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梶田隆章宇宙線研究所長のノーベル物理学賞受賞にあたっての総長メッセージ

掲載日:2015年10月7日

 東京大学宇宙線研究所所長梶田隆章教授の2015年ノーベル物理学賞受賞に際し、心からのお慶びを申し上げます。同時に、我が国の学術研究を支援し続けて下さっている産官学の各界、そして何より広く国民の皆様に深く感謝いたします。

 今回の梶田教授のノーベル物理学賞受賞理由となった「素粒子ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」は、20世紀に完成したと考えられてきた現代物理学の骨格を問い直すことを求める、画期的な発見です。梶田教授が記者会見で述べたように、まさに「人類の知の地平線を拡大する研究」です。この研究は、小柴昌俊特別栄誉教授(2002年ノーベル物理学賞)によって1970年代に始められた、日本独自の研究で、戸塚洋二教授、梶田教授と師弟三代のリーダーがバトンをつなぎながら、多くの学生や研究者と共に行われてきたものです。自由な発想を起点として、論理と忍耐をもって普遍の真理を求めることは、本学が創立以来最も大切にして来た精神であり、その伝統を示す典型例となりました。
 この研究は、独創的で壮大なアイディアの元で、大型実験施設(カミオカンデ、スーパーカミオカンデ)が実現できたことによって可能となりました。構想から約40年に及ぶ研究が大きく花開いたのは、国民の皆様の学術研究に対する深いご理解とご支援の賜です。何より、背景として、この間の日本が着実な経済成長によって豊かになり、そして平和が維持されてきたことによるものであり、その意味でも深く感謝申し上げます。

 本学は、深い教養と基礎力に支えられた知のプロフェッショナルの育成に努め、これからも多様で卓越した学術研究を世界に発信し続けたいと考えています。東京大学総長として、また、同世代の一研究者として、本学の誇る知のプロフェッショナルのひとりである梶田教授の栄誉を心からお祝いするとともに、今後も、本学が、我が国さらには世界の学術に大きな貢献ができるよう、いっそうの努力を重ねていく所存です。
 

東京大学総長 五神真

 

対象者: 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業


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