象になっている。対して、ミュージアムはもっぱら標本資料の収集蓄積によって世界を記録してきた。モノの世界であるミュージアムにおいて、映像はそもそも疎遠な対象であるか、副次的な演出手段と見なされがちである。しかし、文化の持続可能性を担保するためには、オリジナル資料の長期保存と並行して、デジタル化された視覚情報の整備が必須となりつつある。宇宙規模に拡大する事象の記録手段として、また近代以降の人間活動の研究対象そのものとして、映像はきわめて重要な存在である。すなわち、映像技術を活用した博物学と、映像自体から世界を探求する博物学がともに立てられるべきである。これらまとめて「映像博物学」と称するなら、それは、「人間が世界を見る」という知の根底を映像によって再編する試みにほかならない。
本年度の学芸員専修コースでは、「映像として存在するミュージアムの創出」を目標とする。蓄積映像と新規映像を再構築した、映像による新たなミュージアム様態の提起をめざしたい。コース前半では、映画制作、映像保存学、博物学、文化人類学、自然科学などの専門家による講義を実施し、後半では受講者らが「映像としてのミュージアム」の企画構想と作品制作を試行する。本年度の研修内容は、ミュージアムにおける映像活用の検討に資するだけでなく、ミュージアムの現在的な基幹機能を幅広く問い直すものになるだろう。
2.実施期間及び場所
期間:平成28年11月7日(月)~ 11日(金)
場所:東京大学総合研究博物館 本館第一演習室
(〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1)
3. 担当教員
松本 文夫(東京大学総合研究博物館・特任教授)
matsumoto(a)um.u-tokyo.ac.jp ※ (a)を@に置きかえてください
応募手続関係の問合せは9項の連絡先にお願いします。
4.募集人員
15 名
5.募集期間
平成28年7月15日(金)~平成28年9月30日(金)
応募は郵送によること(必着)。
6.応募資格
博物館、美術館、資料館、埋蔵文化財センター及び文化関連事業において、学芸員資格取得者もしくは学芸員としての業務に直接携わる者。
7.受講料
10,000円
8.応募方法
次の書類を郵送すること(申し込みは郵送に限る)。
イ.所定の受講申込書(必要事項を記入すること)
ロ.所定の所属機関長もしくは指導教官の推薦同意書
ハ.A4サイズの返信用封筒(宛名を記入し、140円切手を貼付のこと)
※「イ」および「ロ」の書類は、東京大学総合研究博物館のホームページからダウンロードできます。
9.応募先
東京大学総合研究博物館「学芸員専修コース」実施委員会
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5841-2802 FAX:03-5841-8451
10.選考結果の通知
東京大学総合研究博物館「学芸員専修コース」実施委員会において選考のうえ受講の可否を決定し、10月上旬までに各応募者に通知する。
11.その他
・映像制作の経験の有無は問いません。制作実習はグループに分かれて行います。
・受講者には以下の課題に対応していただきます。
1) 本年度のテーマに関連して「映像としてのミュージアム」の企画構想案をワードA4判2枚以内に記述し、専修コース開始前に電子メールで提出。
2)「映像としてのミュージアム」の素材となる合計3分以内の動画コンテンツ。作品として完成されている必要はありません。DVD、SDカード、USBメモリなどコンピュータで再生できる形式で専修コース実施時に持参。
3)コースを受講した感想等について、専修コース終了後に電子メールで提出。
※1)、2)、3)の内容、形式、提出時期は受講者に別途連絡します。
・ラップトップ・コンピュータ、デジタルカメラ(デジタルビデオカメラ)を持参できる人は持ち込んでも構いません。(受講条件ではありません)
・制作された作品は総合研究博物館の映像コレクションとして公開することがあります。
・全日程終了後、受講者には「学芸員専修コース修了証書」が授与されます。
・宿泊場所は受講者が各自で手配して下さい。
※講師・内容・時間帯については都合により変更になることがあります。
※この募集要項は東京大学総合研究博物館のホームページでご覧いただけます。