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第3回国際広報勉強会『研究者とソーシャルメディア』が開催されました

掲載日:2015年12月2日

実施日: 2015年11月26日

『研究者とソーシャルメディア』をテーマにした第3回国際広報勉強会が、2015年11月26日に開催されました。今回講師として迎えたのは、英国アバディーン大学アウトリーチ担当者のヘザー・ドーラン博士でした。

ドーラン博士はまず、アバディーン大学で行われている研究を魅力的に紹介する取り組みについて伝えました。例えば、学生が編集・デザインする楽しい研究雑誌『Au Science Magazine』について、またペチャクチャナイト(20の画像と20秒のプレゼンで楽しく研究を紹介するイベント)、コメディナイト(研究者がコメディアンに扮して研究発表するイベントで、事前にプロのコメディアンによる研修があります)、サイエンスカフェなど画期的なイベントを行っていることを紹介しました。ドーラン博士はこうした楽しく斬新な方法で研究への関心を高めることが重要であると同時に、ソーシャルメディアを活用して一般の人々とつながりながら研究に関心をもってもらうように努めることが大切だと力説していました。

研究者のソーシャルメディアの活用に関する最近の調査によると、約50%の研究者が何かしらのSNS(Twitter、Facebook、LinkedIn、ResearchGateなど)を使用しているそうです。ソーシャルメディアを使用する理由としては、研究成果をより広く知ってもらえる、海外の研究者との共同研究のチャンスが広がる、コミュニケーション能力が向上する、新たな雇用の機会が広がる、資金集め(クラウドファンディングなど)が可能になる、などが挙げられます。ドーラン博士自身もTwitterでの会話をきっかけに、出席予定の海外の学会の様子をブログ上でライブで伝えることで、学会に参加するための旅費を獲得することができたそうです。また、ある海洋研究者の例を挙げて、クラウドファンディングを利用して研究への関心を高め、研究資金を獲得することが可能であることを説明しました。

個人の研究者とは異なり、大学などの組織は一般の人々と双方向のコミュニケーションをするのではなく、一方的に情報を発信するツールとしてSNSを利用する傾向がみられるとドーラン博士は指摘していました。博士によると、組織、個人の研究者ともに以下の4つの点を考慮してソーシャルメディアを活用することが大切だそうです。(1)ソーシャルメディアを使用する目的をはっきりさせること。(2)誰に発信するのか対象者を知り、適切な言葉を使うこと。(3)一方的に情報を発信するのではなく、双方向のコミュニケーションを大切にすること。(例:論文のリンクを貼るだけではなく、論文を読みたくなるようなコメントを書くなど。)(4)アカウントを立ち上げたら、早い段階でいろいろ実験してみて、どんなコミュニケーション法が一番いいのか早めに見つけておくこと。

ドーラン博士のプレゼンの後は、参加者との活発な質疑応答が行われました。SNSアカウントの魅力的な運営法、アジアでよく使われているSNS(LINEやWeChatなど)の有効な活用法、ソーシャルメディアを使って一般の人々と双方向のコミュニケーションを行う方法、各国の大学のSNS管理方法、研究成果を有効に拡散させるヒントなど、質問は多岐にわたりました。

参加者は今回の勉強会を通して、大学におけるソーシャルメディアの役割、ソーシャルメディアの有効な活用法について新たに考える機会を得ました。



ドーラン博士のプレゼンテーション

ドーラン博士のプレゼンを熱心に聴く参加者

参加者の質問に答えるドーラン博士
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