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留学生たちの力を地域に還元する行政文書多言語化プロジェクト | 広報誌「淡青」35号より

掲載日:2018年1月16日

実施日: 2017年09月08日

淡青色のローカルプロジェクト9@文教区(東京都)
 
留学生たちの力を地域に還元する
行政文書多言語化プロジェクト
 

原田麻里子/本郷出身
Mariko Harada
国際センター相談室
講師


 

 

区役所を視察する学生一同。多言語表示の不足について指摘をする一方、日本の行政システムの一端を学びました。
  
23区内最多の留学生が在籍し、約8000人もの外国人が住む文京区。そこで重要となるのが、言葉の問題です。外国人を支援し始めてすでに20年を数えるという原田先生によれば、特に行政情報の多言語化は喫緊の課題。

「留学生がまず困るのが、自治体での手続きです。住民登録、税金、年金、子どもの教育……。手続きは自己申告が基本ですから、きちんと書類を提出しないと不利益を被ります」

学内で協議しましたが、自治体に多言語化を訴えるだけでは難しいことが予想されました。そこで、大学としてできることはないかを検討し、たどり着いたのが、学生の力を活用する方法です。

「留学生6人と日本人学生2人でチームを組み、区の文書を英語、中国語、韓国語に翻訳する活動を、2015年8月に始めました。無料サービスを提供するのではなく、発注を受けるのでもなく、あくまで協働の取組みです」

たとえば、日本語の「介護」に相当する単語がない、保育園と幼稚園の違いを知らない、学区の概念がないので説明が必要……。行政側は当事者でないと気づきにくい言葉のギャップを理解でき、留学生は日本社会のシステムや文化を実感できるわけです。
 

文京区立図書館の利用案内は学生一同の力で英語、中国語、韓国語に翻訳され、現在も利用されています。
「プロジェクトは一旦終了しましたが、これを一つの契機に、不動産契約文書の多言語化を宅建協会文京支部との提携で始めたり、外国籍の子どもの語学サポートを担う留学生を教育委員会に紹介する活動も進めています」

よりよい多文化共生社会につながることを信じて多言語化活動を重ねる原田先生でした。

 
※本記事は広報誌「淡青」35号の記事から抜粋して掲載しています。PDF版は淡青ページをご覧ください。

 


 
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