ARTICLES

English

印刷

メスマウスを誘うオスの尿臭として新規不飽和脂肪族アルコールの発見 嗅覚受容体が自然界で認識している情報化学物質の探索から

掲載日:2013年1月23日

私たちの鼻で匂いを感知している匂いセンサーは、嗅覚受容体と呼ばれるタンパク質です。これまで、嗅覚受容体が実際に自然界でどのような情報物質を認識しているのかは良く分かっていませんでした。


雌マウスの嗅覚受容体Olfr288は、雄マウスと出会ったときに、雄マウスの包皮腺で作られ尿に分泌される(Z)-5-tetradecen-1-olをナチュラルリガンドとして認識し、その結果、雌マウスは雄に惹きつけけられる © Kazushige Touhara

今回、東京大学大学院農学生命科学研究科の東原和成教授らのグループは、自然条件下でマウスが嗅覚受容体で感知している匂い物質として、(Z)-5-tetradecen-1-ol (Z5-14:OH)という不飽和脂肪族アルコールを発見しました。この物質は雄マウスの尿から発せられて、雌を惹きつける効果をもつことが明らかになりました。Z5-14:OHはその化学構造から脂肪酸の代謝産物であると考えられます。我々ヒトの体臭も様々な脂肪酸代謝産物から構成されています。ヒト同士の嗅覚コミュニケーションにも、Z5-14:OHやそれに類似する物質が用いられているのかどうかは今後の興味深い課題です。

プレスリリース

論文情報

Keiichi Yoshikawa, Hiroaki Nakagawa, Naoki Mori, Hidenori Watanabe and Kazushige Touhara,
“An unsaturated aliphatic alcohol as a natural ligand for a mouse odorant receptor”,
Nature Chemical Biology, Online Edition: 2013/1/14 (Japan time), doi: 10.1038/nchembio.1164.
論文へのリンク

リンク

農学生命科学研究科

応用生命化学専攻

生物化学研究室

アクセス・キャンパスマップ
閉じる
柏キャンパス
閉じる
本郷キャンパス
閉じる
駒場キャンパス
閉じる