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「倭寇と倭寇図像をめぐる国際研究集会」を開催

掲載日:2017年4月18日

実施日: 2017年04月07日

 史料編纂所(山家浩樹所長)では、所蔵する「倭寇図巻」について、中国国家博物館所蔵「抗倭図巻」等との比較研究を進め、国際研究集会も数度にわたって行なってきました。その成果はすでに図録(『描かれた倭寇』吉川弘文館、2014年)と論文集(『「倭寇図巻」「抗倭図巻」をよむ』勉誠出版、2016年)という形で公刊されています。
 4月7日、「倭寇図巻」をさらに広い視点から位置づけていくための第一歩として、台湾から馬雅貞氏(清華大学歴史研究所副教授)を招聘し、「倭寇と倭寇図像をめぐる国際研究集会:東アジアの合戦図を考える―清朝編」と題する研究集会を開催しました(参加50名)。
 集会ではまず、須田牧子(史料編纂所助教)が、この間の「倭寇図巻」研究動向を簡単に述べたうえで、「倭寇図巻」が「戦勲図」の文脈で理解されるようになってきたことをふまえ、戦勲図というキーワードからの東アジアの合戦図の比較の可能性を探りたいという主催者側の意図を述べ、ついで板倉聖哲氏(東洋文化研究所教授)が、馬氏のこれまでの研究の概要について紹介しました。馬氏の報告は、「刻画戦勲:清朝帝国武功的文化建構」と題し、清朝の文化覇権構造について自身の見解をまとめ、その構造下における清代の戦勲図の展開について、明代からの継承と転換・差異を意識しつつ具体的に述べたもので、清朝皇帝による圧倒的な規模の合戦図制作のもとで、明代に盛んだった個人の戦勲図制作が飲み込まれていくさまが如実にうかがえました。
 2時間半にわたる報告と討論は中国語で行われ、楊雅琲氏(人文社会系研究科博士課程学生)が通訳として奮闘しました。日本中近世史の研究者ばかりでなく、日本文学・日本美術史・中国美術史・中国清代史・中央アジア史など多様なバックグラウンドをもつ研究者が集まり、様々な角度からの質疑や意見も交わされ、盛況でした。
 



報告中の馬雅貞氏

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