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ケ・ブランリ・トウキョウ『未開の眼――擬人化に傾く造形思考』

掲載日:2018年1月22日

基本情報

区分 展示
対象者 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 大学生
開催日(開催期間) 2018年1月23日 — 2019年1月14日
開催場所 その他学内・学外
会場 会場:インターメディアテク2階「SPECOLA」
    東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階
アクセス:JR東京駅丸の内南口徒歩約1分、東京メトロ丸ノ内線東京駅地下道より直結
時間:11:00 - 18:00(金・土は20時まで開館)入館は閉館時間の30分前まで
*上記時間は変更する場合があります。
休館日:月曜日(月曜日祝日の場合は翌日休館)、その他館が定める日
参加費 無料
申込方法 事前申込不要
お問い合わせ先 03-5777-8600(ハローダイヤル)
 第六回ケ・ブランリ・トウキョウでは、ナイジェリアの木彫コレクションを展示します。

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 森羅万象を巡る様々な現象、頭に浮かぶ多様な観念など、形象化し難い事象を人の形姿に仮託して表現する。この修辞的技法は「擬人化」と呼ばれる。洞窟壁画など先史人類の残した初期絵画では、動物の姿が写実的に表現されている。したがって、擬人的な造形表現ないし文飾は、文明の初期段階のものでなく、成熟段階へと至った人知ならではのものと見なくてはならない。「知識」を男神ヘルメス、「時」を老人クロノス、「愛」や「美」を女神アフロディテなどと、眼に見えぬものをなにからなにまで神人同形同性論的に擬人化して見せた古代ギリシャの世界観は、模倣的な写実主義の位相から遠く離れた、高度な文明の所産と見なすべきなのである。ならば、二十世紀アフリカ西部ナイジェリアの木彫群はどうなのか。西洋中心主義的な美学的規範からすれば、たしかに、「プリミティヴ・アート」の烙印さえ押されかねぬ呈のものと映りかねない。しかし、実際のところ、これらの規格外の木の造形は、高度な知的体系をそれらにまつわる口承遺産のなかに保持しているのである。アフリカの「トライバル・アート」から、西洋人の持ち合わせぬ「未開の眼」の輝きを見出したのは、二十世紀のシュルレアリストたちであった。

西野嘉章(インターメディアテク館長)

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ベヌエ川とイボ人の土地の彫刻

 アフリカで最も大きな国の一つであるナイジェリアは、数え切れないほど多くの文化を有し、その中には数世紀に亘る歴史が知られているものがある。豊かな彫刻を生み出す大きな文化的集合体の一つは、ベヌエ渓谷の南東部やニジェール川が海に流れ込む際に三角州を形成する地域に位置している。ニジェール川の支流であるベヌエ川は、コミュニティや個人を守ることに結びつく、擬人化された彫刻イメージ生産の重要な発祥地である。これらの儀礼的な姿は、村々の数の多さに並ぶほど、変化に富んだ様式に従っている。この村々では、さまざまな集団によって、まるでモザイクのように構成された人文景観が形作られている。多くの水路を有するこの地域では、動物をかたどった多数のマスクは、通常、水の精霊の存在を表している。これらのマスクが持ち出されるのは、農事歴により、特に収穫を祝うためである。

イヴ・ル・フール(ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館コレクション部長)

企画構成:イヴ・ル・フール(ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館コレクション部長)
後援:クリスチャン・ポラック氏+株式会社セリク


ケ・ブランリ・トウキョウについて

 世界中にはさまざまな文明が生み出した力強く不思議な形態が存在する。その多様性は驚くばかりであるが、これらを日本で目にする機会は少ない。そこで、パリのケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館のコレクションから選りすぐりのアイテムをここに展示し、ひとつの邂逅の場として設えた。この展示は、周囲の東京大学コレクションと時に共鳴し、時に対立することで、見る者に対し、人類が大いに関心を寄せるべき問題を投げかけるだろう。本プロジェクトはケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館とインターメディアテクとの新たな文化的・学術的協働からなる。これによって、フランス国立ミュージアムが東京の中心に長期的活動拠点を獲得することになった。人々がもつ既存の世界観の転換を図るべく、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの諸地域から象徴的なアイテムを選定し、定期的に展示更新を行う予定となっている。本拠点がすべての文化、時代、領域の交叉する創造的結節点として機能するために、ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館とインターメディアテクはいままでにない方法論を共有し、分野横断型のミュージアム活動を推進していく。

企画:東京大学総合研究博物館+ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館
後援:クリスチャン・ポラック氏+株式会社セリク


ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館

 ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館は、2006年6月パリに開館した。アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカ美術を展示していたルーヴル美術館の「パビリオン・デ・セッション」を前身とする。ジャック・シラク元大統領(1995-2007年)が建設計画を推進し、建築家ジャン・ヌーベル(2008年プリツカー賞受賞)が設計を担当した。西洋中心主義を脱し、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの芸術や文明に対し、文化的・宗教的・歴史的影響が交差した複眼的な視点から、それらにふさわしい評価や解釈を行うことに活動の中心を置く。学術的・芸術的対話のための場所として、また、市民・研究者・学生・現代芸術家をつなぐ交流拠点として、さまざまな展覧会、コンサート、催し物、シンポジウム、ワークショップ、上映会を定期的に開催している。

ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館 公式HP

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