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教職員の雇用環境改善に向けて |  総長室だより~思いを伝える生声コラム~第2回

掲載日:2018年3月14日

実施日: 2017年09月25日

東京大学第30代総長 五神 真

教職員の雇用環境改善に向けて
 

前号では、未来への投資として若手研究者の雇用安定化が本学にとって最優先事項であることを述べました。若手研究者が大学で活躍するためには、彼らをサポートする事務職員の存在は不可欠です。そのために職員の雇用環境の改善にも取り組んでいるところです。

法人化を契機として、大学の職員の方々の業務も多様化、高度化、専門化が進んでいます。その中で、短時間勤務の方も含め、雇用年限が限られた有期の雇用契約で働いていただいている職員が急激に増えています。私は、ポテンシャルの高い職員が期間満了で退職していくのは惜しいと感じ、総長に就任する前から学内外に働きかけをしてきました。

例えば、理系で博士号取得後に2年ないし3年と期間を区切って働くポスドク研究員は、プロの研究者人生のスタートとして、視野を広げ、新たな学問を生みだす構想を練る期間として大変重要です。しかし、現在の有期雇用の多くは、その雇用財源に期限があったり、使途に制約があったりするなどの理由により、長期の雇用契約が結べず、有期雇用となっています。その中での規模拡大は問題です。人事の流動性は本人にとっても組織にとっても活力の源泉です。しかし、それと雇用の不安定性は別問題です。

このたびの指定国立大学認定でも、本学全ての教職員が安心してより高いパフォーマンスを発揮していただくために、有期、無期を問わず教職員の働き方や雇用環境を改善することを最重要と捉え、仕組みの点検と改革を進めることを明言しました。

前号でも述べたとおり、安定化した資源を有効に活用して「人」に集中投資していきます。そのターゲットは若手研究者だけでなく、彼/彼女らを支える職員でもあります。職員と教員や研究者の相互信頼のもとで、互いの役割分担と責任や権限が明確化され、職員はプロフェッショナルとして主体的に業務をこなすという姿です。その任務を担う候補者は有期で雇用されている職員の中にもたくさんいます。そこで、多様な雇用制度(「職域限定職員制度」や有期雇用制度の弾力化など)を2018年4月に導入したいと考えたのです。しかし、2017年8月、本学が有期雇用職員を5年で雇い止めにするとの報道がなされたので、真意をお伝えせねばと思ったのです。

私は、引き続き、教職員のみなさんが安心して存分に活躍できる環境の整備に努めます。本学のミッションをしっかり果たせるような体制を、教職員一丸となって創っていきましょう。(つづく)

「学内広報」1500号(2017年9月25日)掲載



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