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『サイエンスライターが科学について書くこと』:第二回国際広報勉強会が開催されました

掲載日:2015年7月17日

実施日: 2015年07月09日

国際広報勉強会の第二回目が、米国のサイエンスライターのリン・フリードマンさんを招いて2015年7月9日(木)に本郷キャンパスで開催されました。すべて英語で行われる講演の会場には20名近くの広報担当および国際担当の職員が集まり、それぞれの職員が英語で自己紹介をして講演が始まりました。今回のテーマは『サイエンスライターが科学について書くこと』で、フリードマンさんがどのようにサイエンスライターになったのかキャリアパスを振り返りながら自分の体験を時折ジョークを交えながら語り、科学データを単に報告するのではなくストーリーを作る大切さを参加者に伝えました。

研究者が提供する科学データを楽しいストーリーにして提供するためにはまずは下調べが重要であること、また相手との関係づくりが大切で、親しくなるといろいろな話が聞けるので、そこからストーリーが動き始めることを教えてくれました。下調べは自分で文献を調べるだけでなく、取材しようとしている研究室の学生などに予備的な質問をすることが有効であるとアドバイスしていました。そうすることで、時間が限られている研究者には大事な質問だけをすることができると語っていました。研究者との関係づくりで大切なのは、相手にとって役に立つ人間だと思ってもらうことで、そこから話が広がっていくとのことでした。

ネット全盛時代、米国では新聞が昔より読まれなくなりメディアの構造が大きく変化し誰もがライターになれるようになりました。そうした状況でも、理念を持ったジャーナリストは確固たる原則に則って記事を書いているので差別化が図れるとフリードマンさんは説明していました。情報の裏付けと透明性という、ジャーナリズムの理念を確保することで自分の価値を上げることができるからだそうです。また、情報の正確性と透明性を確保した上で、ストーリーを作り上げることが大切であるとフリードマンさんは語っていました。人間は誰でもストーリーに惹かれるようにできているからだそうです。

講演後に行われた質疑応答では、メディアにメールを読んでもらうためには目を引くようなタイトルをつけることが有効なことや、ネタ探しにはSNSが有効なこと、プレスリリース内には使い古された言葉を使わないようにすることなどを、ユーモアを交えて質問者にアドバイスしていました。また、適切な記者を選んでプレスリリースを出すのが有効であること、プレスリリースにエンバーゴ(掲載禁止期間)を設けることは、情報提供者とメディアの信頼関係が守られている限り双方に利益があること、どのようなプレスリリースでもやたらにエンバーゴを設けるのは有効ではないことを説明していました。参加者は研究者との関係づくりの大切さ、メディアに面白いストーリーを提供することの重要性を再認識することができ、大変有益な勉強会となりました。





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