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本学の学生が集団で起こした事件について

掲載日:2016年11月10日

 本年5月、本学学生5名が他大学の女子学生1名に対する強制わいせつの容疑で逮捕され、内2名が強制わいせつ及び暴行、1名が強制わいせつの罪でこのほど有罪の判決を受けました。当該学生らの行為は、被害にあわれた女性に大きな苦痛を与え、その尊厳を深く傷つけるものであり、決して許されるものではありません。東京大学のサークルのイベントと称する場で、高い倫理観と社会的常識をそなえているべき本学の学生が、かかる反社会的で恥ずべき行為を集団で行なったことを、総長としてまことに残念に思います。

 本学は「東京大学憲章」で「公正な社会の実現、科学・技術の進歩と文化の創造に貢献する、世界的視野をもった市民的エリート」の育成を目標として掲げています。ここで言う「市民的エリート」とは、自分が他よりも優れた人間であるという誤ったエリート意識を抱くことなく、一市民としての謙虚さと責任感をもって人類社会が直面している課題に立ち向かい、さまざまな人々と協働してより良い社会を作ることに貢献する人間を意味しています。そのような人間になるためには、学内外を問わず、すべての他者の権利と尊厳を尊重することが不可欠であることは言うまでもありません。

 このたびの事件における学生たちの行為と、その背後にあったと考えられる傲慢な意識は、以上のような「市民的エリート」の理念に根本的に反するものです。本学は今回の事態をきわめて重く受け止め、同様の事件が二度と起きないよう、あらゆる必要な措置を講じるとともに、個人の権利と尊厳が徹底して守られ、すべての学生が互いを尊重しながら安心して学べるような環境のさらなる整備に向けて、全力で取り組む所存です。
 

2016年11月10日
東京大学総長 五神 真

 

対象者: 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業


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