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物質の界面の構造を決定するスピードを100倍以上高速化! ビッグデータの解析手法を用いることにより成功

掲載日:2016年3月11日

© 2016 溝口照康資源探索分野では、より少ない掘削点で効率的に資源埋蔵量の多い地点を推定する必要があります。図中赤点で掘削し、資源埋蔵量を調べ、そこから推定された青点で再び掘削します。さらに、赤点と青点の情報をすべて使って推定することで、最大埋蔵地点(黄点)を見つけられます。このクリギングの要領で、界面構造を100倍以上速いスピードで決定することに成功しました。

クリギングの手法を模式的に説明した図
資源探索分野では、より少ない掘削点で効率的に資源埋蔵量の多い地点を推定する必要があります。図中赤点で掘削し、資源埋蔵量を調べ、そこから推定された青点で再び掘削します。さらに、赤点と青点の情報をすべて使って推定することで、最大埋蔵地点(黄点)を見つけられます。このクリギングの要領で、界面構造を100倍以上速いスピードで決定することに成功しました。
© 2016 溝口照康

東京大学生産技術研究所の清原慎大学院生、溝口照康准教授らの研究グループは、物質と物質が接する領域(界面)の構造をこれまでよりも100倍以上高速化することに成功しました。本成果は、資源探索分野のビッグデータを解析するための技術を応用することにより得られた成果です。

ビッグデータは金融や創薬などの幅広い分野で活用されています。ビッグデータを活用した物質研究分野は、「マテリアルズ・インフォマティクス」とよばれ、米国では年間100億円という巨大プロジェクトが行われるなど、物質研究の大きな流れとなりつつあります。

界面は電池や触媒など、さまざまな機能と密接に関係しています。しかし、界面の構造を決定するには、数千~数万回という膨大な数の構造緩和計算が必要でした。高機能な物質の開発を加速させるためには、界面の構造を高速に決定できる手法の開発が求められていました。

研究グループは、資源探索の分野のビッグデータ活用技術であるクリギング(Kriging)という空間補間法を活用し、物質の性質に決定的な役割を果たす界面の構造を、非常に高速に決定することに成功しました。同手法により、これまでは、数千~数万回が必要であった計算がわずか100回程度の計算で界面構造を決定することができました。加えて、従来の手法で得られた界面の構造と今回の手法で得られた界面の構造を比較したところ、計算回数が約246分の1にもかかわらず、同じ構造が得られていました。

「クリギング法は優れた汎用性があり、いかなる物質のいかなる界面にも適用できることも分かりました」と溝口准教授は話します。「物質の界面は電池や触媒なの機能と深く関係していますので、今回の成果が高性能な電池や触媒材料の開発に役立てられことが期待されます」と続けます。

プレスリリース [PDF]

論文情報

Shin Kiyohara, Hiromi Oda, Koji Tsuda, and Teruyasu Mizoguchi , "Acceleration of stable interface structure searching using a kriging approach", Japanese Journal of Applied Physics: 2016/03/06 (Japan time)
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